伊東孝紳社長は「本当の意味の今の経営の悩み」は国内生産をどう構えるかにあると言う。
◆14年ぶり100万台割れ
今年度、ホンダの国内生産計画は軽自動車を生産委託する子会社、八千代工業の四日市製作所(三重県四日市市)を含めて91万台。100万台割れは、販売不振に陥り三菱自動車との合併説まで流れた1994、95年度以来で14年ぶりになる。
ホンダは埼玉製作所(埼玉県狭山市)、鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)と東西に完成車工場を持ち、八千代工業を加え130万台の年産能力を持つ。89年には過去最高の137万5千台を生産した。
近年のピークは2006年で134万8千台を生産した。北米でも欧州でも中近東でも車が売れに売れ、現地生産主義のホンダも日本からの輸出を増やした。この年5月、ホンダは年産20万台の寄居新工場を埼玉県寄居町に建設すると発表する。
ところが昨年、世界同時不況で状況は一変した。もともと寄居は狭山に代わる関東の生産拠点として企画され、能力増強は意図していない。それでも130万台という規模は、国内外の市場や1ドル90円を割る円高からして「それだけの能力を持っていたのは懐かしいということになるのは覚悟している」(伊東社長)ほど過剰なのは否めない。
ホンダの世界オペレーションを管理する「生産販売計画会議」の議長で生産本部長の浜田昭雄専務は、国内生産の構えについて「われわれとして今期中にはまとめるが、最後はマーケットと経済によって決まる」と話す。
◆90万台でロスを出さない
狭山と鈴鹿の4本の完成車ラインは全8直のうち6直で操業している。エコカー減税・補助金で好調な「フリード」「インサイト」「フィット」の増産には、稼働率が低い二輪車系サプライヤーから200人を受け入れて対応するなど、年産90万台でもロスが出ないぎりぎりの8分の6体制で慎重な運営が続く。
そうした状況下で建屋がほぼ完成した寄居新工場にいつ設備を導入し、稼働に踏み切るか。寄居が動けば連動して狭山の生産を縮小することになる。一足先に今夏、ディーゼルエンジン部品の鋳造加工を始めた小川エンジン工場(埼玉県小川町)や、鈴鹿製作所への波及も含めて、いったん停止した新工場プロジェクトと生産再編をどう構想するかは、ホンダの将来に与える影響があまりにも大きい。
◆2万5千人の雇用
伊東社長は「内需は伸びない、為替構造は不安定。同じ原資を投入しグローバルホンダの業績を伸ばそうとするなら、もともと標ぼうしている現地生産現地販売の方が手堅い」と話す。「ただ、日本には雇用の問題がある。HVとか新技術はまず日本で造りあげてということもある。それで悩んでいる」。国内の製作所は2万5千人を抱える。「日本を中心としてグローバル成長に必要な体制づくりを始めること」を命題とした10次中期(08〜10年度)の根幹の部分でホンダは自問自答せざるをえない。
◆二酸化炭素(CO2)削減の命題も
寄居稼働問題と別に、国内生産にはCO2排出削減という命題がある。ホンダは総量でなく原単位で目標設定する。浜田専務は次の20年目標について「われわれはCVCCエンジンとか環境で生きてきた企業だからしっかりやりたい。目標を高くしないと人間は伸びない」と話す。
[2009年11月24日 20時25分 日刊自動車新聞 ]