織戸学 ドライバーズコラム 第14回 子どもたちのクルマ離れ?

子どもたちのクルマ離れ、よくそんな話を聞きますが、果たしてどうなんだろうか?もしかしたら、僕らの年代がクルマ遊びにおいて一番良い時代を過ごしていたのかもしれない。

僕らより一世代上の先輩は、少しやんちゃな世代で、僕にも6歳違う兄が居ますが、家に遊びに来る兄の友達は、皆さん髪の毛がくるくるで、ボリューム感のある髪型の人や、髪の毛がくるくるすぎて、小さな髪型の人が多かったような記憶があります。

しかも、変な角度のメガネ?をつけていました(ほとんど)。バイクも、クルマもうるさく車高の低い車が多かったです。何度か横に乗せてもらいましたが、ボンボン跳ねて、とても乗り心地は悪かったイメージが鮮明に残っています。

そんな頃、日本は景気も良く高度成長期のバブル時代と呼ばれており、僕の大好きなレースの世界も華やかで憧れのあるイメージでした。免許が取れるようになったら、バイト頑張ってこのバイクを買って、クルマの免許が取れる18歳に全てのターゲットを絞っていました。

以前も書きましたが、2輪は空前のレーサーレプリカ世代と、やんちゃの残りの世代とグループが分かれていて、遊びの仕方もこの2通りみたいな雰囲気で、バイクやクルマに乗っていないと、女の子にモテない。とにかく、このエンジンの付いた乗り物遊びを通り越してカッコ良いクルマに乗ることが、女の子にモテる一つのルーツだったのです。

誕生日の早い友達が、本気で羨ましい時代でした。何せ大げさに言うと、一年免許取得のタイミングが違うからです。実際に早く免許を取得した人は、モテてたしね(笑)。

そしてなんと言っても、当時のバイクやクルマは、信じられないくらいに安かったです。かの有名なTOYOTA AE86は、新車で120万くらいでした。その当時から人気の高かったスカイラインや、フェアレディZ でも200万円ちょっとくらいでした。

僕が最初に買った中古の日産フェアレディZ、 Z31、 3リッターV6ターボも中古で140万くらいでした。半年乗ってAE86に乗り換えましたが、もう既にAE86は新車よりも高い150万円でした。その代わりに、フェアレディZも買った値段よりも高く下取ってくれました。最初にAE86に乗った時には、なんて軽くて速い車なんだってビックリしましたね~。

そこから時代は動き、既に30年近い時代が流れております。クルマは、より高性能に、高額に、20年以上も前のクルマは人気車種のマニュアルってだけで、ありえない金額で販売されております。逆に、より安全で高級なクルマは、何年か経つと価値が急落しています。

今、スーパーカーなどは、一種の財産価値までついてしまうほどですが、ちょっと不思議な現象だと思いませんか?

到底、今までの子どもたちには、おいそれと買えるものではなくなり、保険代や車庫代などの維持費が半端ないし、免許取立ての子は、任意保険が年間で50万くらいしちゃうとか。

それもこれも、僕らがもしかしたら悪いのかもしれません。

ここのところ出会う子どもたちは、また新しい発想を持っており、今後はまたクルマで遊ぶってことをテーマに何かを変えてくれるかもしれないという期待感がハンパなくあります。

ちょうど、クルマで遊んだクルマ好きを親に持つ子どもたちに新しい時代を期待して。

そのためには、自動車メーカーさまが、より手の出しやすい魅力的なクルマを、そして何よりも、クルマで遊べる空間、スペース、環境を作ってもらいたいと本気で思います。

僕も微力ながら頑張ります。あんな男になりたいな~って思ってもらえるように…。

織戸学

[ガズー編集部]