ポイントは水分! 季節別フロントガラスの曇り解消法

走行中にドライバーの邪魔をする、やっかいなフロントガラスの曇り。手っとり早く取るためには、熱風がよいのでしょうか。それとも、ふき取るのが正解なのでしょうか? そこで季節に合わせた効果的な解消法を、札幌トヨタ自動車株式会社 車両企画部課長 蓬田竜仁(よもぎだ・たつあき)さんに伺いました。

夏場はエアコンの風向きを調整

――夏場はなぜ、フロントガラスが曇るのでしょうか。

夏に窓が曇るのは、エアコンをつけて、車内の温度を下げ、フロントガラスに空気を当てている形になると内外の温度差が出ますよね。外が暑くて、中が冷えている。すると、フロントガラスが冷たくなって、暑い外気と触れている部分のガラスが結露することによって曇るのです。
この場合は、エアコンの吹き出し口のモードをフロントデフロフターの状態にしない。要するにフロントガラスに風を当てない状態にするのがよいです。

――単純にフロントガラスに風を当てないことで解消される、ということでしょうか。

そうですね。風の当たる位置を、フロントガラス以外のところにするということ。これで、大抵、曇りにくくなります。また、エアコンを止めたままにしていると、人間の体や車内のマットやシートに付着した水分が放出され、窓ガラスにつくことで曇ってくるんですね。それらを取り除くためにも、常にエアコンのスイッチを入れて車内の湿度を下げ、乾燥させるといいでしょう。

冬の曇りは“凍って”いる!?

――多くの雪が降る積雪地帯で、よくフロントガラスが曇りますよね。

冬はフロントガラスが曇っている、というよりシバレて(凍って)いるんですよ(笑)。なので、これをまず溶かす必要があります。
このとき、外側は雪が積もっていて、内側は霜がついた状態なので、とにかくヒーターを入れてガンガン温めるしかありません。気温が0℃前後になるときは、機械の構造上、エアコン自体が動かないようになっています。なので、エアコンで水分(湿気)を取り除くのではなく、ヒーターで室温を上げることによって、氷を溶かし、水になったところを蒸発させるということで、曇りをなくすことができます。

――たとえば、布やワイパーなどで拭くという方法は使えるのでしょうか?

雪が降っているときには、ワイパーで雪がとれる部分と、拭き残す部分が出てきます。その雪がついたままのところの内側はどんどん水滴がついて、ずっと曇りっぱなしになります。この場合はまず外に出て、拭き残しの雪を取り除いた上で、内側の水滴を拭きます。同時に、ヒーターの熱風をフロントガラスに当てて乾燥させます。フロントガラスにヒーターの風を当てていても、当たりやすい部分とそうでない部分というのはどうしても出てくるんですね。上の方や端の方にいくほど熱風の温度も下がっていきます。そうすると、また結露が起きてきますから、先ほどの作業を繰り返します。
単純に一発解消できないので、まめに作業を続けていくのです。

水分を制する者は曇りを制する?

――夏も冬も曇りをなくす=水分をなくすということなんですね?

はい。とにかく、室内の湿度を下げ、乾燥させるっていうことですね。その点は夏も、冬も同じです。そして、なるべく車内に水分を持ち込まない。雨水や雪は、クルマの外で落としてから乗りこむようにすることも、フロントガラスや窓を曇らせないコツかもしれません。

特に冬場は余裕をもって暖気運転を行い、フロントガラスをクリアにしてから出発すると良いようです。また、ワイパーはこまめに替えたほうが良いなど、安全運転のためのアドバイスもいただきました。曇り対策とあわせて心がけたいところです。

(取材・文:わたなべひろみ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road