パッと見正体不明な車両も? 国産車アラカルト(前編)【東京オートサロン2017】

かつてはアンダーグラウンドなチューニングカーのイベントだった「オートサロン」も、90年代後半からは自動車メーカーが参入し、ユーザーへのアピールの場として活用。今年も各自動車メーカーがブースを構えていました。2000年代前半ほどの過激なモデファイは少なくなって市販車+α程度のドレスアップカーが主流となりましたが、なかには激しいカスタムカーの姿も……。今回は国産車アラカルトの前編としてホンダ、スバル、マツダ、そして日産のブースのなかからピックアップした車両を紹介しましょう。

新型シビックを日本初お披露目したホンダ

ホンダはプレスカンファレンスにおいて新型シビックを今年の夏から日本でも発売すると宣言。ステージ上ではハッチバック、セダン、そして「タイプR」を日本ではじめてお披露目しました。車両は左ハンドル仕様なので日本仕様とは異なりますが、「ずいぶん大きく立派になったな」という印象。いずれにせよ正式発売が楽しみです。

これはハッチバック。ロー&ワイドなフォルムです
「タイプR」のプロトタイプも公開。オーバーフェンダーを装着した無骨なスタイルですね。タイプRはやはり、3台のシビックのうちもっとも人垣が多かったように見えました。さすがオートサロン
ホンダと関連の深い「無限(M-TEC)」は「GARU」というコンセプトカーを披露。見どころはなんといってもオリジナリティあふれるボディーワークです。ベースが「S660」だというのは、言われなければ分からないほど。スポーツカーの外観はスポイラーをつけたりと過激になりがちですが、「GARU」はあくまで素のデザインを磨き上げています。付加物なしにボディ全体として空力を考えるデザインだということが分かります
「FREED ACTIVE Concept」は派手なスニーカーやアウトドアウェアのような感覚でドレスアップしたフリード。蛍光イエローのワンポイントはプチドレスアップとして効果的ですね
ホンダブースにたくさんの人を留まらせていたクルマが新型「NSX」。実は日本仕様はまだ購入者へのデリバリーがはじまっていないので「売っているけど珍しいクルマ」です。乗車体験も長蛇の列でした。たしかに乗ってみたいですよね
展示されていたうちの1台は、ドア開口部にサインが。実はF1ドライバーのアロンソのサインです

市販を予感させる参考出品車が見どころのスバルブース

レーシングマシンをステージ上に展示するなどモータースポーツイメージを色濃く演出していたスバルブース。見逃せなかったは2台のSTIモデルです。1台はスポーツカーのBRZをベースにした「BRZ STI Sport CONCEPT」。そしてもう1台はWRXをベースにした「WRX S4 STI Sport CONCEPT」。いずれも参考出品車ですが、いつ発売されてもおかしくない完成度でした。

フォグランプを標準装備する上級グレードながら、あえてフォグランプを外しているのが妙に意味深。エクステリアに装着したSTIパーツが特徴ですが、ボルドーのインテリアを採用しているのも興味深いところです
言うなればレヴォーグのグレードのひとつとしてカタログモデルとしてラインナップされている「STIスポーツ」のWRX S4版。ショー展示車両はコンセプトモデルという扱いだが、登場は間違いなさそうだ

マツダはスペシャルなレッドをまとったロードスターを用意

最新の市販車とそれをベースにしたプチドレスアップ仕様を並べたマツダブース。新型CX-5は発売前に実車を確認できる数少ない機会でしたね。そして、いつもの「赤」とは違う赤のロードスターのもありました。その正体は……。

「写真で見るよりも実車で見たほうが先代との違いがよくわかる」という声の多いCX-5。Aピラーを後退させてボンネットを長くするなど、プロポーションも変化しましたね
新型ロードスターの一般的な赤は「ソウルレッドプレミアムメタリック」ですが、会場にはそれとは異なる赤に塗られたロードスターを展示。実はこの色は初代ロードスターの赤をイメージした「クラシックレッド」で、2月28日(火)までの期間限定で販売されるそうです

レーシングマシンから上質なミニバンまで幅広く展示した日産

オートサロンらしくGT500のレーシングカーや走りを極めた「NISMO」モデルをイメージリーダーに多くの車両を展示していた日産ブース。プチドレスアップして上質感を増したスカイラインやセレナなどの提案も興味深いものでした。

「スカイライン Premium Sport Concept」はマットのボディカラーとブラックのルーフ&ホイールの組み合わせがドレスアップの参考になりそう。ちなみにこのマットカラーは塗装ではなくシート。これなら色あせなどマット塗装の劣化を心配しなくて済みますね
特別仕様のパーツを外装に装着した「セレナ Highway Star Premium Sport Concept」。まるでプレミアムサルーンのように仕立てのいいインテリアも惹かれる提案です

そして“裏ホンダブース”には、パッと見では正体不明の車両も

ホンダブースから置かれた場所に「N Lab.」という出展社名で置かれていた2台のクルマ。実はN Lab.というのはホンダの関連会社である「ホンダアクセス」の社員有志による出展で、とうぜんベース車両もホンダ車なのですが、一見したところ車種がよくわからないほど大胆なモデファイに脱帽です。驚くべきデザイン力の高さ。

「T880」は軽トラックのアクティをベースにカスタマイズ。天井を低くしたキャビンをはじめ大幅な改造が施されています。エンジンはターボ化してパワーアップ
ベース車両はなんと「ヴェゼル」。アウトドアギア的なイメージを強調したカスタマイズですね。荷室部分は屋根のないトラック状になっていて、リヤドアは片開きに変更されていました。なんとも手が込んでいます

(工藤貴宏+ノオト)

[ガズ―編集部]