ノスタルジックなクルマがずらり!アウトレーヴミーティング2017

東京都大田区でお店を構えて12年。住宅地の中にある自動車ショップ「アウトレーヴ」は、イタリア車やフランス車を中心に希少なクルマを扱っています。毎年秋になると、このお店のお客様やファンを中心にイベントを開催しています。2017年は10月14~15日に、静岡県裾野市の帝人アカデミー富士で泊りがけのミーティング(日帰り参加も可)が開催されました。

入り口にはアウトレーヴミーティング2017の看板を掲げたクルマが
入り口にはアウトレーヴミーティング2017の看板を掲げたクルマが

■希少なクルマでファンを獲得しているショップ「アウトレーヴ」

ここにしかないクルマが多いことや、単に車種だけでなく、色、装備、グレード、佇まいなども含めて、他にはないものを在庫している「アウトレーヴ」。すでに多くのクルマに乗ってきたというベテラン自動車愛好家だけでなく、カーライフビギナーや女性のファンも少なくないのが、ユーザー層の特徴です。ほうぼう探してもなかなか見つからないクルマを揃えていることと併せて、それほどクルマの知識がない人でも、一目見て「これ素敵!」と思えるクルマがここには少なくないということでしょう。

■自分のクルマを並べたい! そんな並木道がある帝人アカデミー富士

珍しいクルマのひとつ、シュコダ120L。旧チェコスロバキアのクルマだ。現在はフォルクスワーゲングループのメーカーであるシュコダ。RRレイアウトで進化の必要性を迫られなかった時代の東欧の自動車には独特の味わいがある
珍しいクルマのひとつ、シュコダ120L。旧チェコスロバキアのクルマだ。現在はフォルクスワーゲングループのメーカーであるシュコダ。RRレイアウトで進化の必要性を迫られなかった時代の東欧の自動車には独特の味わいがある

今回のミーティングに参加した筆者は、「さながら博物館の中で合宿しているかのよう」と感じていました。実は、会場前の公道に面した坂道が、クルマをぜひともおいてみたいと思わせる、広く緩やかな並木道になっているのです。当日はあいにくの雨模様でしたが、時を超えて今でも色あせないクラシックカーや、なかなか観ることのできない希少車、普段のアシで参加した参加者が木の下にクルマを停めて、気ままに意見交換や語り合う光景が多く見られました。

■ルノーの歴史に関する講演会も

自身も多数の珍しいルノーに乗って来ていて、現在も所有するモータージャーナリストの内田俊一氏。この日は最新型のアウディR8で会場に駆けつけていた
自身も多数の珍しいルノーに乗って来ていて、現在も所有するモータージャーナリストの内田俊一氏。この日は最新型のアウディR8で会場に駆けつけていた

また、この日はスペシャルゲストとして、モータージャーナリストの内田俊一さんが登場し、フランス・ルノーに関する講演会も開催されました。

ルノーは、もともとFR(フロントエンジン・リアドライブ)の駆動方式を採用していましたが、その後RR(リアエンジン・リアドライブ)に中心となるモデルの駆動方式を変更。さらに現在はFF(フロントエンジン・フロントドライブ)の駆動方式を採用しています。これほどまでに駆動方式を変更した点を、ルノーの特徴として紹介したほか、大変興味深い話が多数飛び出していました。
また、ルノーの車種名が数字だった時代についての解説になると、それぞれの車種ごとに、一度は所有したことがある、もしくは所有している人が参加者のなかにいることが判明。貴重な解説に、「オーナー」の実感が加わるという充実の講演会となりました。

■先に帰る人をお見送りする理由とは?

中には早朝、会場を後にする人もいて、そうなると参加者が一斉に玄関までお見送りに行きます。これは先に会場を離れる仲間を惜しむだけでなく、帰り際にクルマを見たいという思いからです。見送られる人は、それをわかっているので車寄せで一回りして帰ります。

残念ながらメルセデスは早退するというので、参加者全員でお見送り
残念ながらメルセデスは早退するというので、参加者全員でお見送り

このミーティングでは、希少なクルマを「見れた」こと以上に、クルマたちを「身近に体験ができたこと」が価値のひとつのように感じました。森の中に突如現れた、二日限りの自動車博物館。そんな雰囲気のミーティング。参加者はみな有意義な時間を過ごしていたようでした。

試乗した人は「トルクがしっかりとあってとてもよい」とご満悦。車はやはり乗ってみないとなかなかわからないものである
試乗した人は「トルクがしっかりとあってとてもよい」とご満悦。車はやはり乗ってみないとなかなかわからないものである
雨だれを身にまとった姿もとても情趣に富む。カンパーナのボディにフィアットのエンジンを載せたシギノルフィ
雨だれを身にまとった姿もとても情趣に富む。カンパーナのボディにフィアットのエンジンを載せたシギノルフィ
フォードアングリアとアバルト、最近のBMWと続く。年式、国、カテゴリーもそれぞれ。クルマが好きならノーサイドなスタンスがアウトレーヴミーティングだ
フォードアングリアとアバルト、最近のBMWと続く。年式、国、カテゴリーもそれぞれ。クルマが好きならノーサイドなスタンスがアウトレーヴミーティングだ

ちなみに、アウトレーヴの浅岡紀子代表は、今回のイベント中、かつてパリを中心に活動した、オランダ人の踊り子「マタ・ハリ」をオマージュしたファッションでゲストを迎えていました。

1953年のメルセデス・ベンツ170DS。新車当時から日本に生息する個体。その堅牢なつくりのボディ、スプリングの利いたシートなど魅力は今も健在。そして長らく普段使いに供されてきた個体だという。一緒に記念撮影をするアウトレーヴの浅岡代表
1953年のメルセデス・ベンツ170DS。新車当時から日本に生息する個体。その堅牢なつくりのボディ、スプリングの利いたシートなど魅力は今も健在。そして長らく普段使いに供されてきた個体だという。一緒に記念撮影をするアウトレーヴの浅岡代表

「踊り子のマタ・ハリはいくつも映画になっています。先日グレタ・ガルボが主演した映画を見たとき、一瞬で強くインスパイアされたのです。マタ・ハリは、第一次世界大戦中にスパイの嫌疑で処刑されますが、実はそれが偶然にも今回のイベントの日程と同じ10月15日でした。今回のミーティングでは、クルマを通して普段の暮らしに彩りを添えるばかりでなく、それ自体が特別な体験になるようなご提案もしていきたいと考えています。そして、何よりクルマを通して様々な出会いを楽しみ、これからも文化を一緒に楽しんでいけるような関係性を皆様と作っていけたらいいなと考えております」(アウトレーヴ浅岡紀子代表)

あいにくの天気ではありましたが、むしろ「雨だれをすべての参加車がまとった」そんな姿が美しい、アウトレーヴミーティング2017となりました。

(写真・文:中込健太郎 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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