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連載「舵を切る調達戦略」(3)ホンダ



 「大事なのは生き残ること。今年はまずそのことをしっかりと確認したい」―ホンダの山下雅也常務取締役(購買本部長)は、危機から脱出するためにホンダとサプライヤーが一体になって取り組む姿勢を強調する。

 今年度の購買方針では、サプライヤーのあらゆる費用を抑えること、仕事の仕方や体質に残る悪弊やムダを取り除くこと、そして事業の構えやサイズそのものを見直すことの3点を掲げた。
 とりわけ三つ目の事業構造にまで踏み込んだところにホンダの危機感が表れている。
 なかでも国内は「全世界で見ると二輪車も四輪車も汎用も日本が一番クッションにならざるをえない。他の地域に比べ(生産の)減り代は大きくなる」と話す。サプライヤーによって部品も工程も設備も異なるためひとくくりには言えないが、「国内生産90万台、スモールカー比率70%、1ドル90円でも利益の出る体制」を目安に事業構造、バランスシートを見直すよう要請した。
 すでに、グループのショーワ、ケーヒンなどは国内生産拠点・ラインの統廃合に着手した。あるサプライヤーは「70万台」まで下がることも視野に入れる。山下常務は「『そんなこと言ったって来年景気が戻って供給できなかったらホンダさん怒るんでしょ』と言う取引先もあるが、大きく能力を残して赤字が続きステークホルダーの信頼を失う方が重大」と話す。
 ホンダの国内四輪車生産能力は130万台。12年以降に稼働延期した埼玉県の寄居新工場は20万台だ。ホンダ本体の能力をどうセットするかという問題は残っている。
 ホンダは従来、地域ごとを基本としてきた150cc以下のコミューターバイクの部品購買を、部品ごとに3社程度に集約する「グローバル調達」に切り替える。5年後には8割を置き換える方針だ。伊東孝紳社長は7月の会見で「二輪車に続き四輪車もそういう方向になる」と語り、競争力を高めるために購買政策の舵(かじ)を切る方針を鮮明にした。
 経済危機の突破と並行して二酸化炭素(CO2)排出削減を始めとする環境対応も大きな課題。山下常務は「先進技術、環境技術というと一部のパワートレーン系の会社の話と思われがちだが、取引先400社すべての問題と認識してほしい」と3月の取引先説明会で訴えた。軽量化、空気抵抗やころがり抵抗の削減など環境技術はあらゆる分野に及ぶからだ。
 ホンダは「シビック」「アコード」「CR―V」「フィット」の4車種で世界生産の7割をカバーする事業効率の高さに強みがある。必然、優れた技術であっても米国でも中国でもタイでもブラジルでも造れる技術でなければ採用できない。「最先端技術を持ち込むと採用された昔に比べ最近のホンダは保守的になったと言われるが、日本でしかできない特殊技術による部品を供給するようではせっかくの事業効率が損なわれる」と山下常務は語る。
 ただ、海外での入手性と同時実現性にとらわれて有望な技術の採用を見送っては、後に大きな損失になる可能性がある。「実務の技術者同士に委ねるのでなく、技術をいかに事業につなげるか、われわれが段取りしないといけない」という。技術戦略を事業戦略へ進めるうえで購買本部に求められる役割は大きい。

[2009年7月24日 13時54分 日刊自動車新聞 ]

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