海を渡った大根(5)
海へ行くトッラックははたしてあるのか・・・・・・

健太たちが人間の目を盗んで、隣の倉庫まで行くと、
健太の言ったとおり、魚たちが並んでいた。
しかし、魚たちは海にいるときと違って、元気がなく、
目はとろんとして、少しも動かなかった。
健太たちはそんな魚たちを見て、ぞっとしたし、又、悲しくもなった。
「こいつら、みんな、死んじまってるぜ。」
「ああ、全然うごかねえし、だいいち、あの目が気持ち悪い
それにぽっかり開いたあの口も気持ち悪い。」
「海ってえのは本当に楽しいところかよ。
魚がわがもの顔だ、信じられねえよ。
海へ行ったら俺たちも、あんなふうになっちまうんじゃねえだろうな。」
「そんなことはねえよ、魚たちにきっと、
きっと何か大事件が起きたんだ。きっとそうに違いねえ。」
「アーっ。」
健太の言葉が途中で切れ、言葉が悲鳴に変わった瞬間、
健太は宙高く舞い上がった。
仲間たちはどうしたのかと上を見上げると、
でっかい人間が健太をつるし上げて立っていた。
「おおっ。この大根は生きがいいぜ。でも、どうしたんだ。こんなとこに。」
と、人間が言った。
「神様のおめぐみだぜ。もらってけよ。」
と、もう一人の人間が言った。
「これならいい大根おろしができそうだぜ。がっはっはっはっ。」
「大根おろし、冗談じゃねえ、おろされてたまるか。」
健太は必死に抵抗したが、何しろ大男だ、全然かなわない。
「おいっ、見ろよ。大根だけじゃねえ、
キャベツにレタスに白菜もあるぜ。」
次郎たちはドキッとしたが、もう逃げられない。
「おお、今日はついてるぜ。」
人間たちは二人で顔を見合わせて、大きな声で笑った。
そして、大根やレタス、白菜を自分たちの車のある方へ持っていった。
しばらく歩くと、人間たちは車に着いた。
車には大きな魚の絵が描かれていた。
きっと海から来たトラックに違いない。
だが、健太たちはそんなことを考えている余裕はない。
彼らが不安におびえていると、
「おい、今日はおいしい鍋物が食えるなあー。」
と、、大男が言った。
「ああ、いい収穫だったぜ。」
「どれ、荷台にこいつらを積んでくれ。」
「おおっ。」
返事をした人間はトラックの後ろの扉を開くと、
白いハッポースチロールの箱の中に
大根や白菜を入れた。
その箱の中は塩っ辛く、生臭かった。
野菜を入れ終わると、人間は扉を閉めた。
荷台の中は真っ暗になった。
この後、健太たちはどうなるのだろうか、
果たして、、健太たちの運命はいかに・・・・・・