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2009年も開催が決まった、エコラン「プリウスカップ」。今回のGAZOO Racingチームは、選手はもちろんクルマが特別なんだとか!? さて、どんな戦いぶりを見せるのでしょうか?

開会式会場の様子。プリウスカップの2009年開幕戦には、近畿地区の34チームが集まった。
所狭しとサーキットに並んだプリウスの列。GAZOOレディたちが振るフラッグの合図を機に、スーッと音もなくスタートを切っていく――初代プリウスが発売された1997年当時、いったい誰がこんな光景を予想しただろうか?実際、いまだに「エコとレースなんて相容れるわけがない!」と思っている人も多いはずだし、私も実際にプリウスカップを観戦するまではそんなふうに思っていた。
「プリウスカップ」は、その名のとおり、プリウスだけのワンメイクで行われてきた競技である。開催される地域の販売店が単独、あるいは合同でチームを組み、エントラントとして参加する。これまでにトヨタ店、トヨペット店といったプリウスを扱っている系列店だけではなく、カローラ店、ネッツ店からも優勝チームが出ている。(2009年4月現在)
さて、今年初となるプリウス・カップの会場は、兵庫県のセントラルサーキット。これまでで最大の参加規模、近畿地区の34チームが参加した。ちなみに、セントラルサーキットのピット数は38。TMCチーム(トヨタ自動車チーム)とGAZOO Racingチームが加わると、ほぼ満員御礼状態だ。

雨が降るなか、いよいよ走行競技がスタート!

各チーム、車両のカラーリングはもちろん、応援スタイルもさまざま。
この日は、あいにく朝から土砂降り。にもかかわらず、どのチームも気合が入っている。通常のレースでは、雨天の場合、タイムが遅くなりレースが荒れるので、面白みが減ってしまう。でも、プリウスカップは速さを競うレースではない。
整備の正確さと迅速さを競う「サービス競技」でもポイントが加算され、ラップタイムのほうも、あらかじめ決められた基準タイムの前後5秒以内におさまれば、ペナルティは受けない。そして、最も重要視されるのが燃費だ。3人のドライバーの平均燃費の順位によって、1位のチームから50点、49点……とポイントが順に加算されていく。一見、複雑だが、“単に速いだけでは勝てない”ところが、このプリウスカップを面白くしているのだ。
スタート!の合図とともに、午前中のサービス競技が始まった。どのチームも敏腕整備士揃いらしく、「点検作業」「故障探求」「部品の脱着」の各項目を手順よくこなしていく。いじわるのように仕掛けられた故障のトラップも、彼らの手にかかればすぐに見つかってしまう。結果は、僅差で「大阪トヨペット eco Factory」がサービス競技のトップに立った。
»サービス競技ルール詳細
»走行競技ルール詳細


GAZOO Racingチームでステアリングを握る、雑誌『ベストカー』編集委員の宇井弘明さん(写真左)と、レーシングドライバーの木下隆之さん。

こちらは、GAZOO Racingチームの参加車両。よく見ると、プリウスとはビミョーに違う?
ランチタイムを挟んで、いよいよお待ちかねの走行競技。実は今回、GAZOO Racingチームには強力な助っ人が参加していた。レーシングドライバーの木下隆之さん、自動車雑誌『ベストカー』編集委員の宇井弘明さん、そして前回出場時に女子記録をマークしているGAZOOレディの3人がエントリー。さらにクルマも、新型インサイトと次期プリウス・プロトタイプといった最新のハイブリッドカーで挑む(……って、ズルイ!?)
あいにくの雨は午後になっても弱まらないため、基準タイムはドライ時より10秒加算された。そんななか、走行競技で優勝した「大阪トヨタハイブリッド名人」チームは、23.16km/リッターという驚きの低燃費をたたき出した。
エコランのコツを木下さんにうかがってみると、EVモードのない新型インサイトではアクセルをできるだけ踏まずに燃料カットを第一に心がけるのがコツ、との答え。一方、プリウスの方は発電用と駆動用に2基のモーターを使い分け、さらに遊星ギアを使った動力分割機構により、エネルギーを効率よく配分するという複雑な制御が行われている。低燃費で走らせるためには、どこから回生ブレーキを使うか、坂道をどこまでEV走行で走れるか、といった頭脳プレイが要求されるのだとか。そこが楽しい、とプロの木下さんも満足げだ。


女性ドライバーだけ(!)のチームも。 どんなレベルの参加者も楽しめる、そんな懐の深さがプリウスカップの持ち味だ。

雨のセントラルサーキットを走る、次期プリウス・プロトタイプ。
もうひとつ、印象的だったことがある。エントラントのなかで目にとまった、「ネッツ中央大阪エコプリJuno8」。なにしろ、3人とも女性ドライバーなのである。ちゃんと最後まで完走してゴールイン! 他のチームからも拍手喝采を浴びていた。
ただ単に速さを競うのではなく、子供の頃の運動会のように、出場者が思い思いに楽しめるのもこの競技の特徴なのだろう。
エコプリJuno8のドライバーのように、サーキット初心者でもその気になれる、プリウスカップ。明らかに、モータースポーツの敷居を下げている。
その一方で、木下さんのような手練のレーシングドライバーが、ああでもないこうでもないと真剣に考えながら競技に参加している。
初心者からプロドライバーまで、同じ土俵で戦いつつ、それぞれのスキルにあわせた楽しみ方はできる、そんな懐の深さがプリウスカップ最大の魅力なのだ。
プリウスカップのように「走る楽しさ」をだれでも気軽に体験できる機会をもっと増やしていってもらいたい。きっと誰もが見ているだけではモノ足りなくなっていたはずだ。なにせ、かくいう私も、リポーターとしてではなく、ドライバーとして参加したくてたまらないのだから。

(文=川端由美)