大学自動車部ってどんなところ? -立命館大学編-

全国の大学や専門学校などの自動車部におじゃまして、日頃の活動風景やご自慢部員をレポート。今回は、立命館大学体育会自動車部を訪問。これまで紹介した自動車部の中でも一番といっていいほどの体育会系気質です。

立命館大学体育会自動車部プロフィール

●男子 13名 / 女子 2名 ※部員数は2014年6月現在
●部車:ホンダ シビックEG6 ※ジムカーナ用
ホンダ シビックEK4 ※ダート用

●活動内容:活動は基本的には毎週土曜のみ。時間は朝10時からキリのいいところまで。多くの部員は、活動日以外もガレージにやってきてマイカーを整備している。

●活動実績:平成26年度 第1回全関西学生ジムカーナ選手権大会
男子団体2位、男子個人3位・4位
女子団体1位、女子個人1位・3位(山地)
平成26年度 第1回全関西学生ダートトライアル選手権大会 女子団体1位
など

体育会系気質は立命館の伝統!

衣笠キャンパスの近くには、金閣寺、龍安寺、仁和寺といった名刹が点在しています。
太田君は、地元の友人をクルマの世界に巻き込んだそう。彼の影響を受けた友達は、次々にクルマを購入したとか。
エンジンはインテグラ タイプR用の B18Cに換装しています。
整備はキリのいいところで終わる予定ですが、皆とにかく夢中なので、なかなかキリがつけられません。

小学校から大学院までを有する立命館学園。設立は1900年で、大学は1922年に設置されました。主要キャンパスは、京都市の西北に位置する衣笠キャンパスと、びわこ・くさつキャンパス(通称BKC)で、京都市二条駅の南には3つの研究科を置いた朱雀(すざく)キャンパスもあります。
  
OBには、研究者や経済界で功績を残した方々、スポーツ選手、作家など、その道のスペシャリストがたくさん。現役の学生や教員の活躍ぶりもメディアで注目されることもしばしばです。
  
さて、お目当ての自動車部は、衣笠キャンパスからクルマで約20分走った、柊野(ひらぎの)総合グラウンドで活動していました。取材クルーが到着した時、部員の皆さんは、2台のレース用車両と1台の練習用車両の整備中。こちらの姿を確認すると、いったん作業の手を止めて、皆さんが一斉に「こんにちは!」と元気かつ礼儀正しくあいさつをしてくれました。
  
インタビューに答えてくれたのは、部長の太田君(3回生)と副部長の矢野さん(3回生)。さっそくこちらの部の特徴について聞くと、「ウチは他大学と比べると体育会系の色が強いかもしれません」と太田君。これには矢野さんも「そうですね」とすぐさま同意を示します。
  
体育会系の気質が備わっていると聞くと、取材クルーに発せられたあの元気なあいさつも納得できます。体育会系の気質は伝統で、昔はもっとその色が強かったそう。「幾分やわらいだとはいえ、精神鍛錬を目的とした名物の合宿は健在です」と矢野さん。はたしてその合宿とは何なのでしょうか。

新人の登竜門、“ハンドル回し”

矢野さんのマイカーは、インテグラ タイプR DC2。ネットオークションにて40万円で購入。
矢野さんのほかにも女子部員がもうひとり。彼女は、山地正希子さん(3回生)。愛車は180SXです。
部員の数が多いので、同時に複数の車両の整備に取りかかれます。
今年の第1回全関西ジムカーナ選手権大会で優勝した矢野さん。3位は山地さんでした。

合宿は毎年夏の風物詩で、昨年は2回実施され、今年もその予定。まず8月上旬に奥伊吹で行い、同月下旬に柊野のガレージでも行うそうです。
  
奥伊吹合宿は、全日本学生ジムカーナ選手権大会に出場する選手の選考会を兼ねたもので、部内に緊張が走ります。一方のガレージでの合宿が精神鍛錬を目的とする内容となっています。
  
聞けば、精神鍛錬に臨むのは1回生とのこと。その内容は、ズバリ、ロック・トゥ・ロック!これは、ハンドルを片側いっぱいまで切ったら、次に逆側いっぱいまで切り直すというドライビングアクション。部内では、“ハンドル回し”と呼ばれ、何とタイヤの空気を抜いた状態で行うとか。空気圧が低下している方がハンドルが重くなり、操作する人にとっては、より筋力を要することに。ちなみに、1人10分1セットで、8時間交替で回し続け、それを3日間行います。
  
「もちろん僕も矢野も経験しました。腕の筋肉は初日で張り、握力も弱まります。暑さも加わってヘトヘトでした」と太田君。
  
こうまでして鍛錬に取り組むのはなぜでしょうか。矢野さんは「厳しい状況を協力して打破するからこそ一体感が生まれ、結果的にチームの統率力を高めることができるから」とその理由を明かします。
  
実は1回生は、免許を持っていても部員として運転することが許可されておらず、この合宿を見事乗り越えた部員には、運転許可のライセンスが与えられるとのこと。ライセンスを取得すると、後日総監督同乗のもと、運転技術と安全意識のチェックを受け、さらにまた後日、今度は先輩部員を乗せて、同じくチェックを数回受けるそうです。
  
これらの試験を突破した1回生は、その後辞めることがほとんどなく、より真剣に部の活動に取り組むようになります。

今年は、全日本のレースで男女合同優勝を狙う

ダート車両のシビックEK4。もとは先輩の個人車両でしたが、ワケあってダート車両として導入されました。
エンジは立命館のイメージカラー。現在の4回生がチームTシャツとして制作を企画しました。
部員の愛車とのひとコマ。FR率が本当に高いのが特徴です。
大会を終えた時、皆のテンションは最高潮。いい顔ばかりが揃っています。

これまでいくつもの大学体育会自動車部を紹介してきましたが、"ハンドル回し"・"運転許可ライセンス"といい、立命館大学の自動車部は、体育会系らしさが際立っている気がします。
  
「クルマに乗る時は『お願いします』、降車時は『ありがとうございました』とそれぞれ言っています」と矢野さん。「昔は、クルマに乗せてもらったら、“同乗者は寝てはダメ”というルールがあったそうです。寝たら、そこで強制下車(笑)」と太田君。
  
厳しい部に感じるかもしれませんが、雰囲気はまったく堅苦しくないそう。「先輩やOBは後輩思いですし、逆に後輩は上の世代を慕っています」と太田君。自身もキャンパスで先輩と顔を合わせたら、すぐに声をかけ「学食行きましょう!」と一緒に昼食を楽しむことが多いと言います。矢野さんは、OBの自宅に足しげく通い、ガレージでマイカーの整備や塗装をさせてもらっているそうです。
  
活動日以外でも、だいたいガレージに出向いてクルマを整備し合ったり、ともにサーキットに繰り出してドリフトの練習をしたり。遠出のドライブだって高頻度です。
  
「統率力には長けていると思うので、レースの時には、選手、ピット、計測など、各々がそれぞれの役割をきっちり果たしています。選手でなくても、全員で勝利をつかもうという姿勢が部長の僕から見ても感じますね」
  
最後に、自動車部に入ってよかったことを聞きました。
  
「僕はドリフトテクを先輩から教えてもらい、できるようになって最高です。ドリフトがしたくて自動車部に入りましたからね」と満面の笑みを浮かべる太田君。矢野さんは「大学生活が充実し過ぎてうれしいです。クルマの世界の楽しさを改めて実感しました。一生の趣味にします!」と力強く宣言。
  
元気みなぎる立命館大学の自動車部。個々のエナジーを爆発させて、全日本のレースでの男女合同優勝をめざします。


関連サイト
【HP】立命館大学体育会自動車部
【Twitter】立命館大学体育会自動車部

[ガズー編集部]