トヨタ自動車が4日、東京本社で開いたF1撤退会見における質疑応答は次の通り。
―撤退に至った理由は。2012年まで参戦を続けるとしてきたがこの時期に撤退する理由は
豊田章男社長「私自身モータースポーツを推進している。自動車文化にしたいと思っている。社長になってからでは立場が少し変わった。昨年来の経済危機以降、続けるかどうかは大変議論になった。モータースポーツを文化として育てたいと、チームはコスト削減にありとあらゆる手を尽くしてくれた。ファンの方には唯一残った日本チームとして応援していただいたことに感謝するし、富士スピードウェイでの撤退を決めた時も、サーキットはモビリティランド(鈴鹿サーキット)、チームはトヨタという全日本の気概でがんばってきた。最終戦が終わり今日、社内で取締役会を開き今の経済状況を考えた上で撤退せざるをえないと決定した。しかしながらこれまで育てていただいた関係者、応援いただいたファンの期待を裏切ってしまったのは、苦渋の決断だったとご理解いただきたい」
―参戦費用数百億円とも言われる。業績への影響は
豊田社長「明日の第2四半期の決算発表の場に譲らせていただきたい」
―社長自身、どう判断したか
豊田社長「6月以降社長という立場になった。取締役会で皆さんの意見を聞きながら最終判断は私がした。レースは車を鍛える、人を育てるすばらしい現場。そういう車文化を育てるため今後はアウトプットを商品に持っていきたい。F1だけのファンには申し訳ないが、モータースポーツを底辺から幅広く支えていきたい」
―エンジン供給は続けるか。それとも完全撤退か。他の国際的なレースへの参戦は
豊田社長「F1に関しては完全撤退する。ほかは継続するがそれ以外はまったく白紙だ」
―今年優勝していれば続けていたか
豊田社長「今年はよく頑張ってくれた。シンガポール、日本で準優勝した。とくに日本は私も応援に行ったがチームワークそのものの勝利だった。優勝を逃したというよりすばらしい準優勝を勝ち取った。メンバーには胸を張れと伝えた。残る2戦はTDP(トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム)出身の小林可夢偉君が出れたのがよかった。2戦ではあったが日本人として入賞もして立派に戦った。中嶋一貴君も含めまだ若いので、走りが評価されチャンスが来ると期待したい。ただ優勝したかしないかで(撤退の)結果は変わらない」
―F1撤退とエコカー開発の関係は
豊田社長「東京モーターショーではエコカーとわくわく感の両方をアピールした。100年に一度の変換期を考えると環境車が重要なのは否定しない。モビリティーとしての車の利点は移動に意思と自由があること。わくわく感を否定してはどうしようもない。今後の車も環境とわくわく感を両方成り立たせることがフルラインメーカーの役割と考える」
―TDPの方向性は
山科専務「縮小するが継続する。下のクラスのお子さんをサポートする。中嶋君、小林君はドライバー契約があり当面継続する。金銭面は考えながらやっていきたい。ここまで育ててきた2人なので、できればどこかのチームに乗せたい」
―リーディングカンパニーとしてモータースポーツへの責任は。北米NASCARへの参戦は
豊田社長「モータースポーツは底辺から裾野が広い活動。最高位はF1。すべてのモータースポーツにかかわる人が目指すのがF1。登竜門としてそれぞれの地域における文化がある。北米ではNASCAR、南米ではラリー、日本ではGT選手権など。最高峰のF1から撤退するが各地域では継続する。なぜかというと、より地域に根差した形ですべてやることは不可能と判断したので、相当がんばったがこの先を考えるとこう決断せざるをえなかった」