京都大学 高坂会のホームページ

日本を代表する国際政治学者であり、熱狂的なトラキチ、そして、ちょっとだけタレントとしても活躍された故・高坂正尭先生の門下生(ゼミ生)で作る高坂会のホームページです。会員の交流&情報発信の場として利用させていただきます。世界各地を飛び回っている高坂先生の教え子の近況や今後の日本の針路に関する真剣な議論を公開させていただきます。


高坂先生13回忌に寄せて[高坂節三さん]その5

2008年5月20日

高坂先生13回忌に寄せて[久保 浩史/高坂会 会長]

高坂会 会長の久保さんが以前、「高坂先生を偲ぶ会」で発表された挨拶文を、「13回忌・記念文集」に転載して再録させていただきます。これは、1999年秋に東京国際フォーラムで開催した「第四回高坂先生を偲ぶ会」のパンフレットに掲載したものです。90年代末の時代の雰囲気がよくわかると思いますので、原文のまま転載させていただきます。



いまこそ先生からいただいたご薫陶を実践する時


久保浩史 高坂会 会長

 先生が逝ってしまわれてから、早くも3年半になろうとしています。まことに月日の経つのは早いもので、この偲ぶ会も4回目を数えます。この間、実にいろいろなことがありました。
 先生がお亡くなりになった頃は、6,850億円をめぐっての住専問題でしたが、その後の拓銀の破綻を皮切りに、山一、長銀、日債銀等々の雪崩を打った金融崩壊や生き残りを賭けた何でもありのこのところの日本経済をめぐる対応を、先生が見られたら、どうおっしゃるのでしょうか?
 金融に関してだけなら、「だから言わんこっちゃない。あれだけ、いまの金融は問題が多いと言うとったのに、努力をせなんだとは言わんが、結果的には手をこまねいていたのと一緒のことや。行くなというアドバイスを無視して、ゼミ生もようけい金融に行きよったが、心配なこっちゃ」というところでしょうか。

 政治もたいへんです。訳のわからぬ「自自公」に加えて、変わってもいない教科書が変わったとして中国に詫び、経済でも失敗した宮沢さんが蔵相を続投、外交では、ありもしない従軍慰安婦問題について「あったかの如く政府見解を出したり(当時の石原副官房長官が明言)」、出張中に台風に遭って、台北に避難したものの「機中から一歩も出ず、しかもそのことを銭其深に報告した」河野さんが外相に就任するなど過去を忘れてしまった、これも何でもありの政治に対して、亡くなる前の高坂会の総会での「これからはますます政治の責任が重要になる」とおっしゃった先生の言葉が身に沁みます。

 それだけに現在われわれのなすべきことは何でしょう?
 先生のゼミ担当期間が約30年に亘りますだけに、ゼミ生間に、先生とゼミ生個々人とが関与していた時代の差は区々ではありますが、先生とともに考え、議論した「日本のあり方」ということについては、そんなに大きな隔たりはないのではないでしょうか。
 しからば、われわれのなすべきことは自分の所属する組織にあって、そこで尽力することで「日本に貢献する」ことは当然のことであって、いま大事なことは、そのこと自体はなかなか難しいことではありますが、社会に対して自分なりの発言をし、行動していくことではないかと思います。そして、そのことが先生からいただいたご薫陶を受け継いだことになるのであり、また先生がお望みになっていることではないでしょうか。

 その中でわれわれにとって身近な問題である教育問題は、日本の将来を左右する重要問題です。この問題は学校の問題というより、家庭の問題です。以前にも申し上げましたように、今日の現象は「戦後民主教育」の為せるところであり、即ち2代、3代に亘ってその洗礼を受けた親や教師の実践の結果です。
 ここまでの状況になりますと、一挙に反展開はできないと言わざるを得ませんが、「あるべき日本の姿」うを想定して、地道に取り組んでいかねばならないのではないでしょうか。そうでないとそれこそ手を拱いて、日本沈没を待つだけです。
 そして、そのことが先生が常々おっしゃっていた「僕の仕事は、若い人の考えを聞いて、それをひとつの結論まで辛抱強く引き出し、導くこと」に繋がっていくのであり、先生のご薫陶に応えることだと思います。諸君!奮起を!!

(住友化学システムサービス)


2008年5月20日 13:37

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