関谷正徳 レジェンドコラム 第3回 女子プロレース

今回は、モータースポーツにおける女性の活躍についてお伝えしたいと思います。

何故、女子プロレースがないんだろう?

最近、女性のレーサーをよく見かけるようになってきました。女性でも男性レーサーの中に混じり、時には、男性顔負けのファイティングスピリットで魅力ある走りをしてくれます。何か女性の方の活躍が気になる今日この頃です。

では、女性はステップアップしてスーパーフォーミュラやスーパーGTのクルマを操りプロとして男性と同等の走りが出来、打ち負かすことが出来るのか?という疑問をお持ちの方も少なくはないのでないでしょう。

他のスポーツの殆どは、男性と女性に分かれています。どうしてモータースポーツは同じところで戦っているのでしょう。厳密にいうと、同じところでとは言ってもスーパーフォーミュラやスーパーGTの500クラスに乗っている女性は、今のところ存在しません。

現在、女性の最高峰というと、全日本F3選手権(以下、F3)のナショナルクラスというカテゴリーが最高峰にあたり、このカテゴリーに出場して何度も表彰台にも立ち頑張っている方がいます。私的に見ますと彼女は、日本人の女性の中では、現在過去を見ても一番ではないかと思います。

では、この女性がF3のランクアップのカテゴリー、F3のチャンピオンクラスに出場したとしたら…?残念ながら、10台中7.8番が精一杯の所だと見ています。スーパーフォーミュラに乗ったとしましょう。今のスーパーフォーミュラ19台中、最後尾になるでしょう。この女性が、この文書を読んだとしたら、怒り浸透か、素直に受け入れることが出来るのかは私には解りません。

長々とお前は何を言いたいんだ?と言われそうなのでお答えしようと思います。

今のモータースポーツは女性にとって不親切なスポーツ

女性レーサーでは、トップカテゴリーで勝つことはほぼ確立的に99.9%無理だと思います。他のスポーツを見て下さい。想像する必要もなく柔道、ボクシング、陸上競技、水泳、バスケット、バレー、ゴルフ、テニス、ラグビー、ありとあらゆるスポーツが男女に分かれています。何故?

当然、身体能力の差があるので分かれているのです。当たり前ですね。ところが、この当たり前がモータースポーツでは確立されていないのです。先に述べた女の子がトップカテゴリーで勝てないであろうというのは、彼女が劣っているからではなく、そもそもの闘う土俵がフェアでなくなってしまうから…、ということなのです。

未だに、男女が同じステージで闘っている…。それだけモータースポーツは多くの人の間で理解されて来なかったということではないでしょうか。別な角度でいうと、いつも私が伝えているように、レースが道具の闘いと見られアスリートの闘いと見られずに来てしまっているからかもしれません。

将来、レーシングドライバーになろうとしてほとんどの子供達が、カートからスタートします。このカートの世界では、底辺レベルのカートであれば女子が勝っていることはよく見かけることです。また、トヨタのヴィッツレースなどでもよく女性が優勝していますし、女性チャンピオンも出ています。

これは何故かと言いますと、そのカテゴリーのレースには体力があまり必要とされなかったり、8才9才の子供では男女体力差がそれほど大きくはないために、このような結果が起こります。

もう少し説明させて下さい。ヴィッツで使う身体能力、86で使う身体能力、F4で使う身体能力、F3で使う身体能力、スーパーフォーミュラで使う身体能力は、全く違うスポーツと言っていいぐらい違います。クルマが速くなればなるほど、体力的にきつくなってきます。逆にクルマの運転はゆっくり走ればほとんど体力を必要とはしません。

女性の身体能力でクルマの性能を出し切って操ることが出来る最高峰は、86ぐらいではないかと見ています。勿論これは、科学的根拠がある訳ではありません。45年間モータースポーツの世界にいて感じていることです。

目指せ!レース女子!

今、モータースポーツ界では多くの女性レーサーが活躍し始めています。彼女たちのドライビング能力や熱い走りをフェアな条件でバトルさせてあげたい。それが、今回伝えたい私の想いです。他のスポーツ界と同じように、レースの世界でも男女が別々に闘えるシリーズがあってもいいのではないでしょうか。“レース女子の為のシリーズ”です。

女性のためのレースが出来たとしたならば…、またプロとして成り立つようになるならば…、今の元気な女性たちは、興味を持って参加してくれるのではないでしょうか?また、カートの世界にも、将来レーサーを夢見る女の子たちが増え業界も活気が出てくるのではないでしょうか。

女子プロレースを見てみたいのは、私だけですかね!ご興味のある方は、私宛にご一報下さい。

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road