海を渡った大根(2)
キツネのコンタは、秋に再開します。夏なので、高原野菜の物語!
『海を渡った大根』(2)

「考え方は2つ。
枠の中で生きることを人生の目的とするか、
目的のために移動しながら生きることを人生の目的とするか、
それを選択するのは自分自身だってことさ。
しかし、世の中は広い。築地、菅沼の原だけが世界じゃない。
世界には街もある、山もある、そして、俺たちが憧れる海もある。」
次郎も順夫も健太のこの言葉を聴いて、うつむいてしまった。
しばらく沈黙が続いてから健太が口を開いた。
「海ってのは空よりも青いっていう。終わりが見えないって言う。」
「どんなに遠いんだろう。」
今度は次郎が言った。
「市場に行くより全然遠いさ。」
と健太。
「そうだろうな。」
「どうすればいけるんだろう。」
と順夫。
「市場へ行くトラックがあるんだ。きっと海へ行くトラックだってあるさ。そいつに乗ってゆけばきっと海にいける。広い、青い海へ。」
「そのトラックはどこへいけば乗れるんだろう。」
「それは市場にある。」
「市場に?」
次郎も順夫も今の健太の意外な言葉に驚いて、目を真ん丸くした。
「そう、市場。市場には日本中の野菜や魚たちが集まってくる。
キャベツ、白菜、大根、レタス、ブロッコリー、ほうれん草、ジャガイモ、インゲン、
とうもろこし、それに,サンマ、サケ、マグロ、アジ。
俺たち野菜は山から、あいつら魚は皆遠い海から来るんだ。」
「それじゃー、そいつらを乗せてきたトラックに乗っていけば、海にいけるってこった。」
頭のいい順夫がなるほどといわんばかりにしゃべり始めた。
「よし、それじゃー、早く市場まで行って、そのトラックを見つけて乗り込もうぜ。」
「ようし、、そうしよう。」
彼らがあれこれ話し合っている間に、時間は午前2時半をまわった。
3時になれば、農家の人達が彼らを取りに来る、。
彼らは誰よりも早く成長して、誰よりも早く市場に行くために、
一生懸命、地面の中の栄養分を吸収した。
彼らは見る見るうちに、ひとまわり、ふたまわりと大きくなっていった。
彼らがもうこれ以上は栄養が取れないくらいに大きくなった頃、
遠くの方からトラックのディーゼル音が聞こえた。
農家の人が野菜を取りに来たのだ。
彼らは果たして、市場にいけるんでしょうか?
・・・・・次回へ続く・・・・・