ヴィッツRS G'sで腕磨き。カーライフをとても楽しく過ごせる理由は?

新潟県に住む日當さんが乗るトヨタヴィッツRS G's(NCP131)は、ヴィッツRSをベースにスポット溶接増しなどでボディ剛性を高め、専用のチューニングサスペンションなどが装着されたスポーツコンバージョン車。専用エアロパーツによってエクステリアも精悍な印象に仕上げられている。
そんなヴィッツRS G'sを愛車として迎え入れた日當さんには“あること”に強いこだわりがあったそうた。

「G'sのヴィッツって前期から後期まであるんですけど、僕が選んだ中期はフロントダクトまわりの一部がボディ同色に塗り分けられていて、それが引き締まって見えてカッコいいなって。この顔が大好きだから、あえて中期型にこだわって購入したんですよね。ちなみに、後ろのバンパーも前期だとディフューザー部分が塗り分けがなく全部真っ黒。中期以降は塗り分けられて、ディフューザーの部分が目立って見えるのも気に入りです」

細かいこだわりと言ってしまえばそれまでですが…と笑う日當さんだが、少しずつ違いがある中で、この中期型を選んだのは正解だったと満面の笑みをした。
購入してから装着したのはタイヤ、ホイール、マフラーくらいで、チャームポイントは友達が納車祝いにくれた“YARiS"のエンブレムだそうだ。

「実はこのエンブレム、海外で純正パーツとして販売しているものなんですよ。この型の“ヴィッツ"も海外では“ヤリス"だからってことでプレゼントしてもらいました。ヴィッツのエンブレムは前のオーナーさんが剥がして乗っていたらしく、もともとついていなかったので、そこにも運命的な何かを感じてしまいましたね」

『そこにも』という表現には理由があって、前の愛車だったセリカ(ST205)は車検が近づいてきたタイミングでラジエーターをはじめ度重なる故障が続き「もう寿命なのかな?」と悩んでいた時に、さも購入してくれと言わんばかりのタイミングで出会ったのがこのヴィッツRS G'sだったそうだ。

「もともと欲しかったんですけどなかなか中期型がなくて、まぁ、いつか出てくるだろう…と思っていたら、調度いいタイミングで見つかったんです。そして、セリカの車検満了日にこのヴィッツが納車となりました」

そういった経緯で手に入れたヴィッツRS G'sだが、前の愛車のセリカの時には実現できなかったカーライフを送っているとのこと。

まずは内装のカスタムだ。体をすっぽりと包み込んでくれるフルバケ、これからサーキットに挑戦するぞと意気込んで購入した4点式のベルト、なかでも特に気に入っているのはMOMOのステアリングということだ。

「ひと目見てMOMOだと分かるこのステアリングが付けたかったんです。主張しまくっているというか(笑)。しかも、ステアリングを手に入れたタイミングで、インターネットオークションにボスとクイックリリースがお手頃価格で出品されていたので即購入しました。話していて思いましたが、やっぱり運命なのかもしれない(笑)」

そんな日當さんだが、内装カスタムに続いて、次の“やってみたかったこと"にも挑戦しているという。それは、サーキットとジムカーナ走行だ。

「ついに昨年、青森県のモーターランドSPでサーキットデビューをしました! 走り方も分かっていないのに、とにかくガムシャラに走りましたね。朝から走り初めて、気付いたら終わりの時間になっていました(笑)。もう、楽しくて、楽しくて、楽しくて! 午前中に出たベストタイムから、最終的には1秒ちょっとは縮めることができたんですよ。今年もまだまだ走り倒すつもりでいます!!」と、顔に喜びが満ち溢れていた。

車速を気にせず、普段走ることのないようなコースを全開で走れるサーキットも、ほぼ1速・2速固定で加速しては止まりターンを繰り返すようなジムカーナも、どちらもそれぞれの魅力があってすっかり沼にハマってしまったという。

「ヴィッツのポテンシャルの高さにも、改めて気付かされました。純正のサスペンションのままでしたが、想像以上に走ってくれるんです」
試しに、友達やプロドライバーにも試乗してもらったところ、しなやかで良い足だとお墨付きをもらったそうだ。車高調を入れた方がもっと速く走れそうな気がしてショップに足を運んだこともあったが「安い車高調を入れるくらいならノーマルで充分」と、逆に諭されたそうだ。

「まわりのアドバイスもあって、まずはヴィッツがどういう動きするのかを走り尽くして、タイムが上がって自分自身も成長できてから色々やってみることにしたんです。だから、しばらくはノーマルのままかな」

ゆくゆくはスーパー耐久に出場している車両のような仕上がりにしていきたいという日當さんだが、サーキットやジムカーナを走りたいと思ったキッカケは、2018年に公開されたラリー競技を題材にした映画「OVER DRIVE」だったそうだ。
それまでは、ラリーに関する知識はなく『舗装路を走って速さを競うレース』くらいのイメージだったけれど、舞台裏ではメカニックがタイムを縮めるためにメンテナンスをし、SS区間などの決められた場所を、決められたルールで走る様子が劇中にあり、なかなか奥の深そうな競技だとのめり込んでいったのだとか。

「映画館に3回も見に行って、DVDも買いました(笑)。車内にある“OVER DRIVE"のステッカーは、映画公開後にTwitterで感想文を送るともらえたプレゼントなんですけど、それを飾っておきたいくらいあの映画が好きなんですよね」

ジムカーナに挑戦してみたいと思っていたものの、なかなか1歩が踏み出せなかった時に、この映画が背中を押してくれたのだそうだ。そして、堰を切ったように溢れる“走りたい欲"が抑えられなくなり、もともと1万2000kmしか走ってなかったヴィッツRS G'sは、納車5年目を迎えて10万km間近。まだまだ走行距離を伸ばしているという。

「通勤で往復50kmくらい走っているんですけど、それでもまだ仕事終わりに走りに行くことがあります。まるで何かに取り憑かれたように走りたくなるんですよね。クルマを運転して目的地に行くのがメインではなく、運転という行為が好きなんですよ。エンジンをかけない日は1年間に2、3回あるかないか?って感じですね。ちなみに、今日も取材が終わったら走りに行きますよ!」

ヴィッツRS G'sの車内という空間は、自分の部屋のような、心がリラックスできるような、なぜか不思議と安心できるような、雑念が潮が引くように消えていく、唯一無二の落ち着く場所なのだそうだ。
「好きなようにカーライフを送ることは、誰もが平等にできるんじゃないかなぁ?と思うんです。僕の場合はサーキット走ることでしたが、他にも色々な楽しみ方がありますよね。自分の思い描いたことをやってみると、本当に楽しいですよ」
日當さんの頬には、満足そうな笑いの皺がニンマリと刻まれていた。数年後には、この笑顔がポディウムで輝く日がやってくるかもしれない。

取材協力:盛岡競馬場(OROパーク)

(⽂: 矢田部明子 / 撮影: 平野 陽)

[GAZOO編集部]

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