【動画】TOM'Sセンチュリー 試乗インプレッション 車両紹介編
今回ピックアップするのは、レーシングチームTOM'Sがチューンした特別な「センチュリー」。前編では、その装備の特徴について、モータージャーナリスト島下泰久が解説する。
TOM'S(トムス)といえばモータースポーツ。多少なりともクルマが好きなら、その名を聞いたことがないということはないはずだ。何しろ設立されたのは1974年で、それからずっと日本のモータースポーツの第一線で戦い続けているのだから。今もスーパーフォーミュラ、SUPER GTの世界で、トップチームとして君臨している。まさに生ける伝説のようなチームである。
そんなTOM'Sは、実はコンプリートカー開発においても長い歴史を持っている。強く印象に残っているのは、1990年代中盤のこと。モータースポーツにおいては、グループA規則で行われていた全日本ツーリングカー選手権のディビジョン3で、「カローラ」を武器に無限の「シビック」と競り合っていた頃か、あるいはそのあとの「トヨタ コロナ」「トヨタ コロナ エクシブ」で戦ったJTCC時代か……。
とにかく、まさに私自身がモータースポーツにどっぷりとのめり込んでいた頃、そのTOM'Sが矢継ぎ早にコンプリートモデルを発表していて、自然とそのニュースが目に入るようになっていたのだ。
例えばSW20型「MR2」をベースとする「T020」。リアクオーターにシュノーケル状のエアインテークを付けた姿、覚えている人はきっと居ると思う。そしてAE101型「カローラ レビン」をベースにする「T101」は、マニュアルギアボックスをリンク式からロッド式に変更してシフトフィールを改善したとうたわれていた。どちらも、とてもマニアック。でも、それこそがさすがレーシングチームの仕事だと、雑誌などでその記事を見ながら、いつか触れてみたいと妄想していたのである。
さらに、その頃には「TOM'SエンジェルT01」というオリジナルカーまで試作されていた。当時イギリスにあったTOM'S GBで開発されたそのライトウェイトスポーツカー、市販されていたら世の中変わったかもしれない……と今でも思う。
モータースポーツのノウハウがふんだんに詰まったというこれらのモデル、残念ながら乗る機会は巡ってこなかったが、一体どんな走りを見せるのかは、当時から興味津々だった。今回は要するに、TOM'Sのコンプリートカーに乗るという長年の夢がかなう取材になったというわけだ。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[ガズー編集部]
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