カローラハッチバックってどんなクルマ?【超初心者向け解説】

2018年3月下旬より開催されたニューヨーク国際自動車ショーにおいてトヨタは「カローラハッチバック」を発表。アメリカだけでなく、日本でも初夏から発売が開始するとアナウンスされました。そこで今回は、「カローラ」とは、いったいどのようなクルマなのかを振り返ってみたいと思います。

初代が誕生したのは50年以上前の1966年

「カローラ」の初代モデルが誕生したのは1966年(昭和41年)のこと。当時の日本は貧しく、クルマを所有するのは、まだまだ贅沢なことでした。しかし、年間10%を超える高度経済成長のまっただ中。給料も年々増えており、庶民にも、なんとか頑張ればクルマに手が届く! という時期でもありました。そこに登場したのが初代「カローラ」です。先行するライバルを追撃するため、“プラス100ccの余裕”を謳って1100ccエンジンを搭載。当時の「カローラ」は、1リッタークラスの小型乗用車だったのです。

そんな「カローラ」は、価格と性能、装備のバランスに優れており、「割安感のあるクルマ」として大人気になります。開発にあたって唱えられた「80点主義」という言葉も有名に。満点を諦めて及第点80点を狙うわけではありません。まだまだ発展途上の国産自動車にとっては80点でも相当に優秀な数値。当時としては「すべてがそこそこ」ではなく、「すべてが優秀」という意味で使われたのです。また、開発者は「落第点があってはいけないのが80点主義ですが、全部が80点でもだめで、90点を超えるものがいくつかなくてはならない」とも。

1966年に誕生した初代「カローラ」。1100ccエンジンを搭載する4ドアセダンだ。
1966年に誕生した初代「カローラ」。1100ccエンジンを搭載する4ドアセダンだ。

「カローラ」は、すぐにベストセラーモデルに成長します。さらに人気に拍車をかけたのが豊かなバリエーションです。セダンに始まった「カローラ」は、すぐに商用ステーションワゴンの「カローラバン」を追加。さらに兄弟車となる「カローラスプリンター」も用意。さらに「カローラクーペ」「カローラハードトップ」「カローラリフトバック」とスポーティな派生モデルも次々に世に送りだされます。後に有名になる「カローラ・レビン」「スプリンター・トレノ」も、そうした「カローラ」一族の一員でした。また、ハッチバックモデルも「カローラFX」の名前で1984年に誕生。高性能なエンジンを搭載したスポーティなモデルでした。これこそ当時の若者が最初の1台として選択するクルマだったのです。

高性能な1.6リッターエンジンもラインナップに用意された初代「カローラFX」。
高性能な1.6リッターエンジンもラインナップに用意された初代「カローラFX」。

セダンというファミリーユースだけでなく、ビジネス向けモデルから、若者向けのスポーティモデルまでのワイドバリエーションが「カローラ」の特徴でした。

また「カローラ」は、1969年から2001年まで国内の年間車名別販売台数(軽自動車を除く)で33年連続トップという大記録を打ち立てます。50年以上におよぶ歴史で累計生産台数は4500万台を突破。今も、世界中で年間120万台以上の販売が続いています。ちなみに、「プリウス」の累計販売台数は約400万台。まさに「カローラ」は桁違いの存在です。

スポーティでたくましいルックス。TNGAプラットフォームや新型パワートレインを採用。
スポーティでたくましいルックス。TNGAプラットフォームや新型パワートレインを採用。

「オーリス」から「カローラハッチバック」へ

3月に発表され、この初夏から日本でも発売が開始される「カローラハッチバック」ですが、実は、先代モデルは違う名前で呼ばれていました。「オーリス」です。「カローラ」のハッチバックモデルは、2006年より「オーリス」と名乗るようになっていたのです。それが、この初夏からの新型から「カローラハッチバック」に名称を戻します。2006年以来となる「カローラ」へのハッチバックモデルの復活です。

新型「カローラハッチバック」は、非常に若々しくスポーティな雰囲気のモデルです。このモデルの日本投入によって、現在の「カローラ」のイメージも大きく変わることでしょう。

(取材・文:鈴木ケンイチ 写真:トヨタ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road