先人たちの願い 〈雷神塔〉
切なる願い
以前に少しばかり話題に触れました、大高森頂上にある
「雷神塔」についてご紹介したいと思います。
大高森は松島湾最大の宮戸島のほぼ中央に位置します。
宮戸島は大きく4つの地区に分かれ、そこに居住する人々は
主に海苔や牡蠣などを養殖する漁業で生計をたてておりました。
また漁業に比較すれば小規模ながら農業も営んでおり、中でも
水田は貴重なものでした。
ところが昭和50年代に圃場整備が行われる以前は、水田の
大部分が丘陵性台地にある凝灰岩よりなり、表土が浅く、
農耕にははなはだ不向きで、且つまた農業用水が簡単には
得られず、自家消費米にも不足する状態であったことから、
「天水の恵み」である降雨はとりわけ重大な関心ごとでした。
そのため、田植えの時期が近づくと島民が揃い、当初は現在の
里浜地区にある「医王寺」にて祈願のお参りが行われてきました。
その祈り、願いは切実なもので更なるお恵みをうけるべく、
地区内で一番高さのある大高森に雷神塔を建て、祈願を
するようになったそうです。
特に降水量が少ない年などは「雨乞い」の儀式なども行われて
いたようですよ・・・。戦後にも一度だけあったそうです。
現在では天水に頼らずともしっかりした圃場と用排水のラインが
確保されておりますので、お参りは昔のようではありませんが、
自然の恵みに感謝の意もこめて、地区内の代表者の方々により
昔ながらの六月一日に行われているようです。
我々の生活は、先人より受け継がれているものなのですね。
あらためてそう感じさせてくれる「雷神塔」なのでした。