

ドライビングの楽しさの追求と環境への配慮。これまで共存し難いと思われてきた二つの概念を融合させた新しいエコドライブコンテストが生まれた。
GAZOO編集部はサーキットを舞台にした省エネ運転のコンテストに密着。そこには、クルマとドライバーの関係の未来を占う、素敵な予感と夢があった。

“環境に配慮しながら、ドライビングを楽しむ”をコンセプトに、省エネ走行のテクニックを競う「プリウスカップ」が、徳島県の阿讃サーキットで開催された。参加車両は全て、エンジンとモーターが助け合いながら低燃費を実現するハイブリッドカーのプリウス。助け合うと言えば、このコンテストのもうひとつの柱は、エンジニアがそのスキルを競うサービス競技。ふたつの競技の得点により総合順位が決定する、ドライバーとエンジニアが互いを思いやりながらそれぞれの役割を確実にこなさなければならないチーム戦である。「プリウスカップ」は、残念ながら一般参加と観戦は認められていない。今回は、トヨタ自動車と四国のトヨタ販売店の18チームが競い合った。
阿讃サーキットは、徳島市内から車で約1時間半の森の中にあった。鮮やかな新緑に囲まれたコースに到着しレンタカーのドアを開けると、新鮮で美味しい空気が一気に車内に満ちた。「コース全長は約1km、2本のストレートをS字とヘアピンを中心としたテクニカルなコーナーでつなぐレイアウト、全コースに渡って上りか下りの高低差に富んだコース、省エネ走行の技術による燃費数値の差が生じやすい」と関係者も語る。イベントは競技内容の説明会からスタート、全く経験の無いコンテストということもあり全参加者が真剣に耳を傾ける姿が印象的だった。

午前中に行われたサービス競技では、エンジニア3名がその技術の正確さと手際のよさを競った。内容は日常点検と簡単なトラブルシュート、一部部品の脱着。基準タイムの20分間から10秒短縮する毎に1ポイント加算、逆に超過は10秒毎に減点されるため、同僚と声を掛け合いながら迅速に共同作業をこなしていく。その傍では試験官が採点用紙を手に作業に目を光らせ、ドライバーと監督が心配そうに見守っている。独特の緊張感の中での競技であったが、エンジニアの皆さんは日々のサービスで鍛えた技術を見事に発揮した。
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コース習熟を兼ねた練習走行、ピットイン作業練習に続いて、午後はいよいよ走行競技。サーキットを使った走行競技と聞くと、プロレーサー並みのアグレッシブな全開走行を想像する方もいるかも知れないが、「プリウスカップ」ではサーキット走行経験のない方でも安全に楽しく走ることができるタイムが基準値として設定されている。すなわち、速く走り過ぎるとペナルティの対象となってしまう。また、省エネを意識するあまりに基準を大いに超越したスローペースで走行しても減点の対象に。ここが「プリウスカップ」ならではの醍醐味、面白さと難しさである。交代でステアリングを握る3名のドライバーの平均燃費の順位に応じてポイントが与えられる、20周の熱くて静かな戦いがスタートの時を迎えた。
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サービス競技、走行競技の総合得点で優勝に輝いたのは徳島の販売店チーム。揃いのチームウェアをまとい、プリウスにはオリジナルのステッカーを施してレースならではの雰囲気を満喫しながら、自前のラップトップコンピューターでタイムと燃費の計算を行う緻密な戦略が光った。また、愛媛の販売店チームのドライバーは、21.4km/lという素晴らしい平均燃費を記録、最優秀燃費賞を獲得した。
「予想以上に楽しかった」、「また参加したい」、「次回は作戦を練ってこよう」、「低燃費走行の練習をしよう」等々、終了後には各ピットから様々な声が聞こえてきた。原油高騰の中、日常生活で省エネ走行を意識することは格段に増えてきてはいるものの、その数値を突き詰めて練習やトライをする機会に恵まれないのが現実。しかし、信号や対向車もなくドライビングに集中できるサーキット走行では、燃費の数値を周回毎にモニターで確認しながら、省エネに有効な運転方法をリアルに試すことが可能である。しかも、そこには楽しさが存在することは言うまでもない。「プリウスカップ」には、クルマとドライバー、そして地球の関係の未来につながる、予感と夢があふれていた。