陸上自衛隊新型戦車開発の背景3
米英独以外の主力戦車は。
フランスの主力戦車はルクレール、これは外装式モジュラー装甲やC4Tに先鞭をつけた先進戦車で重量も55トン程度とM1やレオパルト2に較べれば軽量だ。主砲は仏ジアット社製の120ミリ52口径滑空砲で世界初の第3.5世代戦車といえるだろう。
ルクレールには中東諸国向けの改良型があるが本家のフランスでは装甲を強化した改良型を評価予定だそうだ。
イタリアの主力戦車はC1アリエテ、これは輸出専用のOT40に複合装甲の砲塔をつけた改良型で重量も47トン程度、エンジン出力も1200馬力で他国の主力戦車と比較するとやや劣る。
現在は改良型のC2を開発中とのことだが、これも装甲を強化した重量型でエンジン馬力も1500馬力となるようだ。しかしこれで90式戦車クラスと言われる。
ところでイタリアは戦車の他に強力なセンタウロ装輪戦車を装備しており南北に長く国土のほとんどが地中海に面して敵の上陸侵攻を受けやすいイタリアはどちらかと言えば軽装甲でも機敏な機動性を重視しているようにも思われる。
次はイスラエルのメルカバ、これは車体前面にパワーパックを装備してそれを防御装甲の一部に使い、楔型砲塔を装備し、後部には歩兵4名が乗車可能な空間を持つ特異な主力戦車として誕生した。その後メルカバMK3に至って120ミリ滑空砲と外装式モジュール装甲を装備し、メルカバMK4は全周にわたって装甲を強化、自動装填装置と高度な電子機器を装備した第3.5世代戦車として登場した。
こうして見て行くと各国の主力戦車は重量が増加しても全周にわたって装甲を強化し、自動火器、対人榴弾発射機などを装備して対市街戦、対ゲリラ戦を強く意識した改良を行っているので陸上自衛隊の新型戦車は軽量化という世界の趨勢とは全く逆行した方向に向かおうとしているようだ。
これも日本の地形を考慮した結果なのだろうが、何となく側面などは歩兵携帯型対戦車ロケットでいちころのような印象を受けるし、自動火器もこれまでの同軸機関銃と砲塔上部の機関銃だけのようなのでどの程度市街戦やゲリラ戦に耐えられるかやや疑問のあるところだ。
もっとも側面や後面はモジュール装甲を開発装備すればある程度改善出来るだろうが、出来上がったものは放置するのが自衛隊のやり方なのでどうなることか。
しかしまだ第一次試作2号車だそうだから、この後第二次試作3、4号車が製作されるだろうし、量産車までにはあと2回の改良の機会があるので今後の発展を注視しよう。