冬支度で学ぶホイールのPCD。離島クルマ事情 -その6-

「離島のクルマ事情」と題して、島のカーライフを紹介しているこのシリーズ、今回はクルマの冬支度を通じて学んだことについてお伝えしたい。

レンコン?弾倉?穴が多すぎるホイール

すべての離島でタイヤを履き替える必要があるわけではなく、この製品が離島にのみ流通しているわけでもない。しかし、この穴だらけのホイールを見たときには、「なぜ?」と素直に思った。特に多くのクルマがスタッドレスタイヤに履き替えるこの時期、この穴だらけのホイールを目にする機会が増える。一般に軽自動車のホイールナットは4本。ゆえにホイールには4つの穴が必要になる。しかしこのホイールには、計12個の穴が空いているのである。

ホイールの「PCD」とは?

聞いてみると、12本のナットを必要とする車種があるわけではもちろんなく、これはホイールの規格のひとつ「PCD」によるものであることがわかった。PCDとは「ピッチ・サークル・ディアミター」の頭文字を取ったもので、ホイールの穴が作る円の直径を示す。この直径が車種によって異なるため、より幅広い車種に対応するこのようなホイールが開発されたようだ。

このレンコンのようなホイールは「マルチ・ピッチ・ホイール」と呼ばれるもので、軽自動車用としては100mm、110 mm、114.3 mmのPCDをカバーするものが一般的とされる。ちなみに現行の軽自動車はこのPCDが100 mmでほぼ統一されており、旧規格の軽自動車ではメーカーや車種ごとにPCDが異なっていた。

離島では年間走行距離が短いためか、クルマの寿命が比較的長い。軽自動車に普通車なみの安全規格が採用されるようになったのは1998年(平成10年)のことだ。それ以前のクルマが「旧規格の軽自動車」と呼ばれるが、まだまだ現役で走っており、明確な寿命がわかりにくいホイールについては、クルマを買い換えてもスタッドレスタイヤ用として使い回していることも予想されるため、このマルチ・ピッチ・ホイールが今も広く使われているのである。

ちなみにこのマルチ・ピッチ・ホイールはスチールホイールだけではなく、アルミホイールにもある。素人目には強度が心配になってしまうところだが、「汎用性と軽量化の両立」と言えなくもなさそうだ。

(上泉純+ノオト)

[ガズー編集部]