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キーパーソンインタビュー Emotional(感性)+Rational(合理性) [カムリ 岡根幸宏 開発責任者] 2011年8月取材

Emotional(感性)+Rational(合理性) カムリ 岡根幸宏 開発責任者

82年にFFサルーンの世界戦略車として誕生し、輸出を開始。ミディアムセダンの王道を歩み、2005年には世界累計販売台数1,000万台を達成。世界中のお客様に愛されてきた。なかでも米国では9年に渡り、ベストセラーミディアムセダンとして君臨している。一方、国内ではセダン市場の縮小化などもあり、残念ながら海外と同じような存在感の強さは示せていない。「いままでとは全く違うカムリを創造する」ことを目指して開発された新型カムリの開発コンセプトは「New ERA(時代)Sedan」。Emotional(感性)に訴えかけるデザインとパワートレーン、RAtional(合理的な)な空間づくり、安全で快適な空間を提供する、その両方を兼ね備えた新時代をリードするセダンとなっている。その開発を指揮した開発責任者である岡根幸宏チーフエンジニアを製品企画本部に訪ねた。

もしかしたらコンピューター会社で働いていたかもしれない?

子どものころからクルマがものすごく大好きで、小学生の時には家の近所の公園で開催される新車発表イベントに足を運んではカタログをもらってきて集めていました。当時は近所に軽自動車のスバル360を持っている家があれば「あの家はお金持ちだなあ」といわれていた時代でした。クルマは庶民にとって憧れの存在でした。私は速いクルマ、特にエンジンが優れているクルマが好きでした。

そして、1967年に東洋工業(現在のMAZDA)が発表したコスモスポーツは衝撃的でした。世界初の量産・実用ロータリーエンジンを搭載したこのクルマは「走るというより飛ぶ感じ」というキャッチフレーズの通り、小さなエンジンでものすごい馬力を出すことができる。まさに未来を想像させるクルマでした。このクルマとの出会いがそれまで趣味の対象だったクルマを仕事の対象と考えるきっかけになりました。中学3年生の時の「私の将来の夢」という文集には「自動車会社に入社して、自動車を企画している」と明確に宣言していました。大学では機械工学を学び、自動車会社に就職する。これが私のビジョンでした。

しかし、高校生の時、第一次オイルショックが起こりました。マスコミ各社は「化石燃料の終焉。ガソリンはあと9年で枯渇する」と騒ぎ立てる。この時はものすごくショックでした。しばらくはまったくなにもやる気が起きない。クルマ大好き少年の人生設計は大きな変更を余儀なくされました。

結局、「これからはコンピューターの時代だろう」ということで大学は情報工学科に進学。コンピューターサイエンスを専攻しました。ですから、そのまま行けば、私はコンピューター会社に就職していたわけです。

最初の15年はエンジン。その後は自動車の企画がやりたい。

大学に進学してもクルマ好きは変わりません。1年生のとき、初めて買ったクルマはサニー。当時、レースで常勝していた1.2L SUツインキャブのエンジンを搭載していたクルマです。3年生の時はセリカ。初代ダルマセリカのマイナーチェンジで1.6L 2T-G型DOHCエンジンを搭載。当時のトヨタ車の中では私にとって最も魅力的なエンジンを積んだクルマです。とにかくバイト代はすべて惜しげもなくクルマにつぎ込んでいました。

大学で学ぶコンピューターは0と1のデジタルの世界です。私にはどうもこの01気質が性に合わなくて、学校でもどちらかというと油っ気が好きなアナログタイプの友人とばかり付き合っていました。コンピューター会社に就職するのがいやで、大学院に進学。時間稼ぎをしているうちに、日本経済も回復(もちろんガソリンは枯渇しませんでした)、そして研究室にトヨタ自動車工業(現在のトヨタ自動車)から求人票が届きました。その時は真っ先に飛びついたのは、いうまでもありません。

ただし、自動車会社に入社することがゴールではありません。電算部(社内のコンピューターシステムなどを企画・管理・運用する部署)に配属されては元も子もありません。私は25歳での入社でしたから55歳の定年(当時)までの30年間を半分ずつにして「最初の15年はエンジン、そしてその後は自動車の企画がやりたい」という希望を採用面接で出しました。そして、今年ちょうど入社30年になりますが、エンジンが14年、製品企画が16年ですから、私の希望通りになっています(笑)。トヨタという会社はやりたいことをやらせてくれる会社なんですね。本当に感謝しています。

岡根幸宏 開発責任者の写真 岡根幸宏

1981年トヨタ自動車工業入社。A型エンジンの開発、EFIなどエンジン電子制御システム、コンポーネントの開発などを担当。95年に第1開発センター(現在のレクサスセンター)に異動。初代ハリアー/クルーガーVの製品企画を担当。2001年からはハリアー/クルーガーの開発責任者となり、2代目ハリアーを開発。その後、ハリアーハイブリッド/クルーガーハイブリッド、2代目ハイランダーも担当。08年から新時代のセダンを創造すべく、新型カムリの開発の指揮を執る。

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