【大学自動車部】みんなで楽しくフレンドリーな活動–富山大学-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景や自慢の部員をレポート。今回は富山大学を訪問。

富山大学自動車部プロフィール

●部員数
14名 ※部員数は2016年12月現在
部員紹介ページ

●部車
現在はなし

●活動内容
水曜日の17時からと、土曜日の13時からが活動時間。活動内容はヴィッツの耐久レース(現在は参加していません)や北陸地区国立大学体育大会(フィギュア)、自動車部主催のジムカーナなど。OB会によるBBQ大会にも参加しています。

●活動実績
GOODYEAR Vitz&86/BRZ Dream Cup 2014(6時間耐久レース) 完走(33位)
♯528 富山大 CIAO 塾新幹線 Vitz(長谷川/小林/西田/野村)

GOODYEAR Vitz&86/BRZ Dream Cup 2015(6時間耐久レース) 完走(25位)
♯314 富大CIAO北陸新幹線Vitz(長谷川/小林)


富山大学は標高3000m級の山が連なる立山連峰を望む、富山市内とその周辺にある国立大学。2005年10月にそれまでの旧富山大学と富山医科薬科大学、高岡短期大学の3校が統合再編。大型総合大学として新たなスタートをきりました。キャンパスは主に3つに分かれていますが、医薬系と芸術系をのぞく主な学部は富山駅からほど近い五福キャンパスに集中しています。

近代的な建物と緑が調和した都会的な五福キャンパス

毎週水曜日と土曜日が活動日

今年で56年目を迎える富山大学自動車部。活動場所であるガレージは、五福キャンパス内にあります。主将を務めるのは2年生の吉田亮さん。吉田さんに自動車部の活動内容を伺ってみました。

「自動車部主催のジムカーナの他、金沢大学と競う北陸地区の国立大学体育大会(フィギュア)などに参加しています。ジムカーナはスキー場の駐車場を借りて行う、雪国ならではの活動です。また、昨年までは富士スピードウェイで行われたヴィッツの6時間耐久レースにも参加していました」と吉田さん。

自動車部主催のジムカーナでの集合写真。ジムカーナは駐車場にパイロンを並べたコースを作り、そのコースをいかに速く走れるか競う競技。写真の場所はスキー場の駐車場で、夏の間を利用しています
金沢大学とのフィギュアでの集合写真。隣接する県の国立大学同士としてコミュニケーションを図っています
フィギュアは教習所のコース内に設置した特設の狭小コースで行います。大型車と小型車でそれぞれコースを走りタイムを競うので、運転技術向上にうってつけ。自動車部では事前に河川敷で練習し試合に臨んでいます

活動日は週2回。水曜日の17時からと土曜日の13時からで、それ以外は自由。活動はガレージとそのすぐ近くにある部室で行います。活動時間内は大学の構内に個人車で入れるため、ガレージでのメンテナンスや重整備も可能です。

ガレージにはエンジンを吊り上げるエンジンクレーンの姿も

自動車部の雰囲気は非常にフレンドリーで、一般的な体育会のイメージと比べるとソフトな印象。これも吉田さんの方針で、課外活動で友人と会っているような雰囲気づくりを心がけている。14名の部員の中には女性(1名)も在籍しています。

また、部員のクルマもバラエティ豊か。雪の多い北陸とはいえ、4WDやFFばかりではなく、MR(ミッドシップ)、FRもあります。近くには気持ち良く走れるワインディングロードもあり、時折ドライブに出かけることもあるそう。

第54代主将の吉田さん。2年生というと意外に感じる人もいるかもしれませんが、3年生であることが主将の条件ではないそう。部室の入り口にて
部室の壁に貼られた自動車部の年間計画。この計画に沿ってスケジュールは進行します。雪道講習というのも北陸の自動車部ならではのメニューです

ヴィッツの6時間耐久レースに参戦。2年連続で完走!

競技結果で目を見張るのはヴィッツでの6時間耐久レース参戦。このレースはGAZOO Racing Netz Cup Vitz Race(ヴィッツワンメイクレース)に参戦する強豪チームやドライバーが参加する本格的なモータースポーツで、富山大学チームは2014年、2015年と2年連続で参戦。両レース共に完走(33位&25位)という記録を残しています。

「カラーリング、ステッカーなども自分たちでやったのでとにかく準備が大変でした。2014年の時はスピンしてレッカーされ、隣のチームにリペアを手伝ってもらいながら、なんとか完走することができました。ドライバー兼ヴィッツオーナーの4年生が卒業したので、今は参戦していません」と吉田さん

その時のリザルトは同レースのホームページにアップされています。
http://www.fsw.tv/file/151206_vitz86brz_report.pdf

写真は2015年の6時間耐久レース。ヴィッツにはその年に開業した北陸新幹線のカラーリングがあしらわれています
自動車部のスペースからガレージを望む。左側の小ガレージはヴィッツレース参戦の際に大学の協力を得て建ててもらったそう

知る人ぞ知る安全運転普及活動「路上練習」

まるで教習所に通っていた頃を思い出すようなネーミングですが、立派な活動項目。1年生の運転を助手席や後続車から厳しくチェック。練習終了後には、先輩からありがたいアドバイスをもらうという別名“先輩が1年生をいじめる会”。

ただその内容は、法令順守はもちろん、一時停止、制限速度、ウインカーを出すタイミングなど、なかなか本格的。路上練習には以前保有していた部車(AE86)を使用していたそうで、免許取り立てのフレッシュマンが、少し隣に座っている先輩を気にしながらも、目を輝かせながらAE86を運転している光景が目に浮かびます。

「教習所で学んだことの復習ではありませんが、自動車部員は模範的な運転をしなければならないため、安全運転を広める活動の一環として行っています」と吉田さん。

和気あいあいとした雰囲気が特徴の富山大学自動車部ですが、自動車部のメンバーとしての自覚も備えているのです。

ガレージでの作業の様子。足まわりやミッションを交換する部員もいるそう

部車(AE86)を保有するも維持費がネックとなり手放す

現在、自動車部としての部車は持っていませんが、上で紹介した通り、昨年まではAE86を保有していました。自動車部の練習車として、AE86はかなりの好素材。手放してしまったのは非常に惜しい気も。

「維持費が高くて。年間の保険料が15万円ぐらいかかってしまい、みんなから集めている部費(月1000円)がAE86に消えていました。もともとお借りしていたものだったので、クルマをお返しすることにしました。でも、新しい部車が欲しいですね」と吉田さん。

AE86はトレノの2ドア。路上練習でも活躍しました

ナンバーを付けて公道を走るにはそれなりの費用がかかるとはいえ、苦渋の決断だったことは間違いありません。今ガレージに入庫しているヴィッツRSは不動車なので、新たな部車の登場が待たれるところです。

OBとも積極的にコンタクト

自動車部OBとの交流にも参加。OB会のBBQにも可能な限り参加しています。参加者の中には60過ぎの方もいるということで、自動車部の歴史と伝統を知る、格好の機会となっています。

年季の入った工具掛け。「昭和61年7月8日製作」という文字に自動車部の長い歴史を感じます

「30代のOBの方から、『クルマに対する情熱をしっかり持っていれば開発にもその意欲が伝わるので、できる活動は全部頑張った方がいい』と自動車部の活動に関してアドバイスをいただきました。いろいろ聞けたのは大きかったです」と久間さん(4年生)。そのかいあってか、久間さんは来春、自動車関係への就職が決まっています。

居心地の良い部室ではクルマ談義に花が咲きます

歴史と伝統を守りながら、時代にマッチした自動車部へ進化を続ける富山大学自動車部。目下の悩みは2016年の新入部員が3名と少なかったこと。すでに吉田さんと部員の目は今年の春に入学する新入生に向いています。6時間耐久レースを完走した固いチームワークで、これからも自動車部を盛り上げてくれるでしょう。

(フリーライター:ゴリ奥野)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road