ダサいと思っていた プログレは最高のクルマだった。前期と後期の2台を乗り換えながら楽しむ日本一周

プログレの最廉価グレードであるNC250と、最上級グレードのNC300 ウォールナットパッケージ iRバージョンの2台を所有しているという「SLVさん」。

今では2台所有するほど大好きなクルマになったと話してくれましたが、乗るまでは「なんだか、ダサいなぁ〜」という印象しかなかったそうです。ではなぜ2台も愛車として迎え入れるまでになったのでしょうか?

今回は、SLVさん×プログレ のお話をお届けします。

――最初に見た時の印象は、微妙だったのですね?

はい……。発売した当時23歳だったんですけど、CMを見たのが最初でした。本木雅弘さんが出演されていて、それこそ京都のお茶っぽい感じのテイストでしたね。

その時売れていたトヨタのクルマのデザインから考えるとそれっぽくなくて、う〜ん、こんなこと言っちゃプログレが可哀想なんだけど、爺さんっぽいなと思ってました。

丸目と四角の顔つきが好きではなくて、俺は買わないなって言ってました。ただ、ダサいのは面構えだけで、内装は最高に良いんですよ。

――と、言いますと?

最上級グレードのNC300の方はシートが本革で、グレーやキャメルなど何通りもあるんです。ちなみに、僕のはスポーティーグレードの最上級なので、このグレード限定色の黒になっています。

この黒がねぇ、使えば使うほど味が出てきてカッコいいし、座ると革独特のギュッと音を立てながら身体が沈んでいくのは最高ですよ。

――合皮じゃなくて、本革……。それはすごいです。

でしょ?ちなみに、シートだけじゃなくて、シフトノブなど車内のいたる所に本革が使われています。あとは、木目調ではなくて、本当の木が使われているんですよ。

――木!?すごい……。

今じゃ安全性の面から、無理ですよね。日本の経済が元気なバブルの頃に作られたクルマなので、お金をかけて作られているという感じがするでしょ?

カタログを見ると、クルマの中でくつろげる上質な空間というのをコンセプトにしているそうです。だから、高級感があって、ラグジュアリーな感じに仕上がっています。

――最廉価グレードのNC250の内装はどうなのですか?

これもなかなかこだわっているんですよ。こっちは本革じゃなくてファブリックシートなんですけど、イタリアからわざわざ織り機を取り寄せてきて造られているんです。

座ると肌にしっとりくっ付いて、肌触りのよい質感になっています。最初の話に戻るんですけど、内装は良いと思う人が多いのは、こういう手間暇かけたこだわりが詰まっているからですね。

――内装“は”良いけど……って今も思っているのですか?

ふふふ、それがねぇ。フロントフェイスを見ると愛くるしいなーって笑顔になっちゃうんですよ。

ヒエラルキーに属さない、トヨタマークのないブチャ可愛いフェイスは見れば見るほど味が出てくるし、大人になってこのデザインの良さが分かってきました。

あっ!でもね、ここだけの話なんですけどね。窓の部分にTOYOTAの文字が書かれているんです。ここが唯一のTOYOTAマークかなっ♪まぁ、窓を下げたら見えなくなりますけどね〜(笑)。

――噛めば噛むほど味が出てくるクルマっていう感じですか?

はい、まさに乗って良さに気付いたクルマでした。なんてったって、内装だけじゃなく、走りや居住性も最高でしたから。

まずは、NC300の方!これはスポーティーグレードで3000ccのエンジンを積んでいるというだけあってハードなサスペンションだから、加速、ハンドリング、発進停止など、とにかく走ることの楽しさを教えてくれるんです。

このグレードを運転するときは、走りの楽しさを忘れていない奴を乗せることが多いです。

――NC250の方は?

ベーシックグレードなんですけど、エンジンをかけたのを忘れてしまうくらい静かなんです。もう、とにかく静か!

主に、母や奥さんを乗せて買い物に行くときに使っているのですが、気付いたら後ろで寝てますからね(笑)。とくに、母は乗り心地を気に入ってしまって、自分でも運転します。

――TPOに応じて2台を乗り換えるなんて、楽しそうです。

はい。どちらにも良さがあるのが、また面白いです。5ナンバーサイズとは思えないほど車内はひろく、コンパクトだから日本の道に適していて運転しやすい。そして、なにより車内は自分にとってリビングのような場所なんです。

ミニバンだとワイワイ乗りたい、商用車を運転する時は仕事モード、プログレを運転するときは、リラックスして、自分をリセット出来る時間なんです。

柄じゃないかもしれないけど(笑)、クラッシックを聞いて贅沢な時間を過ごしています。

とくに好きじゃなかったクルマに惚れ込んで、2台も愛車にしてしまった理由はこれで、こんな風に自然体でいれるクルマがほかに見つからないんですよ。だから乗っているんです。

そんなSLVさんは、つい最近に九州全域、石川県、富山県にプログレで足を運んできたそうです。車中泊をしながら楽しんできましたが、やっぱり最高のクルマだったとのこと。

登場から何十年経った今、プログレの本当の良さに気付けて良かったと嬉しそうに話してくれました。

(文:矢田部明子)

MORIZO on the Road