クルマ好きの想いを凝縮!ピュア・ターボ・スポーツ Vitz Turbo MN 特別試乗

ヴィッツMNのリアビュー今年6月、世界を代表する耐久レースのひとつニュルブルクリンク24時間レースに初挑戦し完走を果たしたTeam GAZOOが、“クルマを操ることの楽しさ”“クルマをカスタマイズすることの喜び”の追求をキーワードに世界に一台だけのカスタマイズカー『Vitz Turbo MN』を生み出した。GAZOO編集部はGazooドライビングスクール講師のレーサー鹿島と共に早速テストドライブを敢行。ベース車両はおなじみの可愛らしいヴィッツ。しかし、そこにはクルマを愛するものを惹きつける特別な味付けが隠されていた。

脳のドライビング探求を司る部位にいきなり刺激が入った

ヴィッツMNの外装・内装写真
レーシングカーさながらのスポーティーなカラーリング。
サスペンションのセットアップは進行中のため、もう少し車高がローダウンされる可能性もある。

Team GAZOOが、クルマの楽しみ方のひとつのスタイルの提案として生み出した『Vitz Turbo MN』は、スポーツグレードの「Vitz 1.5 RS」をベースに様々なカスタマイズが施されているという。初対面した瞬間、レーシングカーを髣髴とさせるカラーリングが絶妙に決まっていることもあって、とても速そうなムードを、いやもっと率直に言えばすぐにステアリングを握ってみたいと感じた。スポーツドライビングを愛する方ならきっと同じ感情を抱くはず。スポーティーなカスタマイズカーにとってここは非常に大きなポイントで、いきなり脳のドライビング探求を司る部位にかなりの刺激が入ったことは間違いない。

ヴィッツMNの足回り
一般道ではサスペンションがやや硬いくらいで、通勤にデートにと、ごく普通に使えるクルマと思っていたら…

カスタマイズの詳細説明は後回しにしてもらい、本能に突き動かされるままにインプレッションの聖地、箱根ターンパイクへと向かった。先ずは、小田原のホテルから約15分間の一般道ドライブ、アイドリングからのクラッチミートで静かにするすると発進し、4速2000回転以下でもストレスなく走る。たまたま道路工事中だったため何度か段差を越えた際、サスペンションがやや硬すぎるような突き上げ感も多少あったが、同乗者が不快を感じるレベルではなく、フラットな路面ではやや硬いかなと感じる程度。すなわち、一般道ではごく普通に通勤からデート、ファミリーでのお出掛けまでをこなすことが可能である。しかし、そんなソフトな印象は、箱根ターンパイクの料金所を通過した直後にどこかへ吹き飛んでしまった。

数値を超えたフィーリング アクセルに対するレスポンスも抜群

加速していくヴィッツ
1速全開でホイールスピンしながらあっという間に2速へ。
峠の上りを俊敏に駆けるフィーリングはコンパクトターボカーの醍醐味。

料金所での一旦停止から、1速でアクセルを全開にすると軽くホイールスピンしながら強烈な加速でぐいぐいと坂道を駆け上がって行く。この加速は「気持ちいい!」の一言。ライトウェイトなコンパクトボディにターボを搭載したこのマシンの加速感は、大排気量ハイパワーマシンのそれとは違い、アクセルを踏み込む右足にエンジンがダイレクトに反応して、気持ちで引っ張ってくれているような錯覚さえ覚えた。低回転から直線的にパワーが立ち上がり、4000回転を超えるあたりでターボ特有の力強さが加わって一気に6500回転あたりまで吹け上がる、この時、ターボカーらしい吸気音が聞こえてくるのがたまらない。

ヴィッツMNのボンネットフード
特製のフードの下には「Vitz TRD Turbo M」と同じターボチャージャー。サーキット走行を想定したECUのセッティングが右足から伝わってきてその気にさせる。

今年8月にモデリスタから発売された『Vitz TRD Turbo M』と同じIHI製ターボチャージャーとインタークーラーを装着、エンジンスペックはノーマルの40ps/5.6kgmアップの150ps/20.0kgmだが、このマシンはECU(コンピュータ)のセッティングの方向性がサーキット走行寄りのため、数値以上にスポーティーでアグレッシヴ、またアクセル開度に対するレスポンスがとにかくいい。パワーは十分で、むしろ雨の日のスポーツ走行の際には、コーナー立ち上がりのアクセルコントロールに細心の注意を払う必要がある。もちろん、これも大きな魅力のひとつであることは、スポーツドライビング好きの方には言うまでもない。

ワインディングで本領発揮 狙った方向へクイックに曲っていく

コーナリング中のヴィッツ
開発中と言いながらも、サスペンションのバランスは素晴らしい。
次回はサーキットを走ってみたいと自然に気持ちが昂ぶってくる。

一般道でのドライブでやや硬さを感じたサスペンションは、ワインディングロードでその本領を発揮した。低速コーナーでは、ブレーキング時にきっちりとフロントへ荷重が移動、加速時にはリヤが適度に踏ん張るサスペンションバランスにより、レーシングカーのようにクイックに方向転換が可能。立ち上がりでアンダーステア(曲がりにくい状態)になりやすいFF車のコーナリングに苦手意識を持っている方は、急にドライビングが上手くなったような感覚を得られるのでは。

中速、高速コーナーでは、5000回転以上をキープすることで思いのままにカーブを描くことが出来る。この回転域ではアクセルの開度に対するエンジンのレスポンスとサスペンションのセッティングが抜群で、アクセルオフで自然にフロントへ荷重が移動し、いとも簡単に向きが変わっていく。ドライバーは適正なギヤをセレクトして回転を保ちアクセルにだけ集中すればいい。慣れてくると、ステアリングはクルマの向いた方向へ後追いでそえてあげるような感覚になってくる。このフィーリングはレーシングカートに近いものがあると言えばお分かり頂けるだろうか。

クルマ好きのピュアな想いを・・・

ヴィッツドア付近の写真
「M」と「N」は、Team GAZOOメンバーのうちの二人のイニシャル。

マシンのリヤハッチには、『Vitz Turbo MN』のステッカー。MとNは、今年6月にドイツのニュルブルクリンク24時間レースに挑戦したTeam GAZOOメンバーのうち二人のイニシャル。『Vitz Turbo MN』は彼らを含むTeam GAZOOのメンバーが力を合せて生み出したマシンであると同時に、クルマやスポーツドライビングを愛してやまないものたちのピュアな想いがそこに詰まっていることを表している。これから完成形へ向かうというこのピュア・ターボ・スポーツ、私事ではあるが、発売されることがあれば是非とも欲しい。