バラ

2008年5月23日

薫風

風薫る5月

軒下から滴り落ちるしずくに首をすぼめ
大きく開け放って中庭に出る
すでに大気は膨張の一途だ
なんと言おうと断然たる孤高の輩から恵みを授かろうと両手を広げる

 

乱反射の視界は一隅の隙間を縫って
大気の中に集束する一方
温んだ池の水面では拡散の舞台芸を繰り広げる
さらに水中奥深くナノ単位までの振動で轟然と差し込む

 

ここそこに感じられる息吹は確かなものであろう
しかしだ
砂上の楼閣よろしく不如意なものでもある
一陣の突風がその証拠だ
うなじにたまっていたぬくもりなど微塵もない

 

時には揺らめく陽炎も切り裂かれるカーテンよろしく
断罪され
風前のともし火の一人舞台となる
しかしだ
熾火はかえって自らの肺を大きく膨らませることになる

 

ふたたび、三度と春への思いは強まり
遠来の綿毛に乗った薫風は土地を席巻し始め
爾来
居を確実なものにする

 


 


2008年5月23日 9:13

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