【ミュージアム探訪】メガウェブ ヒストリーガレージ(前編)

2階の「ヒストリックカーコレクション」の様子。手前に見えるのが「スパイラル ウォーク」からの来館者を迎えるトヨタ2000GTで、奥はアメリカ車の展示コーナーとなっている。
トヨタが運営する施設ではあるものの、展示車両はトヨタ車、日本車だけに限らない。こちらはイギリスのジャガーEタイプ。
展示車両はもちろん、クルマを引き立てるディスプレイにも注目。アメリカのモーテルやガソリンスタンド、ヨーロッパの路地などを模した空間で、往年の名車を鑑賞できる。
施設には遊び心の感じられる仕掛けもちらほら。窓から来館者を見下ろすこちらの黒ねこ。じっと見ていると……。
ワインセラーをイメージしたという「コリドー」のコーナーでは、世界各国の名車のミニカーや、クルマにまつわる書籍、展示車両をレストアしたスタッフによる写真リポートなどを楽しむことができる。

2020年に開催予定の東京オリンピック&パラリンピック。選手村をはじめとした施設の中心となるお台場エリアにおいて、常に人気なのが江東区青海にあるパレットタウンだ。その中にあるのが、トヨタが運営する展示ショールーム「MEGA WEB(メガウェブ)」である。施設のコンセプトはクルマの過去、現在、未来を、「ヒストリーガレージ」「トヨタシティショールーム」「ライドスタジオ(開設当時はフューチャーワールド)」の3つのゾーンを通して体感してもらおうというもの。誕生から今年で15周年を迎える。今回紹介するのは、トヨタ車はもちろん世界のヒストリックカーを展示し、文字通りクルマの歴史を堪能することができるヒストリーガレージである。

都内ということもあってアクセスは多彩。クルマはもちろん、電車でも最寄りの駅が2カ所あり、ゆりかもめなら青海駅下車で徒歩2分、JR埼京線とも相互乗り入れするりんかい線なら東京テレポート駅下車で徒歩4分という立地にある。青海駅下車の場合、ヴィーナスフォートの中を通ってのアクセスとなるが、東京テレポート駅からの場合は2013年5月に完成したお台場エリアのセンタープロムナードとパレットタウンを接続する歩行者専用ブリッジ「スパイラル ウォーク」を利用すると便利だ。約60mの歩道橋は夜にはLEDによるライトアップも行われる。ここを渡るとヒストリーガレージの2階に直接アクセスできるのもありがたい。今回の取材では、入り口でトヨタ2000GTが出迎えてくれた。

まず入った2階にあるのが、「ヒストリックカーコレクション」と「コリドー」の2つの展示ゾーン。このうち、ヒストリックカーコレクションには1950年代から1970年代までの往年の名車が常時展示されている。車両自体の入れ替えは不定期だが、最近では「トヨタ博物館」との連携も行っており、そちらの車両を輸送して展示するなどして変化をつけているそうだ。ユニークといっては語弊があるかもしれないが、このブースにあるトヨタ車の比率は20%にも満たないとのこと。よく見ると「トヨタ」の文字を施設内で見ることはほとんどない。あくまでもクルマの歴史を楽しむ場所として運営しているそうだ。またここに展示してある車両は、すべて後述する1階のレストアピットでメンテナンスされ、実走が可能。同乗走行のイベントも行われており、こちらも人気を博している。
展示車両については日本車だけでなく、最近ではアメリカ車にも力を入れており、また個々の街並みを再現した施設の内観もあって、プチ旅行感覚を味わえる。このゾーン、実はちょっとした「小ネタ」も満載。ネタバレしてしまうと楽しさが半減してしまうのでヒントだけ言っておくと、クルマだけでなく街並み、それも上の方を見ると面白いかもしれない。ちなみキーワードは「猫」「ねずみ」そして「脚」である。

もうひとつのゾーンであるコリドーは、ワインセラーをイメージしたという展示スペース。高さ約3m、長さ約30mの空間にはヒストリックカーコレクションで展示しきれない世界の名車を、ミニカーとクルマ関係の蔵書(原書)で楽しむことができる。また土日には一日3回先着順(大体10名強)でガイドツアーも実施されているので、ぜひ参加してみるといいだろう。同施設は「動きのあるショールーム」を目指しているそうで、一回約20分程度のこのツアーに参加すると、通常では許されていない展示車両に乗り込めたり、またエンジンルームを特別に見せてくれたりするそうだ。後半では1階に移動し、匠(たくみ)の技やクルマ好きでなくても欲しくなってしまうグッズ類、ゆったりとしたカフェスペースを紹介する。

(文=高山正寛)

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[ガズ―編集部]