総勢70台の初代インプレッサが群馬に集結!「GCGF26周年イブ榛名オフ」

1992年に登場し、「555(ブリティッシュ・アメリカン・タバコの一銘柄)」カラーをまとったマシンでのWRC(世界ラリー選手権)の活躍により、一躍有名になったスポーツカーといえば、初代スバル・インプレッサ。今でも根強いファンは多く、昨年は生誕25周年を記念したオーナーズミーティングが開催されましたが、台風の影響で参加を断念したオーナーも少なくありませんでした。

そこで、初代インプレッサのデザイナーでもある手島彰さんが、昨年のリベンジイベントとして「GCGF26周年イブ榛名オフ」を、10月21日(日)に開催。70台を超える初代インプレッサが、集まる一大イベントとなりました。なお、イベント名の「GCGF」は初代インプレッサの型式がGC(セダン・クーペ)、GF(スポーツワゴン)であることから。

途中で会場を変更するほどの大盛況

「GCGF26周年イブ榛名オフ」は、昨年のミーティングと同じく榛名湖の駐車スペースを借りて行われました。前回とは打って変わって雲ひとつない秋晴れで、早朝から次々とインプレッサがやってきました。あっという間に予定していたスペースを埋め尽くしてしまったため、急遽より広いスペースに移動し、仕切り直しとなるほど!

最終的に初代インプレッサが70台「ズラッ」と並ぶ豪華なミーティングに。簡単な挨拶のあとは、オーナー同士の歓談・情報交換で賑わいます。ミーティング後半には、広々としたスペースを使って、さまざまなテーマでの撮影会が行われました。

日本最速の初代インプレッサや「幻」のコンプリートカーなど注目の4台を紹介!

同じ車種が70台も集まれば、中には貴重なモデルやカスタマイズされた個体の姿も見られます。今回、筆者が特に注目したのはこの4台でした。

(1)その希少性はラリーカー以上「インプレッサ 22R」

さまざまなバリエーションが存在する初代インプレッサの中でも、特に有名な特別仕様車が「インプレッサ22B STiバージョン(通称:22B)」。当時のWRC参戦マシン「インプレッサWRC」のロードバージョンとして、1998年に400台限定で販売されたモデルです。WRCマシンに限りなく近づけた迫力あるワイドボディと、低速トルクを強化した2.2Lエンジンが特徴でした。では、このこの真っ白なワイドボディを持つ「22“R”」とは?

その答えは、「Flat R Sports」というチューニングショップが2008年に製作したコンプリートカーです。2ドアモデルの「WRX Type R STI」をベースに、22Bと同じく2.2L化したエンジン(ショップオリジナルのクランク&カムなどでチューニング)とワイドボディ、ポルシェ911GT3カップのブレーキシステムを移植したモデルです。注目を集めましたが、残念ながらこのデモカー1台が作られただけでした。メディアで紹介されることも少なかった、まさに“幻の1台”です。

(2)筑波サーキットを57秒で走る真紅の「アウトストラーダ インプレッサWRC2018」

こちらの鮮やかな赤いボディがカッコいいインプレッサは、「アウトストラーダ インプレッサWRC2018」と呼ばれています。「タイムアタックの聖地」と評される筑波サーキットに合わせて作り込まれたもの。

ワイドボディは、FRPやカーボンで製作されており、そのボディに積まれる心臓部は2230ccに排気量をアップし、ピストン・コンロッドも強化品に交換、ターボエンジンの要であるタービンをHKS製に交換したチューニングエンジンで、なんと600馬力を発揮します。

車内はシンプルかつ機能的にまとまっており、キャビンを取り囲むロールゲージによって、ノーマルの倍以上のパワーを受け止めます。
実際に筑波サーキットをタイムアタックしている映像も公開されているので、ぜひご覧ください。

SUNOCO presents Attack-2018-0224●滝頭 直樹【アウトストラーダ インプレッサWRC2018】

(3)GC8インプレッサ乗りの憧れ、元WRCワークスカー!

WRCで活躍した「インプレッサWRC」は、イギリス・プロドライブ社が開発と製作を行っていました。製作されたクルマは、ワークスチーム(自動車メーカー直系チーム)で活躍したのち、他国の小中規模のラリーチームやコレクターなどに売られていくのが通例です。

この「R30WRC」のナンバーを付けられた個体は、1998年のニュージーランドラリーで参戦した経歴を持つ1台。現オーナーのもとにきたのち、修復と公道走行ができるような改造が
施されています。それでもほかのインプレッサとは違うオーラーをまとっており、会場に到着すると皆がカメラやスマホで一斉に写真を撮り始めました。貴重なラリー戦績を持つ1台、これからも大事に乗り続けてほしいですね。

(4)意外と知られていないスバル公式の限定レプリカモデル

最後に紹介するのは、主催者である手島さんの愛車。この個体は「WRX STi バージョンⅡ 555」という限定車です。スバル自らワークスカラーである「555カラー」を再現。セダン500台、ワゴン100台が限定販売された知る人ぞ知る限定車です。ロッジを背景にした写真は、どことなくモンテカルロっぽい!?

インターネットで「WRX STi バージョンⅡ 555」検索すると当時のカタログ広告が見つかりますが、ややカラーリングが違います。前オーナーが劣化したステッカーをリフレッシュし、1995年のモンテカルロラリー仕様に仕上がっているのです。ちなみに上の写真は、ほかのオーナーさんが持ち込んだモデルカー。タバコ広告禁止国では、このようなロゴデザインが採用されていました。

メーカーは

どの個体も特徴があり、付き合い方もさまざま。若いオーナーさんも多く、クルマの年齢とオーナーの年齢が逆転していることも珍しくありません。世代に関係なくクルマ談義に花を咲かせている様子は「インプレッサオーナーになって良かったな」と思う瞬間のひとつでしょう。そんなヘリテージカーをスバルは見捨てないで支えてほしいなと、同じ初代インプレッサのオーナーとして、またクルマ好きとしてそう感じました。

(取材・文・写真:クリハラジュン、編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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