DIYカスタムで仕上げたスバルWRX STI S209レプリカ。4WDターボのMT車で走りも楽しむ
トヨタ・カルディナGT-T(ST210)でドラッグレース大会などを楽しんでいたオーナーさんさん。故障を機に乗り換えを検討した際にこだわったのは『走りも楽しめる4WDターボのMT車』であることだたっという。そうして選んだ現在の愛車スバル・WRX STIでのカーライフを伺った。
クルマの選択基準は人それぞれ。ボディ形状やサイズ、さらにミッション形式や駆動方式など求める性能や用途によって異なっている。このスバル・WRX STI(VAB)オーナーであるShinozakiさんの場合は『走りも楽しめる4WDターボのMT車』という条件に合うクルマのなかから理想の1台を見つけ出し、週末のドライブからドラッグレースまでカーライフを存分に満喫できる最高の相棒を手に入れたという。
全日本ラリー選手件(WRC)をはじめとするモータースポーツシーンで長年にわたって活躍してきたスバル・インプレッサWRXの後継モデルとして誕生したWRX。なかでもスポーツモデルのSTIは、4ドアセダンながらもパワーと耐久性を備えたEJ20エンジンを搭載し、フルタイム4WDとの組み合わせで高いパフォーマンスを発揮する。
「このWRX STIに乗る前はトヨタ・カルディナGT-T(ST210)に乗っていたんですよ。10年以上前に友人に誘われてドラッグレースに参加したんです。これが楽しくてついハマっちゃいましたね。それから仲間と一緒に定期的に出場していたんですが、パワーアップとともにATが滑りはじめちゃいまして。OHしてみたんですが最後は走行距離が29万キロあたりでまたダメになっちゃって、それで乗り換えを決意したんです」
カルディナは仕事でステーションワゴンが必要だった選択肢であったのだが、乗り換えを考えた時にはワゴン縛りはなくなっていた。ただし、カルディナGT-Tで楽しめたこともあり狙い目は4WDターボで、MTというのは外せない条件だったという。
そこでまず思い浮かんだのがトヨタ・セリカGT-FOUR(ST205)だが、当時(2018年頃)はコンディションの良い中古車が見つからず、思い悩んだ末に目に止まったのがこのWRX というわけだ。
「車種を悩んでいたときに、ふと昔からスバル車も気になっていたことを思い出したんです。WRXなら希望通りの仕様がありますし、比較的高年式のため探せばコンディションの良い中古車も見つかります。もちろん狙い目はWRX STIに限定したんですが、運よく走行2万キロの2014年式VAB型が見つかって即決しちゃいました」
カルディナ時代からドラッグレースにも参加していたこともあり、WRX STIはECUセッティング変更によるライトチューンで330psまでパフォーマンスアップを施しているという。
「購入当初はノーマルでしたが、何か手を加えたいなと思って吸気をイジったんですよ。そしたら思いっきりパワーダウンしちゃいました。この辺の年式から単純なパーツ交換はデメリットにしかならないと聞いていたんですが、本当に遅くなってしまったのは驚きましたね。その後は排気系とECUセッティングも変更したため、今では若干のパワーアップは果たせています」
ツインリンクもてぎで行われる0-300mの走行タイム計測で、現在の仕様でのベストタイムは13秒台。乗り換え当初はパワーがあると感じていたものの、徐々に慣れてしまい現在では330psでも不足を感じてしまっているという。
そのため今後はさらにパワーが欲しくなるドラッグレースではなく、現状のパワーを活かして楽しめる周回レースなどにも参加してみたいと考えているのだとか。
エンジンチューンだけでなくエクステリアのカスタムもポイントだというShinozakiさん。そのコンセプトは世界209台限定、しかも日本では未発売だった『S209』仕様だ。
「国内で手に入らないオーバーフェンダーは自分で輸入して取り付けました。他にもボンネットのダクト加工やカーボンラッピング、リップスポイラーなどのエアロパーツもすべてDIYで仕上げています。エンジン系のメカニカルな部分も基本的には自分で作業しているので、お気に入りの部分といえばこのクルマ丸ごとって感じですね」
S209フェンダーによって前後共にワイド化されたボディに合わせるため、ホイールスペーサーによってツラ具合も改善。また、足まわりはノーマルのままだが十分にスポーティな走りが楽しめるという。
フロントグリル内やトランクリッドに貼られるエンブレムには、しっかりと“S209レプリカ"と描かれている。こういった細かいアレンジを自信の手で行っているのも見どころといえるだろう。
またストラットタワー上部を覆うカバーもDIYで作ったアイデアパーツ。こちらは100円均一で見つけた金属製カップを使い、タワーバーの逃げ部分をカットしてペイント。高価なパーツを購入するのではなく、自分で考えたパーツ作りもDIYの醍醐味なのだ。
街乗りやミーティングへの参加なども行っているため、インテリアは使いやすさを考えてノーマルを基本に追加メーターをプラスする程度に抑えている。
もっとも、シートやステアリングなどは純正で質感の高いレザー製を採用しているので、積極的にカスタムを加える必要がないというわけだ。
当初の想定通りパワーやパッケージングには大満足というShinozakiさん。さらに様々なパーツでカスタムやアレンジの楽しさも十分に満喫できているという。
「基本的にはカーボン柄が好きなので、リップスポイラーなど色々な部分にカーボンパーツを選択しています。ルーフやトランクリッドはカーボンシートをDIYで貼ってみたんですが、初めての作業だったので1回目は失敗しちゃいました。2回目でうまく貼れるようになったんですが、やっぱりトランクリッドの曲面は貼りにくくて2枚貼りになっています。今後やり直すなら1枚貼りでチャレンジしてみようかなって思っていますよ」
「通勤には別のクルマを使っているんですが、WRXは4年強で3万キロくらい走行しました。やはり乗って楽しめるのでついつい距離が伸びてしまうんです。でも長く乗り続けたいと考えているので、なるべく消耗しないように気を遣うようにしていますよ」
ちなみに、このWRX STIに決める前はステーションワゴンの使い勝手には後ろ髪を引かれてスバル・レヴォーグも候補に上がっていたものの、結果的にWRX STIを手に入れ、その性能には大満足しているという。
もちろんドラッグレースを楽しみながら、サーキット走行へ新たなステージに導いてくれたのもベストな選択だったといえるのだ。
以前乗っていたカルディナではオーナーズクラブの代表も務めていたShinozakiさん。クルマは変わってしまっているが、今もクラブの仲間と繋がり、定期的にBBQなどのアクティビティも楽しんでいるという。
クルマがもたらした縁でドラッグレースにハマり、さらにそこで体感したパワーに魅せられた結果、現在の愛車であるWRX STIにたどり着いたShinozakiさんのカーライフには、これからも様々な楽しみが待ち構えているに違いない。
- 取材協力:
- カンセキスタジアムとちぎ 栃木県宇都宮市西川田二丁目1-1
栃木県フィルムコミッション
(⽂: 渡辺大輔 撮影: 中村レオ 編集:GAZOO編集部)
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