【トヨタ ルーミー/タンク 試乗】やさしい走り出しに「わかってるなぁ、ダイハツ」…岩貞るみこ

トヨタタンクカスタム(左)とルーミー(右)
広い。とにかく広い。乗り込んだとたんに感じる車内の広さは、フロントウィンドーの大きさでさらに強烈に印象付けられる。窓の広さは光をとりこみ、まわりの景色が手に取るようにわかる。なんたる開放感。性格までおおらかになりそうだ。

広さを演出するのは、こうした物理的な広さと明るさだけではない。座りやすい高さのシート。助手席シートとのあいだにある空間で、後部座席へ移動できる気持ち的余裕。いや、それ以前に、床が低いうえにサイドシル(敷居)の凹凸がなく、足をうんしょと持ち上げなくてもするりと乗り込めるあたりから、「ひろっ!」という心のゆとりは始まっているのである。

運転席では、ハンドルがもう少し手前にできるといいのになという、コンパクトカーにありがちないつもの私の愚痴はさておき、走り出しの一瞬で、ぎょっとする。やわらかい。乗り心地がなめらかでソフトなのである。タイヤがふわりと路面をつかみ、するするころころと転がっていく。なんだ、このやさしい走り出しは。

あまりの気持ち良さに、ダイハツの担当者にたずねたところ(ダイハツのトールと同じだからね)、「そこにこだわったんです。」との回答。そうでしょう、そうでしょう。こだわらなかったら、こんなに気持ちいい走りなんてしないですよね。つまり、このテのクルマは、街なかをちょこちょこ走る使い方をする人が多い。だったら、多発するストップ&ゴーで走り出しの乗り心地をよくしたかったとのこと。わかってるなあ、ダイハツ。いや、トヨタもだけれど。

では、気になる点はないのかというと、ひとつあり。それは、エンジン回転数が2000回転くらいで、排気系の音が大きくなること。む、それってやはり、街なかでよく出くわす場面じゃないですか。次なるターゲットはそこですね。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

(レスポンス 岩貞るみこ)

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