自動車同好会ってどんなところ? -豊田工業大学編-

全国の自動車同好会におじゃまして、日頃の活動風景やご自慢のメンバーをレポート。
今回は、豊田工業大学 自動車同好会を訪問。
2014年9月には「東海最速決定戦」という学生主催イベントを行うなど積極的に活動しています!

★豊田工業大学 自動車同好会プロフィール
●部員数:男子16名 / 女子 2名 ※部員数は2014年8月現在
●部車:スバル ヴィヴィオ GX-R ※美浜軽耐久シリーズ参戦用
●活動内容:毎週金曜18時から、美浜サーキット軽耐久シリーズ参戦に向け部車の整備。それ以外の時間は学生が自由に自分のクルマの整備などを行なう。
●活動実績:平成25年 美浜サーキット軽耐久シリーズ最終戦 総合12位 ターボクラス5位

数年前まで休止状態。西山さんの一声で同好会が復活

キャンパスは平成26年初夏からリニューアル中。平成31年の完成が予定されています
愛車を前に記念撮影。先輩たちのネットワークを駆使し、格安で愛車をゲットしています
インタビューに答えてくれた3人。左から西山さん、部長の野田さん、長田真尚さん
ガレージ内の「とよこうカフェ」。日夜、クルマ以外のいろんなトークも繰り広げられます

住宅街が広がる名古屋市天白区にある豊田工業大学。学校名にある通り、トヨタ自動車が社会貢献の一環として設立した私立大学。学部は“工学部 先端工学基礎学科”のみですが、敷地内にはスマートビークルセンターなど最先端の研究施設があります。

これまで取材してきた大学自動車部と異なり、今回取材する豊田工業大学には部は存在せず、学生の活動は全て同好会となります。つまり学校側から資金的な援助を受けず活動しているということであり、熱意ある学生の手で運営されていることになります。

年季の入ったガレージの見た目とは裏腹に(失礼)、ガレージ内はとっても綺麗で清潔!奥にある簡易テーブルとクルマのシートを利用した学生の間で「とよこうカフェ」と呼ばれるスペースで話をうかがいました。

「自動車同好会は数年前まで活動休止状態だったんです」と話してくれたのは4年生の西山洋平さん。

当時からサーキットを走っていた西山さんは入学してすぐ「自動車同好会が活動していないのはもったいない。みんなで何かやろう!」と仲間に声をかけ、同好会を復活させた張本人。西山さんの声掛けで復活し、平成26年春には1年生が5人も入会するなど年々活気づいています。

3年生で部長の野田在希さんは「ウチの大学では、1年生は全員が寮に入ります。入学してすぐ1年生全員参加の新入生歓迎会があるので、そこでパワーポイントで資料を作って説明したり、積極的に声をかけてPRをしました」と話します。

豊田工業大学と聞くと、クルマ好きが多く入学してくるイメージがありますが、同好会の皆さんの声を聞くと決してそうでもないようです。そこで、少しでも「クルマに興味がある」「サーキットを走るのって楽しそう」、そうした考えを持つ人に入会してもらい、クルマの楽しさを知ってもらおうと活動しているのです。

団体戦の面白さがある。美浜軽耐久シリーズに参戦中!

整備などの作業は、同好会の学生みんなが出来るよう知識をつけます
復活した同好会としての初レース。平成25年の美浜軽耐久シリーズで疾走する部車の勇姿!
耐久レースならではの一体感が同好会と学生の絆を深めていきます
部車でのレース以外に、学生は個人で走行会などに参加して腕を磨いています

大学自動車部の活動と聞くと、ジムカーナやダートトライアルをイメージしがちですが、自動車同好会がチャレンジしているのは愛知県知多郡美浜町の美浜サーキットで行われる「美浜軽耐久シリーズ」です。

実は裏側を話せば、部として認められていない同好会は、全日本学生自動車連盟が主催するレースにエントリーできないという面もあります。そこで自動車同好会が目をつけたのが「美浜軽耐久シリーズ」でした。ドライバーのスキルが勝敗を大きく左右するジムカーナなどに比べて、時間内に複数のドライバーが走るのでみんなで戦え、急なトラブルに対応するメカニックも責任重大などなど…耐久レースにはチームみんなで一丸となり戦う面白さがあります。

平成25年の美浜軽耐久シリーズ 最終戦に「project RoLE」というチーム名で初参戦。マシンはもともと17万kmを超える過走行車両でしたがターボクラスで5位。平成26年の最終戦には車両の変更も視野に入れつつ参戦予定です。

「多少、クルマ同士がぶつかるような場面もありますが、それでもみんなお構いなし。20~30台がエントリーしてほとんどが社会人チームですが、その中に混じって走ってます」と西山さん。

トラブルに泣かされることも多いようですが、ラップタイムでは他のチームに引けを取らない走りを見せています。スプリントとはまた異なる、耐久レースだからこそ生まれるチームの一体感。同好会では、そんな魅力に惹かれてレースを続けています。

我々が取材に訪れた翌日に2014年美浜サーキット軽耐久シリーズ第3・4戦が行われ、自動車同好会の軽耐久チーム「project RoLE」も出場。エンジンが不調の状態にも関わらずフリー走行でのタイムは全体で2位と好成績であったが、レース直前にフロント周りをぶつけたことも関係してか、残念ながらエンジンブローによりリタイアという残念な結果となってしまいました。悔しい思いをしたメンバー達、現在は10月に行われる最終戦に向け尽力中です。

平成26年9月に開催!「東海学生最速決定戦」

女子学生も2人いる自動車同好会。学年に関係なくみんなでクルマを楽しんでます
美浜サーキット軽耐久シリーズに向けて、車両の下回りをチェック
学校から支援を受けない同好会。ガレージの多くの設備はOBが残してくれたものです
自動車同好会では1年生が入会した春にみんなで行くツーリングも行っています

平成26年春からフェイスブックページも立ち上がるなど、自動車同好会は精力的に活動中。そして、いよいよ9月10日(水)に主催する“タイムアタック+走行会”のイベント「東海最速決定戦」が行われます。

学生が主催して大々的なレースイベントを行うことは、国内初といっても過言ではないでしょう。当日の運営スタッフといった人手や、資金面についても企業に協力を仰ぐため、学生自ら企画書を作成、企業でプレゼンをするなど奔走しました。熱意を感じ、そして「学生が主催する」という点に賛同してくれた企業のバックアップも決まったほか、東海地区の大学の自動車部もこぞってエントリーを決め、参加台数も50台オーバーとなりました(平成26年 8月中旬現在)。これには自動車同好会の皆さんも「協力してくださるところが想像以上に多かったです!」と手応えを感じています。

タイムアタックは“初サーキット・初級・中級・上級”の4つにクラス分けされており、排気量で分けるなどの細かな規定は設けていません。西山さんは「学生で高価なクルマに乗っているけど、逆に走りに使うお金や時間がない人も多いんです。そこで『クルマのスペックは劣るけど走りこんでいる人のほうが勝てる』、そんなタイムアタックにしたかったんです」とその意図を話します。

また、廉価なタイヤを使うドライバーによる「アジアンタイヤカップ」という、タイムアタックと別に学生の財布に優しいレギュレーションもあります。さらにお昼休憩では、免許を持っていない人に向けサーキットを自分の足で走るリレーを行うなど、学生みんなで楽しむ企画が考えられています。

こうしたイベントを主催するのは、大学生同士の交流を図り、若い世代からクルマ業界を盛り上げていきたいという狙いから。 「2回、3回とつなげていきたいです。クルマの良さをもっといろんな人に知ってほしい! クルマのメーカーみたいな草の根的な活動をしています(笑)」と同好会の皆さん。自分たちが好きなクルマをもっとみんなで楽しもう! そんな純粋な気持ちが同好会の活動を支えています。


​関連サイト
【F​​acebook】豊田工業大学自動車同好会

[ガズー編集部]