「フォルクスワーゲン(VW)は日本市場を大切にしている。だからこそポロとゴルフにエコカー減税対象車を設定することにした」。1月14日の新春記者会見で独VW日本法人フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)のゲラシモス・ドリザス社長は、VWの日本市場に対する積極姿勢をアピールした。会見では、エコカー減税対応車の投入を2月から開始することをはじめ、ハイブリッド車や電気自動車などの商品計画も公表し成長戦略を示した。全国250店の販売網維持に向けたドリザス社長のメッセージでもあった。
VGJの2009年の販売台数は前年比約17%減の約3万8千台。3万台レベルは1995年の約3万7千台以来14年ぶりとなる。輸入車市場では10年連続のブランド別販売シェア1位を守っているが、販売のピーク時である01年の約6万1千台と比べると、約6割の規模にまで減少した。
09年10月末に発売した新型「ポロ」の受注は好調だが、インポーターであるVGJと直接販売契約を結ぶVW系列53社116店、ディストリビューターであるトヨタ自動車と契約するトヨタ販社のDUO系列88社134店の計141社250店ともに、多くの販売店の台所事情は厳しい状況にある。
この状況下、1991年にVWとVGJ、トヨタ自動車の3社で結んだ販売提携が10年末に終了する。92年5月以来、各地のトヨタ販売店が参入したDUO系列は消え、現在のDUO系列店は新たにVGJとの契約を結んだ店舗だけがVW店として残る。
「トヨタとの協力で100%のDUO店がVW店に移行するはず」(ドリザス社長)というが、DUO消滅を契機にVWビジネスからの撤退を検討するトヨタ販売店もあるようだ。「現状のVW車の販売単価と台数では、コストの高い日本での商売は難しい」(首都圏のトヨタ販売店経営者)というのが理由だ。
そもそもDUO系列は、VWとアウディの2ブランドを扱う販売店として発足した。大都市のDUO店は販売単価の高いアウディ車を数多く販売した実績がある。ところが01年からVW専売店へと切り替わり、店舗運営コストの高い東京都心部などの店舗が閉鎖されてきた過去がある。
VW、DUO系列ともにVWの世界統一CIへの切り替えを進めてきたことで、移行に伴う新たな設備投資は少ない状況にはあるが、VW系列店に対してトヨタ販売店が経営するDUO系列店は人件費が高い。加えて主力モデルの販売価格が300万円を切るVW車は、輸入車業界のエントリーカーとしての位置付けから顧客の定着化が難しいこともあり、とくに大都市部では事業の継続性を不安視する声がある。
VGJは「VW本社からは輸入車市場ではなく登録車市場でのシェアを問われている。今後は輸入車の枠ではなく、日本車と同じ土俵で勝負する」(ドリザス社長)と、現在の販売網で18年に年間販売11万台とする成長戦略を掲げて、販売網の維持に力を入れている。
今後の契約に関するDUO店への説明は1月29日に行われるが、トヨタ販売店が11年以降もVWビジネスを継続するためには、店舗の運営コストが課題となる。東京のようにVW店を別法人に移行するなどの改革も必要となるだろう。
[2010年1月18日 22時28分 日刊自動車新聞 ]