30年前に一目惚れ、今なお虜にさせる隠れた名車 マツダ ユーノス 100
仙台に転勤になり、気晴らしにクルマでも買おうかと考えながら自転車で出社していると、運命の出会いが訪れたと話してくれた「anatoshiさん」。
通勤途中にあるマツダのディーラーにふと目をやると、黄色のボディーをキラキラさせながらショールームに飾られている「ユーノス100」が目にはいったそうです。なんだ?あのクルマは…と、吸い込まれるように近づいていき……。
今回は、amatmshiさん×ユーノス100 のお話をお届けします。
――まさに、運命の出会いだったんですね。
そうなんです。本当に偶然?いや必然で、僕はそれまでMAZDA車に乗ったことがなくて、通勤途中にマツダのディーラーがあるにも関わらず、ショールームに何が展示してあるのかもあまり知らなかったんです。
言い方は悪いけど、それくらい無関心でした(笑)。ただ、ユーノスの黄色いボディーが目に入ってそちらを向くと、どうだと言わんばかりにユーノスが僕を見た気がしたんですよ。なんてカッコいいクルマなんだ……!と、あとはもう惚れ込んじゃったという感じです。
――じゃあ、それまではユーノスに乗ろうと思っていなかったんですね。
それどころじゃありませんよ。車名も分かっていなかったんですから。
――え……そうだったんですか!。
「すみません、これって何ですか?」から入りました(笑)。というのもね、このクルマって全然人気がなかったから、街中を走っていなかったんですよ。
見たことがないっていう人は、今だに多いんじゃないかな〜? 当時のとある雑誌に月間売上台数が載っていたんですけど、187台のうち187位で、全国で2台しか売れていないと分かった時は、何とも言えない気持ちになりましたね(笑)。こんな素敵なクルマなのに、何がダメだったんだろう……。
――どこが素敵だと思いましたか?
良い意味で、MAZDAらしくない斬新なデザインがまず気に入りました。
面構えを見るとTHEスポーツカーという感じですが、リトラクタブルヘッドライトがニョキっと出てくると、愛嬌のある可愛らしい顔付きになるというのが1つ目です。
リトラクタブルヘッドライトが上がっていると四隅がよく見えて、すごく運転しやすくなるというのも好きな理由ですね。それならフェンダーポールをつけるんじゃなかったと、乗って後悔してます(笑)。
フロントでいうと、十二単をモチーフにしたエンブレムも気に入っていますね。
――2つ目は?
サイドの下部分が黒く塗ってあるのでボディーが薄く見え、ラインが美しいことですね。
アンテナが屋根部分についているんですけど、この針金アンテナがクルマにすごくマッチしているでしょ?走ると、ビヨンビヨンと揺れるのも好きです。
――3つ目まで聞いちゃいましょう。
え、まだまだあるのに…。じゃあ、強いてあげるならテールライトが横一直線のところですかね。
当時発売されていたクルマって、だいたい四角が両端にくるデザインが多かったんですが、ユーノスはサイド部分まであるんです。これが近未来的というか、自分の中では最先端な気がして気に入ってます。
明るめの黄色なんだけどギラギラしていなくて、だけどよく見るとラメが入っていて、日にかざすと真珠みたいに光るボディーとの相性が抜群だな、なんて思っています。
――内装はどうですか?
よくぞ聞いてくれました!なんと、車内は全部本革なんです。収納などは必要最低限しか付いていませんが、本革独特のあの匂いと、シートに座った時にギュッと音を立てながら身体が沈んでいくのは、いつ乗っても好きだなと感じる箇所です。
まぁ、そればっかりに気を取られて、ドリンクホルダーは1つも無くて、運転席のシートは腰が痛くなるから変えましたけどね。
――ええええ!
大丈夫です。ドリンクホルダーは十二単のマークをプリントして作りましたし、運転席のシートは下に木の板をくっつけて、我が家の座椅子にしましたから。
この座椅子に座って、仙台にいる時に撮影したユーノスの写真を眺めるのが日課です。
――維持に関してはどうですか?
あまり売れなかったので球数が少ないということもあり、部品にはかなり苦労します。だけど、流用して手作り でなんとかすることもあります。
あとは、エンジンを自分で塗ったり、ちょっとやれてきたなというところにはカーボンシールを貼ったりとかね♪見る人が見たらビックリするかもしれないけど、僕は気張らずに維持していきたいと思います。
ちなみに、走りは遅いですよ。だけど、僕にはこれが合う。今までワンダーシビック、ランサーなど走りに特化したクルマに乗ってきたけど、ゆったり乗れるこれが合うんです。
荷物もそれなりに積めて実用性があります。安全性能は今のクルマからすると低いし、電子制御も入ってないから自分でしっかり運転しなくちゃいけないけど、これが合うんですよ。
深夜に家を出発し、明け方まで走ることがあるというanatoshiさん。乗っても乗っても飽きないのは、このクルマが名車だからだという。
良いクルマというのは世間の評価ではなく、自分の評価だと教えてくれました。
【X】anatoshiさん
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