

出席者はコーディネーター(進行役)にキャスターの小倉智昭、パネリストにモータージャーナリストの小倉茂徳、レーシングドライバーにしてモータージャーナリストの木下隆之、国際弁護士の八代英輝、スポーツコメンテーターの田中雅美の各氏。
ディスカッションは、レース観戦大好きという小倉智昭氏の「世界同時不況の影響で業績の悪化した日本の自動車メーカーが、モータースポーツから撤退するニュースが相次いでいる。経済状況に加えて環境保護の観点からも、大枚をはたいてモータースポーツを行うことへの風当たりが強まっているように感じる」というコメントで幕を開けた。
続いて「そもそもモータースポーツはスポーツと認識されているのか。金のかかる“道楽”という見方がいまだ根強いのではないか」とパネリストに問い掛けた。
それを皮切りに闊達な意見交換が行われたが、その結果浮かび上がってきたのが「欧米と比較した場合の、日本におけるモータースポーツの特殊性」である。

考えてみれば、金融危機のダメージがもっとも大きいアメリカで、瀕死の状態にあるビッグ3がNASCARへの参戦を継続している。ヨーロッパでも活動の縮小はあっても撤退の話は聞かない。派遣切りなどの社会的問題の前に、モータースポーツどころではないという意見もわかるが、なぜ日本のメーカーだけが撤退?、という疑問は拭えない。
また、日本の基幹産業たる自動車、その自動車技術の発展はモータースポーツなくしてはあり得なかったにもかかわらず、日本では正当な評価を受けているとは言いがたい。
自動車がこの世に登場した19世紀末から、さらに遡れば映画『ベン・ハー』で有名な戦車レースの時代から歴史があり、モータースポーツが人々の生活に溶け込み、文化として形成されている欧米と日本との意識の差はいかんともしがたい、というわけである。

そんな日本においてモータースポーツの火を絶やさず、盛り上げていく方法については、次のような意見が出された。
F1やスーパーGTに代表される上級カテゴリーでは、コストを大幅に削減し、かつ見て楽しいレースを実現すること(小倉茂徳氏)。
厳しいレギュレーションの下で高効率を追求するレーシングカー作りのノウハウは、環境技術にも貢献することをアピールし、イメージを改善していくこと(八代英輝氏)。
観戦するだけでなく、実際に走る喜びを感じられるようにすること。例えばトヨタのGAZOO Racingが取り組もうとしているように、身近に参加できる機会を設け、モータースポーツの裾野を広げていくこと(木下隆之氏)。
それらの実現のためには、F1やオリンピック、ワールドカップといったメジャーなイベントに報道が傾きがちなメディアの姿勢も問われる(田中雅美氏)、とも付け加えられた。
最後は「この逆風によって日本のモータースポーツが転換期を迎えたのは間違いないが、基幹産業である自動車、ひいては日本の繁栄のためにも、モータースポーツはぜひとも必要なものではないかと思う」という小倉智昭氏のコメントで締めくくられ、パネリストはもちろん、会場に居合わせたプレス関係者も大きくうなずいていた。










