ホンダは1999年に発売した初代「インサイト」以来、ハイブリッド車(HV)のパワーユニットを1モーターのIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)で通してきた。栃木県芳賀町の本田技術研究所・四輪R&Dセンターでは今、第2のHVユニットとなる中大型車用2モーターシステムの開発が進む。
減速エネルギー回収も加速アシストも一つのモーターがこなすIMAは、エンジン周りの構成がシンプルで通常のガソリン車とシステム容積がほぼ同じなのが売り。ただ、重い中大型車にそのまま載せると燃費効果が発揮できず、モーターを大型化するとスペースに収まらない弱点がある。北米に気筒休止付きのV型6気筒エンジンとIMAを組み合わせた「アコードHV」を投入したが販売実績は伸びず2007年で販売を打ち切った。
◆方式ありきでなく
HVシステム開発を統括する山本善夫シニアマネージャーは「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)の2モーターと同じことはやらないしできない。違うアプローチでいく」と話す。
THSはHVの二つの方式を組み合わせた「シリーズ・パラレル方式」をとる。「シリーズHVも1モーターもディーゼルHVも、いろいろ開発し市販して経験を積んだうえで最良と判断して全面展開している」(トヨタ自動車・高岡俊文HVシステム開発室長)ものでEVに近いシリーズ、エンジン主体のパラレル双方の特徴を補完し、プラグインHVへの進展性も視野に入れている。
ホンダの2モーターHVはどんな方式になるのか。山本シニア・マネージャーは「どういう課題にチャレンジするかで方式が決まる。EV(電気自動車)が究極の姿なので技術進化を使ってシリーズをものにすれば、よりロードマップ的には究極に近いものになるだろう。だからといってシリーズをやっているとは言わないが」と話す。課題とは、より高効率な車を商品性を損なわずに実現することだという。
◆技術進化で小型にも
2モーターHVは空白ゾーンの中大型車用に開発しているが、バッテリーなどの技術進化によってはIMAにとって代わり小型車へ搭載されることもありうる。第一線の開発チームはそういう意気込みで仕事をしている。伊東孝紳社長は「そこまで言うのは時期尚早。それぐらいの気概をもってやってくれているのはいい。ただ、IMAの時代はかなり長いと思う。モーター二つより一つの方が安いに決まっているし突き詰める価値がIMAにはある」と話す。
「オリンピックみたいに燃費で一番をとったからどうのでなく、企業平均燃費を上げないといけない。それには(普及のための)経済合理性が欠かせない」というのが理由だ。10年は「CR―Z」「フィット」HVバージョンと2種のIMA車を発売する。
◆選ぶのは消費者
日本でのHVの盛り上がりに比べ、米国の低調は為替や供給の問題はあるにせよ気がかり。今年10月までのインサイト販売は日本が7万1903台に対し米国は1万7530台にとどまる。「米国人に本当に底堅いHVへの欲求があるのかまだまだ微妙。こんな状況でヒュンダイ(のガソリン車)があれだけ伸びている事実がある」。ホンダは燃費向上の主力技術にHVを選択した。しかし、それを選び買うのは消費者だ。HV戦略を軌道に乗せられるかは、日本でのインサイトのヒットに続き二の矢、三の矢を放てるかにかかってくる。
[2009年11月18日 21時58分 日刊自動車新聞 ]