俳優デビュー!?−その3
先月、スズヤキマンに降って湧いたにわか俳優の話、その3。
珠洲焼のPRドラマで、主人公が弟子入りする師匠の役を与えられたスズヤキマン、出番シーンの撮影は26日から28日の3日間。その一日目、工房でロクロをひくシーン。こっちは本職なので、まあ大丈夫。と、思いきや、予想しなかった重労働が待ち受けていました。

まずは、自分がろくろで茶碗を挽いていて、横では主人公役の石川沙彩(いしかわ さあや)さんが、土を練るシーン。粘土を練った跡が菊の花のようになるので、菊練りと言われる仕事です。
陶芸の体験がほぼゼロ、という石川さんでしたが「こういう風に練るんですよ」とやってみせると、初心者とは思えない手つきでそれなりに練って見せたので感心しました。さすがに役者さん、動きをすぐに自分のものに出来るのでしょうか。
次が、私が壺を挽いているのを見ている主人公、というシーン。ついさっき挽いた茶碗を潰して練り直し、壺を挽きます。
なにせ人の工房でやっているので、自分で用意してきた粘土に限りがあります。
やれやれと思う間もなく、今度は主人公が自分の思うような作品ができず、ろくろを挽いて作りかけた壺を潰し、また作りかけて潰すというシーン。
私の出番は無いのですが、作りかけの作品をろくろに用意するのは私の役目、
「坂本さん、それじゃ、まず半分くらいの作りかけをお願いします」はい、はい分かりました。で、主人公が、少しひいてグシャっと潰す。
「次は、だいぶん完成に近いやつをお願いします」はい、はい。グシャ。
「では、最後に迷いが無くなって元気に作品を作っているところ、大きめの何か、お願いします」はあ、はい…。
といった調子で、えーと、何回土を練り直してロクロを挽いたんだろう?
普段仕事でやっていることなのですが、スタッフ皆がじっと待っているのでもたもたしている訳にもいかず、大急ぎで、しかもあまりみっともないものは作れない。
こんなプレッシャーを受けながらロクロを挽いたのは初めてで、最後は腕から指にかけてけいれんを起こしそうでした。情けない。とほほ…。

しかし、映画のスタッフや役者さんはすごいな、と思いました。
雪がちらつく、最高気温が1度か2度という中で、準備ができるまでじっと待つ、撮影がはじまれば何度もテストやら撮り直し、その間、泣き言もなく嫌な顔ひとつ見せない皆さんの姿に、プロの根性を見ました。
画像は、肖像権の関係で俳優さんの映っているものはだめだそうなので、遠くから撮った撮影風景です。それと、主人公が最後に潰した壺。これは、制作担当の方との相談で、焼いてみることにしました。面白いオブジェになった、かな?