67歳になった今、大学生の頃に乗りたかった「いすゞ 117クーペXC」に乗ることが出来た。乗れば乗るほど思い出す青春時代とは?
お子様が無事に大学を卒業し社会人なったのを契機に、大学生の頃に憧れていた いすゞ 117クーペXCの購入を決意したという「安藤さん」。
ところが、昨今の旧車ブームの影響でなかなか良い個体が見つからず、迎え入れるのに2年半もかかってしまったと話してくれました。ご自宅のある山口県から何度も東京まで足を運び、やっと出会えたのが今の愛車だったそうです。
今回は、安藤さん × 117クーペXC のお話をお届けします。
――なぜ いすゞ 117クーペXC に乗りたいと思ったのですか?
大学生の頃に東京モーターショーへ行った時、奇抜なデザインで一際目を引いていたのが117クーペだったんです。
日本車にない異国情緒溢れるスタイルと表現すれば良いのかな?抑揚のある官能的なボディラインや、絶妙に湾曲しながら収まっているリアガラスなど、ハッとさせられる美しさのあるクルマだったんです。
内装もとてもオシャレで、計器類の部分には本物の木が使われるなど、他では見られないこだわりを感じるというかね。なにより、ジウジアーロがデザインしたということもあって、当時は話題のクルマでした。
僕達の若い頃はクルマがステータスだったので、乗ってみたい!って余計にそう思いましたね。
あと、僕がさらにそう思ったのは、下宿の近くに117を専門で扱っているショップがあったからなんです。
そうすると、帰る度に117を見るわけでしょ?
あぁ、やっぱりカッコイイな……。
でも、学生の自分にはとてもじゃないけど買えないな……。
こんなにも近くにあるのにって感じで。
あれはくるものがあったなぁ(笑)。
――念願叶って良かったですね♪
状態の良い個体も多いわけじゃなかったから、かなり時間はかかってしまいましたけどね……。東京の羽村市にある旧車専門ショップを何度も訪ね、昭和53年式のベーシックなタイプを購入する事にしました。
――実際に乗ってみてどうでしたか?
カッコイイとか、ついに愛車になったとかいうよりは、不思議だなと思う気持ちの方が大きかったですね。
というのも、僕は67歳のはずなのに、ハンドルを握ってアクセルを踏むと、なぜか大学生の頃に戻った気分になるんですよ。
当時はこのクルマには乗っていなかったはずなのに、あの時はああだったな~とか、こんなことがあったな~とか。面白いですよね(笑)。
そういうこともあって、購入してからチョコチョコ自分でいじったりしているんですけど、当時を思い出すようなカスタムを施しています。
――例えばどんなカスタムですか?
当時は、ステアリングとアルミホイルを変えて乗るのが流行っていてね。それを思い出して、ステアリングはモモのインディー、アルミホイルは117クーペデザイナー作のクロモドラにしています。
あとは、オーディオかな。学生の時に秋葉原でバイトをしていたから、オーディオに凝っていたんですよ。それこそ、最初に乗ったサニーエクセレントGXは、ナカミチ250のカセットデッキを搭載していました。
アメリカンロックのドゥービーブラザーズ、永ちゃんのキャロルをカセットテープでよく聞いていたなぁ……。
僕たちの時代は、レコード、カセットテープ、FM放送、エアチェックが主流で、今みたいに、CDとかUSBとか、Bluetoothで音楽を聞くなんて考えられなかったんですよ。
ちなみに、117には、ナカミチのTD350のカセットデッキとCD200のCDプレイヤーを取り付けています。これで音楽を聞くと、昔にタイムスリップできますからね(笑)。
あとは、新しい風も取り入なければということで、Bluetoothで音楽が聞けるようにはしました。
――レコードにカセットテープかぁ……。ちなみに、エアチェックって知りませんでした!
えっ、エアチェック知らないの!? というか、まぁそうだよなぁ……。オーディオに限らず、技術はどんどん進歩していますからね。
クルマもまた然りで、パワーステアリング、パワーウインドウ、サイドミラーが自動というのは今となっては普通ですが、当時は高級車にしか搭載されていなかった機能なんですよ。
僕の乗っているベーシックなグレードには付いていませんが、上級グレードにはその設定があって、ウィーンと自動で窓が開くと「おおっ!すごい!」ってなっていたんですから(笑)。
――当時はそうだったんですね。
そうなんですよ。なんて、そんなことを言っていますが、僕も当時のクルマのことなんか忘れてたんですけどね(笑)。だから、117のハンドルを初めて握ったときに、あまりの重さにビックリしました。
現代のクルマの感覚で運転したら、ハンドルが重くて重くて……。これは運転しにくいと、ハンドリングを良くするために、すぐにフロント足周りのスタビライザーをイスズスポーツのパーツに交換しました。
あとは、LEDに慣れているせいか、ライトが暗く感じてしまって、メーター類、ヘッドランプ、室内灯は全てLEDに変えました。
――なるほど。そんな117に乗っている安藤さんに最後に伺いますが、オーナーになって良かったですか?
愛車として迎え入れたことは、間違っていなかったと思います。利便性や走行性能など、今のクルマと比べたら良くないんですけど、それだけがクルマじゃないと思うんです。乗っていて楽しいっていうのは、色々なやり方があっていいと思いますから。
117は、僕に青春時代を思い出させてくれるんです。こんなことが出来るクルマは、他にないですから。
2年目の車検も通り、ほっと一安心しているという安藤さん。免許返納まで大切に乗っていきたいということです。
「その後は、4人のお子様達の誰かが乗ってくれればいいのになぁ~」と嬉しそうに話していました。
(文:矢田部明子)
[GAZOO編集部]
関連記事
-
-
1985年、カローラ店で働いていた僕が見たかった光景をもう一度。人生3度目のAE86に乗って。
2024.05.31 愛車広場
-
-
-
こだわりは白とオフブルーの2:8!私らしさを詰め込んだスズキ ハスラー♡
2024.05.30 愛車広場
-
-
-
AZ-1に乗り続けて31年。後世に語り継ぎたい理由とは?
2024.05.29 愛車広場
-
-
-
車椅子で生活している僕にとって、クルマは新しい一歩を踏み出させてくれる最高の存在
2024.05.29 愛車広場
-
-
-
トヨタ ハイエースで2つの家族を繋ぐ!夏も冬も家族でともに濃い思い出を作ってくれる最高の存在
2024.05.28 愛車広場
-
-
-
トヨタ ヤリスクロスとの思わぬ出会いがハッピーのキッカケに!? 人との縁を紡いでくれる最高の相棒
2024.05.28 愛車広場
-
-
-
ホンダ シビックは恋人を越えた家族。大切にすることと、「一緒に月まで走る」ことを約束
2024.05.27 愛車広場
-
-
-
最高の相棒 レクサスRX200tに乗るとワクワクが止まらない
2024.05.25 愛車広場
-
-
-
長い付き合いをしたい愛車ホンダS660なので、走りすぎに注意
2024.05.23 愛車広場
-
連載コラム
最新ニュース
-
-
ホンダ、『N-WGN』『N-ONE』『ステップワゴン』『ZR-V』の価格改定を発表
2024.06.04
-
-
-
3万km超えの車必見! エンジンマウント交換で感じる劇的な効果とメンテナンスの重要性~カスタムHOW TO~
2024.06.04
-
-
-
攻殻機動隊と高性能EV『IONIQ 5 N』のコラボが示した“自動車とは何か”というガチな問い
2024.06.04
-
-
-
「小型ミニバンのベンチマークに」人気のホンダ『フリード』前身モデルにも漲る自負【懐かしのカーカタログ】
2024.06.03
-
-
-
レクサスとスノーピーク、TOKYO OUTDOOR SHOW 2024に共同出展を予定
2024.06.03
-
-
-
ポルシェ『911カレラ』改良新型…空力と動力性能を向上させるデザイン[詳細画像]
2024.06.03
-
-
-
車内でスマホを快適チャージ! 新機軸携帯充電アイテムを【特選カーアクセサリー名鑑】
2024.06.02
-
最新ニュース
-
-
BMW『2シリーズ・アクティブツアラー』に新ディーゼル、燃費22.2km/リットル…7月欧州設定
2024.06.04
-
-
-
ジープの新型電動SUV『ワゴニアS』、「ローンチ・エディション」の予約を開始
2024.06.04
-
-
-
ホンダ、『N-WGN』『N-ONE』『ステップワゴン』『ZR-V』の価格改定を発表
2024.06.04
-
-
-
3万km超えの車必見! エンジンマウント交換で感じる劇的な効果とメンテナンスの重要性~カスタムHOW TO~
2024.06.04
-
-
-
攻殻機動隊と高性能EV『IONIQ 5 N』のコラボが示した“自動車とは何か”というガチな問い
2024.06.04
-
-
-
VW『ID.3』改良新型、2つの新グレード登場…欧州で予約受注開始
2024.06.04
-