独自の個性はなぜ生まれたのか? 自動車メーカーのルーツを知る8冊の本

日本には数多くの自動車メーカーが存在しますが、どのメーカーも独自の個性が備わっており、ほかと似ていることはありません。その理由は、それぞれの会社のルーツが異なっているから。逆にいえば、それぞれの自動車メーカーの個性を理解するには、その自動車メーカーのルーツを知るのが早道です。そこで今回は、日本の自動車メーカーのルーツを知ることのできる書籍を紹介します。

製造現場から見えるトヨタのモノづくり
『トヨタ物語』

『トヨタ物語』 野地秩嘉(著)/日経BP社 価格:2530円(2300円+税)
『トヨタ物語』 野地秩嘉(著)/日経BP社 価格:2530円(2300円+税)

トヨタが自動車生産をスタートして、現在に至る道程を紹介する本ですが、特徴的なのは、製品ではなく生産現場の目線から紹介しているところ。アメリカのケンタッキー工場の取材をプロローグに始まります。トヨタの歴史だけでなく、モノづくりの姿勢さえ知ることのできる1冊です。

ホンダのカリスマ創始者の人生を知る
『定本 本田宗一郎伝』

『定本 本田宗一郎伝』 中部博(著)/三樹書房 価格:2640円(2400円+税)
『定本 本田宗一郎伝』 中部博(著)/三樹書房 価格:2640円(2400円+税)

ホンダのルーツを知るには、そのカリスマ創始者である本田宗一郎氏のことを知るのが一番でしょう。同書は、著者が25年をかけて取材した本格ドキュメンタリー。2001年の初刊行以来、版を重ねたもので、最新版となる同書は2017年発売の三訂版です。

日産自動車のルーツと日本自動車産業誕生に迫る
『ダットサンの忘れえぬ七人』

『ダットサンの忘れえぬ七人』 下風憲治(著)・片山豊(監修)/三樹書房 価格:2200円(2000円+税)
『ダットサンの忘れえぬ七人』 下風憲治(著)・片山豊(監修)/三樹書房 価格:2200円(2000円+税)

日産自動車のルーツであり、日産ブランドを世界的なブランドに押し上げたのが「ダットサン(DATSUN)」です。同書は、その「ダットサン」の設立と発展に関わった7人を紹介します。物語は明治時代の日本の自動車産業の誕生から始まり、その後の世界的な存在に成長するまでが綴られます。

自動車だけでなく、三菱の誕生までをカバー
『三菱自動車工業』

『三菱自動車工業』 当摩節夫(著)/三樹書房 ※2020年10月中旬発売予定 価格:4180円(3800円+税)
『三菱自動車工業』 当摩節夫(著)/三樹書房 ※2020年10月中旬発売予定 価格:4180円(3800円+税)

同書が紹介する三菱の物語は、1970年の三菱重工業の分離独立後だけでなく、江戸末期の三菱商会の誕生までをカバーします。また、戦後の乗用車の変遷は当時のカラーカタログで紹介。同書は2010年刊行され、2017年に改定版が登場。さらに内容を拡充した新装版が、2020年10月に発売予定です。

自動車メーカーのマツダを生み出した男の人生
『マツダの魂』

『マツダの魂』 中村尚樹(著)/草思社 価格:1980円(1800円+税)
『マツダの魂』 中村尚樹(著)/草思社 価格:1980円(1800円+税)

マツダは、大正9年(1920年)に「東洋コルク工業」として設立され、2020年に創業100周年を迎えました。創業者は松田重次郎氏で、その長男である松田恒次氏の時代にクルマの生産を開始。ロータリー・エンジンの導入を決断しました。そんなマツダの黎明期を支えた人物の生涯を追った1冊です。

100年におよぶ歴史を中島飛行機時代から
『スバル』

『スバル』 当摩節夫(著)/三樹書房 価格:4400円(4000円+税)
『スバル』 当摩節夫(著)/三樹書房 価格:4400円(4000円+税)

スバルの歴史を、発祥となる「中島飛行機」時代までさかのぼって紹介する1冊です。第二次世界大戦直後から富士重工業に至る流れも説明。また、カラーカタログ約1100点を駆使して、量産モデルの足跡も紹介します。2015年刊行の同書を増補して、内容をさらに充実した新訂版となります。

人気モデルを通してスズキの歴史をたどる
『スズキ ストーリー』

『スズキ ストーリー』 小関和夫(著)/三樹書房 価格:3080円(2800円+税) ※2020年9月9日現在品切れ
『スズキ ストーリー』 小関和夫(著)/三樹書房 価格:3080円(2800円+税) ※2020年9月9日現在品切れ

明治に織機メーカーとして生まれ、オートバイ製造を経て、自動車を生産するようになったスズキ。その歴史を「スズライト」「フロンテ」「カプチーノ」「ジムニー」「ワゴンR」「エスクード」「スイフト」など、スズキの人気モデルとともに紹介。カラーカタログも数多く収録されています。

100年を超える歴史を豊富な写真とともに紹介
『ダイハツ』

『ダイハツ』 小堀和則(著)/三樹書房 価格:2640円(2400円+税) ※2020年9月9日現在品切れ
『ダイハツ』 小堀和則(著)/三樹書房 価格:2640円(2400円+税) ※2020年9月9日現在品切れ

ダイハツは1907年(明治40年)に「発動機製造株式会社」として誕生しました。当時は海の向こうで自動車が発明されたばかりという時代。現在の日本の自動車メーカーとしては最古の存在となります。その100年を超えるダイハツの歴史が、豊富な写真と共に紹介されています。


創業者や、ブランドを生み出し育てた人にフォーカスする本から、製造する自動車を中心にしたもの、製造現場から歴史をたどった本など、さまざまな書籍が並びました。どれも手元に長く取っておきたくなるようなものばかり。メーカーの歴史を知れば、最新の製品への愛着も高まるのではないでしょうか。

(取材・文:鈴木ケンイチ 写真:鈴木ケンイチ、日経BP、草思社、三樹書房 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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