航空自衛隊、次期主力戦闘機の選定を見送り【2】
FS−Xは世界最強の戦闘攻撃機として日本の空を守るはずだったが・・・。
航空自衛隊がFS−Xの開発を決めた時はまだ冷戦真っ盛りの時期だった。航空自衛隊は旧ソ連が大船団を組んで日本に侵攻して来るのを阻止するために対艦ミサイル4発を携行して450海里の行動半径を有する当時としては世界最強の戦闘攻撃機を作ろうと意気込んだ。
しかし政治の壁に阻まれ、自主開発から米国製F−16を改造して開発するという変則的な開発となり、しかも完成間近の段階でその矛先を向けるべき旧ソ連は崩壊して日本に武力侵攻を企図出来る国は同盟国の米国を除いては存在しなくなってしまった。
しかも米国がF−16のフライトデータソースの供与を拒否したためにこれを一から自主開発しなくてはならなくなり開発予算が高騰するなどの問題が生じた上にロッキード社に開発・生産の40%を委ねなくてはならずコストダウンもままならず機体価格は120億を超えるほどになった。
そしてF−2に止めを刺したのは炭素複合材による一体成形の主翼の強度不足やFCSの能力不足などシステムとしての戦闘機開発の経験の無さが原因のトラブルや機体価格の高騰に加えて流行になり始めたマルチロールファイターとしての能力の不足だった。
防衛庁(当時)は、機体が小型で今後の改良の余地がない、高価な割には性能不足と決め付けてF−2の調達を打ち切った。しかしこれは機体のせいではなく用兵側の要求仕様の問題だろうし、機体自体は新型格闘戦用のAAM5を装備すれば接近戦では恐るべき格闘能力を有する戦闘機であることは証明済みだそうだ。
またF−2に撃ちっ放し性能を有する長距離ミサイルのAAM4を運用する能力を付与すればヨーロッパ共同開発のタイフーンやフランス製のラファールなどと同等の戦闘能力を有し、艦載機で重量の重いFA−18E/Fなどよりも高性能な制空戦闘機として今後も十分に第一線の戦闘機として使用が可能だろう。
大綱で戦闘機の装備機数が制限されている航空自衛隊は金に糸目をつけずに世界でも最高性能の戦闘機を欲しがるので実際には第4世代あるいは第4.5世代と言われるこのクラスの戦闘機ではなく、さらに機体規模が大きくステルス性能を有するさらに高性能の第5世代と言われるFA−22がどうしても欲しいのだろう。
今回は当面能力向上型F−15、80機を当面の航空自衛隊の主力に据える心算のようだが、能力向上型F−15、120機程度と制空戦闘能力を強化したF−2、140機程度の合計260機で当面の日本の空の守りとしても良かったように思う。ただし、1機120〜130億と言う機体価格だけはちょっといただけないが。その価格を落とすことができないと言う状況もF−2に見切りをつけた理由の一つなのだろう。
そうしておいてもう一度日本でATD−Xのような機体をじっくりと自主開発して逆に米国に圧力をかけるような形でFA−22の導入について交渉しても良いように思う。場合によってはそのまま実用戦闘機開発と言う方向に進んでも良いのではないか。ただしシステムとしての制空戦闘機開発というプロジェクトを推進する力が日本にあるかどうかは難しいところだが。
全くの部外者でF−2にどんな問題があるのかは窺い知ることも出来ないが、それにしても1兆円もかけた計画にしては中途半端で如何にも勿体無いと言う気がする。今後も日本の空の守りの一翼を担う戦闘機なのだろうからF−2の能力向上に心がけて今後も是非大事に使ってもらいたいと思う。