韮崎自動車学校の大型トラック試乗会に行ってみた!

韮崎自動車教習所は地域に根ざした教習所として親しまれてきた。最近では合宿免許にも対応。各地から免許取得を目指す生徒さんが集まっている

男の子にとっては永遠のあこがれ……というと少し言い過ぎでしょうか。しかしミニカーのラインナップなどを見ていても、働くクルマ人気には根強いものがあります。

働くクルマのひとつ、私たちの暮らしを支えてくれている存在のトラック。街中でもよく見かけますが、現在ではその運転できる大きさが細かく指定されており、いざ乗ってみようとしたところで、だれでも簡単に乗れるものではありません。できれば、免許を取得する前に、一度くらい試し乗りしてみたいと思ったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は私もそんな一人です。

この日体験させていただくのは大型トラックUDトラックスのクオンだ。全長11メートルほどありその迫力は相当のものだ。果たしてうまく乗ることができるのだろうか

東京から中央本線、特急あずさに乗って2時間弱。南アルプスのふもと山梨県韮崎市にある韮崎自動車教習所では、ずいぶん前から無料の体験試乗会を実施しています。4月~7月、9月~11月までの各第二日曜日の10時30分~12時30分、予約制で無料にて受け付けているそうです。

SNSでそのイベントを知った私は早速申し込み、先日体験試乗させていただいてきました。その時の様子をご紹介したいと思います。

体験運転の指南をしてくださった佐野先生の「お手本」をまずは見学。しかし大型トラックからの景色はかなり絶景だ

全長11メートル! 運転できるかな?

試乗できる教習車は大型バス、大型トラック、大型特殊(ブルドーザー)、けん引の4種類。大型特殊以外はMTを運転できる普通自動車運転免許が必要ですが、予約が取れれば基本的には誰でも運転することが可能です。

今度は筆者が試乗する順番である。梯子のように3段ほどステップを登って運転席に到達。いわゆるドライバーオリエンテッド、要は運転手中心で操作性を考えたレイアウトになっているインパネ回り。なかなかスタイリッシュだ

まず、大型トラックを運転してみることに。実際目の前に登場したトラックは全長が11メートル。その数字を聞く以上にかなりの迫力に圧倒されます。

「こんな大きなもの運転できるのだろうか」と不安になりつつも、最初は助手席に座って先生のドライブを横から見学です。長い直線もあり走りごたえ十分。遠くに山々も見え、静かな韮崎の街は、見晴らしのいい大型免許を取るにはうってつけの場所だと思いました。(もちろん自分の番になったらそんなのを見ている余裕など全くないのですが)。

一周ほど走って、簡単な説明を受けた後は、私がハンドルを握る番です。大型トラックのエンジン始動時は少し旧式。グローランプと呼ばれるコイルのマークのチェックランプが消えてからイグニッションオン! 大きなエンジンですのでちょっとした武者震いのような振動を伴います。しかし想像していたよりははるかに静か、一発で目を覚ましました。

数多くのミラーが運転手をサポートする。すべてのタイヤ周辺、四隅が確認できるようになっているので、運転は第一印象よりはずっと容易である。そしてこのミラーは前端の一番外側についているので、このミラーぎりぎりにクルマを寄せると衝突することはない

ギヤは7速マニュアル。最新のポルシェのようですね。大型車の場合、よほど満載の荷物で、急坂を登らなければならないとき、坂道発進の場合など以外、1速はほとんど使わないのだそうです。

通常は2速発進。「本当の教習ではないから」と3速での発進を試みたところ、空荷の状態なら全く問題なく動き出しました。

難しいのはブレーキ!

ブレーキは、ギュウッと踏み込むと盛大な揺れを伴って停止します。強烈な制動で頼もしいのですが、積み荷を傷つけてしまうかもしれませんし、ドライバーも疲れてしまいます。ブレーキへの負担も大きいでしょう。エンジンブレーキや、坂道の傾斜で減速する分の足りない制動力をペダルで調整するようにしていると、この日初めて乗った筆者も、「いい調子!」と思える制動ができました。しかし、テクニックとして体得するには相当練習しないといけないでしょうね。

また普段乗用車に乗っている身としても、とてもいい勉強になりました。大型トラックは、乗用車以上に停まりにくいことに気づきました。重量があるために制動距離を要する上に、運転技術の面でも少しコツがいるんです。渋滞の手前などで減速する際は、トラックにアピールしてあげるようにしなければいけないんだな、と改めて感じました。

エントランスにはいろいろな案内が。もちろん地域の優待券などもあるが、かなり様々な地域のドライバーの求人情報が多数おかれていた。体験試乗に来て、実際乗ってみたりすると、なんだかなれそうな気がする

カーブは曲がれる?

「この大きいボディ、カーブはうまく曲がれるのだろうか」。乗車前に感じた一番大きなこの不安は、一番問題がありませんでした。

それというのも、真四角なボディは四隅が把握しやすいのと、遠くや死角になりがちな部分もしっかり見えるようにミラーが備わっているからです。半分以下の大きさの普通乗用車のほうがよほど見えない部分が多い、そう感じるほどでした。 加えて、重たいタイヤということもあるのですが、大きな径のハンドルをくるくると回すとものすごく深くハンドルが切れるのです。慣れてしまえば比較的狭い道でもこれなら走れるな、と思えるほど感触は上々です。

来春免許制度が変わるので免許の取得を考えている人は早めに取得することをおすすめする

この後登坂発進、S字カーブなども体験。初めての割にはうまくいったのではないでしょうか。しかしトラック運転で言われることは、すべて免許を取る時にも言われたことばかり。基本がいかに大事かということを再認識しました。

指導課長の中込先生に、筆者の中込がお話を伺いました(笑)

指導課長の中込先生と筆者。せっかくなので記念撮影を

この体験試乗会はランチを食べることもできるので、指導課長の中込先生と一緒にお昼を頂きました。ボリュームに驚いていると、「18歳で免許を取りに来る人がやはり多いので、その年齢の男性でも満足してもらえる量にしてあるのです」と中込先生。

食堂のランチもせっかくなので食べてみました。日替わりメニュー。チーズのメンチカツとポタージュスープ。ボリュームも満点な上になかなか満足度の高い内容。おいしくいただいたこれが550円はなかなかリーズナブル

5年ほど前から始めたこの企画は、免許取得を決断する際の手助けになっているのだそうです。中込先生曰く、「かなり費用も掛かることなので、実際に通い始めてからやめるというのはリスクが大きいですよね。だからこそ、この体験試乗会で乗ってみて、『これならいける』と思って通われるようになった方もかなりいらっしゃいます」とのこと。

また最近はキャンピングカーがにわかに流行っています。キャンピングトレーラーをけん引する場合、750㎏未満のトレーラーであれば本来免許は不要です。しかし、その取り回しは特殊なので、免許の有無によらず技術が必要です。そのためキャンピングカーでけん引をしようと思っている人が体験に来て、運転練習の必要性を感じることも。また、その後のステップアップを見据えて免許取得に乗り出すケースもあるのだとか。

体験試乗ならまず「面白いかどうか」で選ぶことも全く問題ないのだ。最近ではキャンピングトレーラーなどのユーザーがよく乗りに来るそうだ

帰り際、「またぜひ乗りに来てください。けん引が面白いですよ。」と誘われました。秋深まるころにはまた体験試乗に来てみようか、と思っています。そして体験すると欲しくなりますよ、「大型免許」。

(中込健太郎+ノオト)

[ガズー編集部]