トヨタ・プログレ (1998年~) 名車?迷車?特集 -ちょっと懐かしい迷車たち15話
- 生産:1998 ~2007年
第15話 トヨタ・プログレ (1998年~)
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1989年に自動車税がエンジン排気量のみで課税される方式に変更されて以来、日本車のボディーサイズは次第に大きくなっていった。とはいうものの、道幅や車庫の大きさなどの諸事情を考えると、日本では全長4.7m、全幅1.7mという5ナンバー枠のクルマが使いやすいという声も根強くあった。クラウンやセドリックはもちろん、その下のマークⅡやローレルも3ナンバーサイズに成長してしまった1998年、そうした声に応えて登場した上級サルーンがトヨタ・プログレである。
プログレは当時のクラウンとプラットフォームを共有、ホイールベースはクラウンと同じ2780mmを確保しながら、全長は2クラス下のコロナと同等の4500mm、車幅も1700mmという5ナンバーサイズに収めていた。初代メルセデス・ベンツCクラス(W202)にも似たスタイリングは、オーソドックスながら品格があり、室内の仕上げも上質だった。2.5または3リッター直6エンジンによる動力性能は十分なゆとりがあり、乗り心地、静粛性、そして巧みなパッケージングによって居住空間の広さもクラウンに匹敵、「ラージクラスの性能・品質を5ナンバーサイズに凝縮した」といううたい文句に偽りのない「小さな高級車」だった。
その成り立ちや控えめなキャラクターからヒット作にはならなかったが、小ぶりで、かつ日本では珍しい上品なアッパーミドルサルーンとして、プログレには一定の支持があった。その証拠に一代限りで終わってしまったものの、トヨタが直6エンジン搭載車を生産中止する2007年まで造り続けられた。それから5年を経た今でも、モデル消滅を惜しむ声があるという。実際、先日も「そろそろ買い替えたいが、適当なクルマがなくて困っている」という、狭い道が多い鎌倉でプログレを愛用する年配のご夫婦の話を、人づてに聞いたところである。
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