ブラックベリーQNXが自動車向け事業戦略説明会を開催

ブラックベリーQNXのデジタルコックピットを搭載したジャガーXJ
カナダのBlackBerry(ブラックベリー)は21日、東京のカナダ大使館で事業戦略説明会を開催。グローバルにおける現況や、子会社BlackBerry QNXの自動車向け事業戦略などを紹介した。

ブラックベリーといえば、かつてスマートフォンが普及する以前から、物理キーボードを持つ携帯電話を手がけていたことを覚えている人も多いことだろう。実際に近年まで事業の中心はスマートフォンやそのサービス展開だったが、2014年以降は事業構造を大きく転換しつつある。

ブラックベリー子会社、ブラックベリー・テクノロジーソリューションズのセールス&マーケティング担当上級副社長、カイヴァン・カリミ氏は「わたしたちは3年前から、ソフトウェアとセキュリティへのシフトを始めました。現在では壁のセンサーや家電、自動車などの何千万というデバイスを保護しています」と語る。

そして「新生ブラックベリーがヘリテージとして引き継いでいるのは、セキュリティです」と続ける。ブラックベリー製品はG10参加国すべての政府機関、G20参加国のうち16の政府機関やセキュリティ当局に導入されているという。「われわれの使命は、世の中をより安全な世界にすることです」とカリミ氏。

現在のブラックベリーは6つの部門でソフトウェアやセキュリティ環境を提供しているが、その中心となっているのが子会社のブラックベリーQNXだという。ブラックベリーが買収する以前からソフトウェアを供給し、20年前から自動車業界向けのものを供給。現在は自動車メーカーや製造業をはじめネットワーク企業、鉄道関連、医療関連などで1000以上の顧客を持つと紹介した。

自動車ではこれまで6000万台以上の車両に同社のテクノロジーが採用され、現在も240以上の車種に搭載。テレマティクスOSとして、またインフォマティクス用ソフトウェアとしてそれぞれナンバーワンの地位を得ているとのこと。

ブラックベリー上級副社長兼ブラックベリーQNXジェネラルマネージャー、ジョン・ウォール氏は車載ソフトウェアについて紹介。現状では、高級車になると車載ECUは1台で100個以上となり、ソフトウェアのコードは1億行を優に超えるという。そして今後はECUの集約が進むと予測を語った。「単機能のECUが集約され、複数の機能を持つドメインコントローラーに統合されます」とウォール氏。

また自動運転技術やコネクテッド技術が浸透してくると「車両のあらゆる部分がサイバー攻撃の脅威にさらされることになる」とウォール氏。「なかでもコックピットはもっともリスクが高い」とのこと。その理由は車載機器や、それらと連携させたモバイルデバイスなどに使われているオープンソースソフトウェアの脆弱性によるものだという。

今後は通常の自動車と自動運転車が混在することになるが、こうした環境で「悪意を持つ人が制御権を握るとどうなるか。自動車業界は懸念を抱き、すべての車両が安全かつセキュアであることを求めています」とウォール氏は説明。これにたいして適切な製品を持ち、それを組み合わせて包括的に提供できるのはブラックベリーQNXだけだと強調した。

説明会では日本向けの戦略も紹介された。「パートナーと連携して安全とセキュリティの文化を構築し、2020年の完全自動運転の実現に向けて努力します」とカリミ氏。あわせて富士ソフトと日立産業制御ソリューションズの2社が、組み込みテクノロジーのエキスパートで構成されるブラックベリーのパートナープログラムに参加することが発表された。

またブラックベリーQNXとルネサスエレクトロニクスは自動車分野で15年以上にわたる協力関係を築いているが、パートナーシップをさらに拡大。次世代の自動運転プロトタイプを18年のCESで公開するという。

説明会の後には、ジャガー『XJ』にブラックベリーQNXの統合コックピットシステムを搭載したコンセプトカーも公開された。これはメータークラスターとインフォテイメントシステムを持つセンタークラスターを統合しつつ、それぞれ別個に動作させられるというもの。インフォテイメントシステムに不具合が出て再起動しても、その間もメーター表示は影響を受けず、走行時の安全性を損なわないといったことがデモンストレーションされた。

(レスポンス 古庄 速人)

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