ミスターGT、関谷正徳監督にスーパーGTの魅力からその舞台裏までを直撃!〜我々は大きなものを背負い、命がけで走っている〜

日本が世界に誇るスピード

SUPER GTレース中の模様
その高い性能に世界中の関係者も注目する

クルマの性能は、かなりハイレベルです。日本の得意技と言いますか、決められたルールの範囲内で、どんどん性能を追求していったら、今の凄いクルマになったわけです。世界的に有名なドイツのDTM(※ドイツ版スーパーGT)に比べても遥かに性能がいい。高い次元のスピードでコーナリングできる、世界でいま一番性能のいいGTマシンのレースと言えます。

難しいから面白い

SUPER GTレース中の模様
スピードの違う2クラスのマシンが混走する

GT500クラスとスピード差のあるGT300クラスが一緒に走っているために混戦が続くことが大きなポイントです。F1やル・マン、アメリカのNASCARなど数あるモータースポーツのなかで、実は僕が一番注目しているのがスーパーGT。映像的にも面白い。ドライバーにとっては、面白い分、逆に難しい。例えば、接触して相手に被害を与えたらペナルティを取られます、だから混戦のなかでもペナルティを1年間もらわないでレースをしなければならない。ここがもの凄く難しいんです。

GT500がスピードの遅いGT300のマシンを抜くためには、本来の走行ラインじゃない路面の汚れたところを走らなきゃいけない場合もある。遅いクルマをキレイに抜いていくテクニックが必要です。しかもタイムを落とさずに。世界で一番難しいレースであり、最も面白いレースだと思います。

知られざる過酷さ

GTカーに収まるドライバー
夏のレースを「サウナの中で運動するようなもの」と例えるドライバーも多い

最高速度は富士スピードウェイのストレートで300km/hくらい。横G(※コーナーで横向きに発生する重力)は、3Gから3.5Gくらいです。夏のレースですと、車内の温度は60度を超えます。クールスーツと呼ばれる体を冷やす装置が故障したときは、リタイヤしてしまうか早めにドライバーを交代するしかありません。ゆでダコのようになりながら走っていくケースはあるんですけど、そうなると本来の体の能力は発揮できないですよね。僕も何回もノビましたね(笑)。要するに筋肉に力が全く入らない状態。だからカーブも本来のスピードでは行けなくなって、ブレーキもちゃんと踏めない。体温がドーンと上昇しますから。だから夏のレースで一番心配な要素は肉体の部分。現役時代は、体がもつのだろうかって不安でした。

GTレーサーの条件

GTカーに収まるドライバー
強靭な肉体と冷静な心が求められる

レース中はかなり心拍数が上がります、160〜170くらいに。その状態で頭がしっかり働いているかが、モータースポーツの難しさです。これは、体力のキャパが無ければできません。筋肉をフルに使って心拍数がバンバン上がっている時に、正しい判断が出来るかどうかが大事です。才能か、トレーニングによって培われるものなのか?両方でしょう。だから才能だけでなくて、その次元を上げるのが我々のスポーツです。才能だけでは今日のレースはやっていけません。当然速さは必要ですけど、GTレースは2人のドライバーで走りきってナンボですから、ミスをしないことが一番の条件です。冷静な判断を下すための肉体のキャパと、あとは人間の持っている性格。予知能力も必要です。「ああ、こういうことが起きるだろうな」とか「このクルマはこっちに行くだろうな」と。