NEXCO東日本の雪道研究家「マンモシ博士」に聞いた“冬の高速道路の走り方と要注意スポット”

降雪や凍結など、冬の道路は不安要素が多いもの。一年を通じても、特に安全運転に気をつけなければならない季節です。

ところで、関東以北の高速道路を管理・運営するNEXCO東日本に、「マンモシ博士」という冬道安全運転啓発キャラクターがいるのをご存じでしょうか?

  • マンモシ博士

マンモシ博士は、2008年に活動をスタートした、冬の高速道路を安全に走るための情報を伝える雪道研究家。雪道を研究し続けて1万年! 雪国すべてのお困りごとに精通するオーソリティーです。シベリア生まれで趣味はスノーボード。冬になると現れて私たちに冬道運転のお役立ち情報を教えてくれます。

今回はNEXCO東日本広報課の協力のもと、マンモシ博士に冬道を走るときの準備と心構え、冬道運転でやってはダメなことなど、高速道路の冬道走行で気をつけたいことをお伺いしました。

冬道を走るときに覚えておきたい4つのこと

  • 取材に応じてくれたマンモシ博士

――それではさっそくお伺いします。冬の高速道路を走るとき、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか?

ズバリお教えしよう。大きくポイントをわけると4つある。1つ目は「冬用タイヤ装着とチェーンの携行」じゃ。積雪や路面凍結のおそれがある冬の高速道路をノーマルタイヤで走るのはとても危険なので、必ず冬用タイヤを装着してほしい。

特に大雪が降っているときは、冬用タイヤでしか走れない「冬用タイヤ規制」が行われるし、もっとひどいときは「チェーン規制」が出ることもあるぞ。じゃから「マンがいち、モシかして」に備えてチェーンの準備も必要じゃ。

  • 「スベリ止め必要」と書かれた情報板

――「マンがいち、モシかして」は博士の口癖ですね。2つ目はどうでしょう。

2つ目は「こまめに道路情報や天気をチェックすること」じゃ。出発する場所が晴れていても途中で雪が降ることもあるし、道路事情は刻一刻と変わる。冬の高速道路は雪が降ったり止んだりと天候が変わりやすいからのう。途中のサービスエリアでの休憩時や、走行中に見える道路情報板でしっかりチェックしてほしい。

  • 「ドラとら」のスクリーンショット

また、NEXCO東日本が運営するWebサイト「ドラとら」ではリアルタイムの道路交通情報や、ライブカメラで路面状況の確認ができるぞい。NEXCO東日本公式LINEアカウントや各エリアのNEXCO東日本のTwitterでも情報を発信しているので要チェックじゃ。

【参考】

――リアルタイムで路面情報をチェックできるのは助かりますね。3つ目を教えてください。

3つ目は「除雪車を追い越さないでほしい」ということじゃ。大事なことなので博士から強くお願いしたい。

  • 除雪車運行の様子

除雪車は高速道路に積もった雪を取り除くほか、雪が積もっていないときも、道路の凍結を防ぐために凍結防止剤を道路に散布しておる。複数台で、走行車線から追越車線まで塞いで走ることもあるし、凍結防止作業時は、時速50km程度の低速運転じゃから、ドライバーさんにはもどかしいことじゃとは思う。

じゃが、無理に追い越すと除雪車がかいた雪が舞い上がって前方が見えなくなったり、凍結防止剤がクルマにかかって汚れたりすることもあるんじゃ。「雪が降ってないのになんでゆっくり走ってるんだ」と思うかもしれんが、雪がないからといって冬の道路は安全なわけではない。あせりは安全運転の大敵じゃから、除雪車を見かけたらゆっくり走行をお願いするぞい。

――肝に命じます。最後の4つ目はいかがでしょう。

最後は「大雪予報が出たときは極力運転を控えてほしい」ということじゃ。大雪が降ったときの高速道路では、雪にタイヤがハマって動けなくなる“スタック”や視界が真っ白になる“ホワイトアウト”が発生しやすいんじゃ。渋滞に巻き込まれて、身動きが取れなくなる危険もある。

お仕事などでどうしてもクルマを運転しなければならないときは、迂回ルートで向かったり、可能であれば予定をずらしたりすることをお願いする。元も子もないが、そもそも運転しなければ事故も起きないからのう。

冬道運転では日陰やトンネルにも注意

――冬の高速道路でやっちゃダメなことってなんでしょう。

簡単なことじゃが「急」のつく動作はやってはダメじゃぞ。具体的には「急加速」「急ブレーキ」「急ハンドル」じゃ。冬道は積雪や路面凍結で、いつもとは比べ物にならないほど滑りやすいからのう。

冬道は普段よりも車間距離をとって、余裕を持った運転を心がけてほしいぞ。

――なるほど。冬の高速道路で事故が起きやすい場所はありますか?

  • 長い下り坂に要注意

まずは「長い下り坂」じゃ。気づかないうちにスピードが出るし、急に止まりにくくなるので追突のおそれもある。「急カーブ」も制御が利きづらくなるので気をつけてほしいのう。スピードを十分に落として走行するんじゃ。

  • 橋の上は路面凍結が起こりやすい

次は「日陰」。日光が当たらないぶん、溶け残った雪が凍結して滑りやすくなっておるぞ。そして「橋の上」は高架下から吹き付ける風で、路面が凍結しやすい。橋の下に川が流れているところなら、なおさら危険じゃ。

  • トンネルの出入り口にも注意

最後は「トンネルの出入り口」じゃ。トンネルの中はあまり雪も入ってこないし、温度が一定に保たれているため、冬でも温かい。だから、中と出入口の温度差で水分や雪が固まって危険な状態になることが多いんじゃ。トンネルが山の影になっていることも要因としてあるじゃろう。運転中に今話したスポットが現れたら、気を引き締めて、ゆっくり運転することが肝心なんじゃ。

覚えておきたい道路緊急ダイヤル「#9910」

――万が一、事故を起こしてしまったらどうしたらいいのでしょうか…?

対応は冬に限らず、一年中大きく変わることはないぞ。覚えておいてほしいのは「合図」「避難」「通報」の3つ。この順番で行うんじゃ。

  • まずは「合図」

事故が起きたらハザードランプを点灯し、発煙筒を焚くほか、三角停止表示板を置くなどして後続車に事故が起きた「合図」をすること。

  • 安全な場所に「避難」してから「通報」

そして、運転者が動ける場合は安全な場所に「避難」するんじゃ。高速道路はクルマがびゅんびゅんと走っているため、道路上を歩き回ることはもちろん、車内に残ることも危険となる。だからガードレールの外側など、クルマから離れた安全な場所に移動してほしい。

最後に、自分の身の安全が確保できてから、「通報」するんじゃぞ。事故の場合は110番。故障などの場合は、道路緊急ダイヤルの電話番号「#9910」に状況の連絡をするんじゃ。何かで携帯電話が使えなくなった場合は、高速道路に一定間隔で緑色の「非常電話ボックス」があるから、もしものときには覚えておくと安心じゃの。

  • 非常電話ボックス

マンモシ博士からメッセージ!

――いろいろ教えてくれてありがとうございました。博士には高速道路のどこかで会うことはできますか?

皆さんのお役に立てて何よりじゃ。前はサービスエリアでごあいさつをすることもあったが、コロナ禍もあって皆さんと会える機会が少なくなってしまった。冬季の間はサービスエリアのインフォメーションカウンターに座っておるから、お目見えの機会があればありがたいのう。

Twitterもやっていたが、今はお休み中じゃ。今はNEXCO東日本が運営する「ドラぷら」を中心に情報発信をしておるからサイトをチェックしてほしいぞ。

――最後に博士からメッセージをお願いします。

いつも安全運転ありがとうございますじゃ。冬はスキーやスノーボード、温泉旅行など、冬ならではのレジャーもたくさんあるから、クルマでのお出かけも多いかと思う。しかし、冬の高速道路は普段と違い、注意しなければならないことがたくさんあるんじゃ。今回わしが話したことを忘れずに、引き続き安全運転をよろしく頼むぞ。

――ありがとうございました! ちなみに博士は冬以外の季節は何をしているんですか?

むむ。それはヒミツじゃ。

  • 趣味はスノーボードのマンモシ博士

冬の運転は気をつけよう!

今回は、マンモシ博士に冬の高速道路での安全運転についてお話を伺いました。心構えと準備、高速道路で気をつけたいスポットなど、余すところなく教えていただきましたね。

博士から聞いたことを忘れず、冬のドライブにはいっそう気をつけて臨みましょう。マンモシ博士との約束です!

<関連リンク>
ドラぷら マンモシ博士 冬の高速道路ガイド

<取材協力>
NEXCO東日本

(取材・文:神田匠/写真:NEXCO東日本/編集:木谷宗義type-e+ノオト)

コラムトップ

MORIZO on the Road