京都大学 高坂会のホームページ

日本を代表する国際政治学者であり、熱狂的なトラキチ、そして、ちょっとだけタレントとしても活躍された故・高坂正尭先生の門下生(ゼミ生)で作る高坂会のホームページです。会員の交流&情報発信の場として利用させていただきます。世界各地を飛び回っている高坂先生の教え子の近況や今後の日本の針路に関する真剣な議論を公開させていただきます。


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2008年4月14日

高坂先生13回忌に寄せて[佐古 丞/7期]

7期の佐古さん(大阪学院大学 国際学部 教授)から投稿をいただきましたのでご紹介します。



高坂先生の言葉
                                 
7期 佐古 丞

 東京からこちら(関西)に戻ってきて、もう二十年近くが経ちました。その頃、悩んでいたことがありました。修士課程の時のテーマは、「ヨーロッパ防衛共同体の挫折」というもので、1950年代の西ドイツ再軍備を巡る米仏関係でした。ところが博士課程では、戦間期の日本外交にも首を突っ込んでしまいました。以後、ヨーロッパの安全保障と戦間期の日本外交の両方を勉強する羽目になりました。

 博士課程になってからは色々と研究会にも出席を許され、発表もさせてもらっていたのですが、研究会の後の食事会の時、出席されていた先生方のアドバイスに必ずといっていいほど、「どちらか一本に絞らないといけない」というのがありました。地域も違うし、年代も離れている、安全保障なのか歴史なのかということがあって、ごくごく当たり前の助言だったと思います。何処に行っても「どちらかにすべし」といわれました。私にはどちらも捨てがたいテーマだったのですが、さすがに「日本にするかな」と少々弱気になっていましたし、一度は本当にヨーロッパを捨てようと思った時もありました。
 少し大袈裟にいえば、それからの私の勉強の方向付けを決するような問題でした。

 こちらに戻ってきてすぐの頃、大学に先生をお訪ねし、日仏学館の庭でランチをご馳走になりながらこの件に関してご相談しました。「色々いわれますが、両方やりたいんです。どうでしょうか」と。すると先生は、「ええやん。両方やったら。その内、みんなつながってくるよ」と仰って下さいました。その時、何だか気分がスッと楽になったのを憶えています。

 元来、「計画性」という言葉とは無縁の私です。行き当たりばったりで二つのテーマに首を突っ込んでしまったものの、収拾がつきにくくなってアチコチから否定的コメントをもらっていた時でしたので、先生のお墨付きを頂いて安心したのです。

 先生は、「若い時は、好きなことをさせておいた方が伸びるんや」と仰っておられました。私が伸びたかどうかは横に置いておいて、両方の勉強をしたことは確かに良かったと思っています。「その内、みんなつながってくるよ」と先生が仰ったことが何となくわかってきたようにも思います。

 私も学部生や大学院生を教えるようになり、正に「好きなことをさせた方が伸びる」という実感をもっています。

 実はこのところ、ヨーロッパの方はかなりおろそかになっていますが、先生に許された「両方やる」ということを忘れないように、これからも勉強していきたいと思っています。
                                      以上

(大阪学院大学 国際学部 教授/大阪学院大学高等学校 校長)


2008年4月14日 15:41

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