ハイブリッドカーのプリウスを使って、販売店同士がエコランと車両整備の技能を競う「プリウスカップ」の第1回全国大会が、2011年12月6、7日の2日間、静岡県の富士スピードウェイで開かれた。
2008年6月の四国大会を皮切りに、北は北海道から南は九州まで、地方ごとに大会が開かれてきたプリウスカップ。今回は、それら過去の地方大会で優秀な成績をおさめたチームが選抜され、“真の日本一”を決めるという、初の試みである。
それだけに各チームの全国制覇への情熱はすさまじく、6日の開会式に集まった選手たちの表情は真剣そのもの。大会初日の午後に行われた、翌日の決勝グリッドを決めるグリッド順位決定戦では、雨の中、各選手がフロントロウを目指して、静かな、しかし熱い走りを繰り広げた。
プリウスカップには、3名のドライバーがコース上で燃費を競う走行競技と、ドライバーとは異なる3名のエンジニアがピットでサービススキルを競うサービス競技があり、どちらもポイント制となっている。チームは、これに監督と助監督を加えた8人の構成。それぞれの競技で順位が争われ、両競技の合計ポイントの最も高いチームが総合優勝を手にする。
走行競技は、規定周回数(今回の場合、1周4.563kmの富士スピードウェイを7周)を定められた基準タイム内で走行し、燃費を競う(車載モニターで計測)。ドライバーは、ひとり最低2周走らなければならない。
今回富士で行われた全国大会では、1周=4分15秒のターゲットタイムが設定され、その前後5秒の範囲(4分10〜20秒)で周回できないと、速すぎても遅すぎても、ペナルティーが課せられてしまう。
一方サービス競技は、エンジニアが走行競技中にピットに入ってきた車両の点検を行い、その正確性と手際の良さ(所要時間)を競う。点検の内容はタイヤローテーションをはじめ、ハイブリッドシステムや灯火類のチェックなど。車両がピットインすると即座に全員がプリウスの前に整列し、審査員の合図とともに一斉に各自が手分けして点検を始める。点検を終え、再びプリウスの前に立つまでの時間が計測される。
決勝日は慣熟走行とピット作業の練習で、サーキットは朝から熱気に包まれた。前日とは打って変わってドライコンディションとなり、ドライバーは前日に試すことができなかったドライ路面での感覚を確かめた。
よりよい燃費を出すためには低速で走行したほうが有利だが、プリウスカップの場合、ターゲットタイムが定められているのは前述の通り。では富士スピードウェイでのターゲットタイム4分15秒とは、どの程度のペースなのか?リポーターも実際に試してみたが、想像よりはるかに速いハイペースで走らなければ、とても4分15秒でコースを1周することはできない。「燃費を気にしながら、このペースで走るのか!」と驚かされた。
SUPER GTやフォーミュラ・ニッポンなど、ハイパワーなマシンの走りを見ると、サーキットがまるで平たんであるかのような印象を受けるものだが、実は、ほとんどのサーキットには起伏がある。富士スピードウェイの場合、大ざっぱに言えばコース前半が下りで、後半が上り。特に終盤の連続コーナーはかなりの上りが続く。
燃費が稼げる前半の下り部分は、どのチームもタイヤのグリップと相談しながらハイペースで走行する。一方、後半は、前半の下り区間でためたバッテリーを生かしてEV走行に徹するのがセオリーだが、なかには「混雑具合など、状況によっては上りでもそれなりにアクセルを開けてエンジンをかけて充電しながら走ることもある」と教えてくれたチームもあった。
GAZOO Ladyの合図で一斉にスタート。街中で目にするプリウスの静かな発進そのもの。
各チームのプリウスがホームストレートを駆け抜ける速度は、70〜90km/h。ここで規定のラップタイムに近づけるための調整をしているとのこと。
見事、総合優勝を飾ったのは「愛知トヨタチームAT1935」。燃費リッター34.06kmと圧勝!
決勝。これまでの地方大会では数秒ごとに1台ずつスタートしたが、全国大会はF1同様のスタンディングスタート方式で行われた。すべてのシグナルが消え、GAZOO Ladyのスタートフラッグが振られると同時に、各車一斉にスタート。派手な排気音もタイヤのスキール音もなく、街中で目にするプリウスの発進そのものだ。しかし、ヘルメット越しに見えるドライバーの表情は真剣そのもの。コーナーでは縁石をなめるようなライン取りで、フットブレーキをなるべく使わないように、一切のムダを省いた走りが続く。
各チームのプリウスがホームストレートを駆け抜ける速度は、70〜90km/h。20km/h程度のバラツキがあるのはなぜか?レース中、関東大会で優勝した「東京トヨペット チーム夢」のチームリーダーは「1周4分15秒のラップに近づけるためにホームストレートで時間調整をしているんです。単独走行なら4分15秒前後で周回するのはそれほど難しくありませんが、競技では多くの車両が同時に走るので、想定通りの走りを繰り返せるとは限りませんから」と答えてくれた。
スタートからおよそ1時間半。静寂に包まれたまま、全チーム、7周の走行競技と2度のサービス競技を戦い終えた。
燃費、ラップタイム、レギュレーション違反の有無、サービスの正確性などが検証され、走行競技は「愛知トヨタ チームAT1935」、サービス競技は「トヨタカローラ広島 エコスマイル」がそれぞれ勝利を手にした。
総合優勝は、「愛知トヨタ チームAT1935」。燃費はリッター34.06kmと、2位を大きく引き離しての圧勝だった。ドライバーの3人はこの日のために減量までして参戦したという。閉会式で「このヘアスタイル(丸坊主)による空力性能と減量が勝因です」とユーモアを交えて喜びの声。他のチームからも、祝福を受けていた。
販売店チームの他に、プロレーシングドライバーとGAZOO Ladyで構成された「GAZOO Racingチーム」も参戦。
特別参戦のTMCプリウス開発チーム。エースドライバーを務めたのは、初代プリウスの開発にも携わったプリウスの生みの親内山田竹志副社長。
大会には、販売店チームの他に「GAZOO Racingチーム」、「TMCプリウス開発チーム」なども“特別参戦”した。
レーシングドライバーとGAZOO Ladyで構成されたGAZOO Racingチームは3台でエントリー。そのうち1台は受注が始まったばかりの「プリウス プラグインハイブリッド」という“飛び道具”で、リッター44.99kmという桁外れの燃費をたたき出した。が、これはもちろん賞典外。
GAZOO Racingチームゲストドライバーの中嶋一貴選手は「F1でもSUPER GTでも、加速から減速に移る際に一瞬空走状態にしてタイムをなるべく落とさないまま燃費を稼ぎます。プリウスカップはそこに特化したような競技で、奥が深い」とコメント。脇阪寿一選手は「僕らレーシングドライバーは競技となったらなんでも勝ちたい人種。燃費だろうがタイムだろうが、熱くなるのは一緒」と、それぞれプリウスカップを楽しんでいた。
TMCプリウス開発チームのエースドライバーを務めた内山田竹志副社長も、自らのスティントを終えてひと言。
「初代プリウスを開発していた95年当時、テスト車両がコーナーの立ち上がりでハイパワーなガソリン車並みの加速を見せた時、いずれこういうもので競技する日がくるのかもなと思ったのを覚えています。あれから16年、今こうして実際に競技していることを思うと、感慨深いものがあります」。
プリウスの生みの親ならではのコメントが、印象的だった。
| 総合 | 走行競技 | サービス競技 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 順位 | ゼッケンNo | チーム名 | 総合ポイント | ゼッケンNo | チーム名 | 平均燃費(km/l) | 平均ラップタイム | ゼッケンNo | チーム名 |
| 優勝 | 13 | T愛知 チームAT1935 | 95 | 13 | T愛知 チームAT1935 | 34.06 | 4:13 | 22 | C広島 エコスマイル |
| 準優勝 | 21 | T広島 チームHTハイブリッドクラブ | 94 | 17 | T大阪 ハイブリッド名人 | 31.59 | 4:16 | 21 | T広島 チームHTハイブリッドクラブ |
| 3 | 14 | P名古屋 NTPレーシング | 92 | 14 | P名古屋 NTPレーシング | 30.85 | 4:17 | 23 | C山口 チーム おれんじ〜ず |
| 4 | 17 | T大阪 ハイブリッド名人 | 91 | 9 | P東京 Team 夢 | 30.55 | 4:19 | 11 | N栃木 エコエコ守ぃもりぃチーム |
| 5 | 23 | C山口 チーム おれんじ〜ず | 88 | 21 | T広島 チームHTハイブリッドクラブ | 29.56 | 4:20 | 10 | P横浜 HYBRID MASTER |






















