レース中継のような動画が撮れるアプリ「RAZO OnboardCam」制作秘話

最近ではスマートフォンのカメラも日に日に高性能化を果たし、スマホひとつあればかなりの高画質な動画を撮ることも難しくない時代となってきました。また、その動画をシェアする場もSNSや動画共有サービスなどが豊富に用意されていることから、日々数多くの動画が生まれています。

これは自動車ユーザーも例外ではなく、愛車でサーキット走行を楽しんでいる人の中には自分の走行動画をアップロードして、技術の向上を目指している人も少なくありません。中には本格的なデータロガーを車載して、速度やラップライム、荷重移動などの情報を動画に載せている人もいるほどで、かなり本格的な動画をご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか? 例えば、こんな感じの動画を……。

実はこの動画、iPhone用無料アプリ「RAZO OnboardCam」だけで作られたものなのです! このアプリは、モータースポーツブランド「RAZO(レッツォ)」から登場しました。

カー用品でお馴染みの「カーメイト」が手掛けるアプリ

市販のホルダーでiPhoneを固定するだけ。オススメの取り付け位置はフロントガラスだとか。
市販のホルダーでiPhoneを固定するだけ。オススメの取り付け位置はフロントガラスだとか。

このアプリを手掛けたのは、カー用品を数多くリリースするカーメイト。実はカーメイトは2010年ごろから「Drive Mate」シリーズのスマホアプリを通した安全運転への取り組みを続けており、過去に開発したドライブレコーダーアプリ(現在は配信終了)の派生アプリとして、走行中の情報を表示することや、気軽に映像をシェアできるモータースポーツに特化したアプリを作りたいと考え、生まれたのがこのアプリというわけです。

このアプリで取得できる情報は、速度、3軸加速度、位置情報、走行距離、ロール、方位、高度、ラップタイム、日時と多岐に渡っていますが、実はこれは全てiPhoneに内蔵されているセンサーから取得している情報であるため、iPhoneと車両に固定するホルダーだけあればOKなのです。

ただし、iPhoneのセンサーは精度がそれほど高くないため、当初は正確なラップタイムを計測するために外部のセンサーと接続する案もあったそうですが、コストがかかるために断念。そのため、アプリの方で補正をして実際に近い数値をはじき出しているとのこと。この辺りの補正方法は企業秘密ということですが、この辺りもアプリ開発も手掛けるカーメイトならではと言えそうです。

ちなみに現在iPhone用のみのリリースとなっている理由もこのセンサーにあり、android端末は端末の種類によって搭載されるセンサーに違いがあるため、全てのデータを取得できない可能性があるからなんだとか。

録画スタートで全てのデータを取得してくれる

ここまでいろいろな情報を取得できるアプリとなると、操作方法が難しいと思われるかもしれませんが、録画をスタートするだけで自動的に前述の全てのデータを取得してくれます。そして録画が終了したら画面に表示させたい情報(速度やタイムなど)を選んで、書き出しをスタートさせるだけ。あとは待っているだけで走行動画に情報が載った動画が完成してしまうのです。

iPhoneだけですべてが完結するため、走行後にすぐに自分の走りをチェックすることも可能。
iPhoneだけですべてが完結するため、走行後にすぐに自分の走りをチェックすることも可能。

この時苦労したのは画面に合わせるゲージなどのデザインだそうで、情報は載せたいけれど動画を邪魔してしまっては台無し、という葛藤があり、最終的にはレースゲームのイメージを投影したデザインに落ち着いたとのことです。

今後はさらに正確な外部センサーとの連携も?

現在はiPhoneに内蔵されているセンサーを使用していますが、今後はGPSロガーと連携し、さらに正確な数値を表示できるようにしたり、車両のOBD2からエンジン回転数や水温、アクセル開度などを表示できるようにしたりすることも検討中ということで、今後の進化にも期待が持てそうです。

(取材・文:小鮒康一 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]