バンコン狙いは急げ! 横向きシート禁止でキャンピングカーに駆け込み需要

キャンピングカー業界に、ちょっとした駆け込み需要が起きている。人気を集めているのはいわゆるバンコン、その中でもキャンピング車としての認定を受けない3ナンバー登録のモデルだ。トヨタ ・ハイエースや日産・NV350などをベースに製作されるもの、と言えばわかりやすいだろうか。

2017年7月から横向きシートが設置禁止に

​3ナンバー登録のバンコンといえば、最近人気を集めているライトなキャンピングカーだ。キッチンなどの装備よりも就寝スペースを重視するユーザー向けで、限られたスペースをいかに有効活用するために各社がシートレイアウトに工夫を凝らしている。多くは横向きシートを使って広いベッドスペースを確保しているのだが、道路運送車両法の保安基準改正に伴い横向きシートの設置が禁止されることが決まっている。対象となるのは、2017年7月26日以降に製作される自動車。それまでに製作、登録された車両は対象外となるため、それまでに納車が間に合うよう注文が集中しているという。

工場はバンコン生産でフル稼働状態

横向きシートは定員10人以上の車両だけに許されていた

同じバンコンでも、コンパクトモデルには横向きシートを設置したモデルは存在しない。実は乗車定員が10人乗り未満の乗用車については以前から横向きシートが認められていなかったのだ。衝突安全性を考えての規制だが、2017年7月の改正で定員が10人以上の乗用車にも同様の規制が適用されることになった。

改正は国際基準に合わせるため2012年から決まっていた

今回の改正は2012年7月に発表された「追突事故時の被害軽減等のための道路運送車両の保安基準等の一部改正について 」に含まれている。国土交通省の発表資料によれば、これらの改正は、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラムにおいて採択した国際基準の改定を受けたもの。そういえばかつて筆者が所有していたアメリカ製のキャンピングカーには、横向きシートを走行中に使用しないよう英語で注意書きがあった。一方で車検証では横向きシートまで使う前提の定員10人となっており、国際基準と日本基準との差が現れていた。

対象となるキャンピングカーを狙っている人は発注を急げ!

キャンピングカーの選択肢が狭まることを嘆くか、国際基準に合わせた安全性を確保できることを喜ぶか。それは読者の判断にお任せするが、対象となるバンコンを狙っているならのんびりしてはいられない。というのも、オーナーが自分好みの装備を選べるよう、キャンピングカーは受注生産が当たり前。発注から納車までは数ヶ月を要する。冒頭で書いたように既に駆け込み発注が増えており、納車までの時間は伸びる傾向にある。まだ半年以上あると、ゆったり構えている時間はないのだ。

(重森大+ノオト)

[ガズ―編集部]