Just My Lifeという選択肢 [ラクティス 三浦清克チーフエンジニア](2/2)

使い勝手にこだわりました

ワンタッチで格納できるリアシート
背の高い荷物の収納に便利
開放感のある大開口パノラマルーフ

新型ラクティスの開発を担当することになったのは2007年の6月でした。ちょうど2代目イストの開発が終わり、発表するタイミングでした。2代目イストは前任者が開発提案を終えたところで引き継いだので、主に開発推進が僕の仕事でした。そういう意味ではコンセプト作りから開発を担当した乗用車は新型ラクティスが最初の仕事です。幸い開発提案をするまで1年近く時間があったのでじっくり企画を練ることができました。そして先ほどお話したように、「自分が乗って楽しい、便利なクルマ」ということにこだわって開発しました。

たとえば、リアシートの格納です。僕は家庭園芸が趣味なので、買い物に行くとリアシートをたたんでフルフラットにする機会が多いのですが、いつも思うのは、どのクルマもリアシートをたたむのが難しいということです。だから、あれこれ考えてイストに使ったリアシートを工夫して、ワンタッチでリアシートを格納できるようにしました。荷物を持っていても片手でレバーを引けば簡単にフルフラットになるのでとても便利です。
また、リアシートを利用している時の収納も大事です。「アジャスタブルデッキボード」と名付けた機能ではデッキボードの取手を片手で軽く引くだけで簡単に床面が120ミリ下がります。これは口で説明してもその便利さが伝わりにくいと思いますが、使ってみるとすごく便利です。きっと「気が利いてるなあ」と満足いただけるはずです。
さらには開口長さ1,260ミリ×幅820ミリの開放感一杯の大型パノラマルーフもぜひ体験いただきたい装備です。パノラマルーフといっても運転席や助手席では解放感が味わえていても後部座席は日陰になっているクルマが多い中、「後部座席にも開放感を!」と考えて実現しました。私が調べた限りでは欧州のミニバンなども含めて世界最大の開口面積です。
その他にも、いろいろなところに、僕たち開発者のちょっとした工夫や気遣いを感じていただけるはずです。カタログで見るだけでなく、ぜひ、販売店に足を運んで実際のクルマを見て、そして試乗してみてください。

ワンタッチで格納できるリアシート
背の高い荷物の収納に便利
開放感のある大開口パノラマルーフ

"Just My Life"という選択肢

日本ではコンパクトカーというと、ややもすると"軽自動車の一つ上のカテゴリー"という位置づけになっているかと思います。いきおい「通勤くらいにしか使わないし、まあ、コンパクトカーでいいか」というような感じで選ぶ人も多いかと思います。

しかし、欧州ではコンパクトカーの位置づけは違っています。多くのお客様は自分のライフスタイルにぴったりあった、"Just My Life"のクルマとしてコンパクトカーを選びます。だからコンパクトなサイズだけど、「室内もラゲージスペースも広く」「乗り心地もよく、きびきび走る」「燃費がよく環境に優しい」など様々なことが求められます。そこには「コンパクトカーだから仕方ない」という価値観はありません。荷物がたくさん積載でき、駐車も簡単。買い物など日常生活において、便利で快適。また、休日には国境越えてドライブに出かけたり、レジャーにも使える。長距離を運転しても疲れない。もちろんスタイリングも重要、正に"Just My Life"です。

新型ラクティスは、そうしたお客様のライフスタイルや価値観を意識して、十分に満足いただけるクルマになっています。日本のお客様にも新型ラクティスを通じて、コンパクトカーの魅力をより一層理解していただき、日本におけるコンパクトカーの認識を高めていきたいと考えています。

新型ラクティスをより多くの人に、自分のライススタイルや価値観を表現する"Just My Life"のクルマとして、また、様々な使い勝手や運転のしやすさ、楽しさの部分で「このクルマは自分のために開発されたクルマ」と感じていただき、長く愛用していただきたい。そう願っていますし、そんなクルマができたと思っています。

( 文:宮崎秀敏 (株式会社ネクスト・ワン) )