レンジローバーやジャガーのSUVに雪道で乗って思ったこと

「砂漠のロールスロイス」と呼ばれることもある「英国王室御用達」のSUVが、レンジローバーです。「レンジローバー」という名称は、実は特定の車種名であると同時に、「ランドローバー」というシリーズの上位モデルに使われるブランド名でもあって、ちょっとややこしいのですが、いずれにしろ「高級なSUV」と覚えておけば大丈夫。そして先日、そんなレンジローバー&ランドローバーと、同じ「ジャガー&ランドローバー」グループのブランドであるジャガーのSUVに雪上で乗る機会があったので、そのときの模様をお知らせしましょう。

なにもかもが堅実で確実。悪路が得意なクルマは雪道も得意!

ランドローバーのSUVは、ジープ・ラングラーやトヨタ・ランドクルーザーと並んで「世界三大オフローダー」にカウントされるほど、本格的な悪路走行を視野に入れたクルマ作りが特徴です。悪路でもズンズン進んでいける頑丈な車体構造やストロークの長いサスペンション、他社に先立って採用した、泥や雪など路面状態に合わせてエンジンの回転や変速、ブレーキなどの制御を最適に切り替える電子システム…。走破性への妥協なき設計に対して、接するたびに感心するのはきっとワタシだけではないでしょう。

人もしっかり歩けないような足場の悪い場所でも、走破してしまう姿を見たら、誰だって「これは素適すぎ!」と思わずにいられないはず。では、そんなランドローバーのSUVは、雪道でどんな走りをするのか?

率直に言えば、想像通りでした。なにもかもが堅実で確実。滑りやすい雪や氷の路面をしっかりとつかみながら、一歩一歩着実に前へ進んでいく姿をイメージすれば間違いありません。特設テストコースには、かなり大きな凹凸や傾斜もあったのですが、長いサスペンションストロークに加えてお得意の電子制御技術も手伝い、絶大な安心感をドライバーに与えてくれるんですよね。悪路が得意なクルマは雪道も得意。そんなことを実感しました。

1000万円を超える高級SUVであっても悪路走破性へのこだわりは変わらない

フラッグシップモデルの「レンジローバー」から、ラインナップでもっとも身近な「レンジローバー・イヴォーク」(それもオープンモデル!)まで乗ってみましたが、駆動方式の違いはあれど、どのクルマにも「どんな状況でもドライバーを不安にさせない」という太い筋が貫かれていたように思えます。

異色のオープンSUV「レンジローバー・イヴォーク コンバーチブル」

SUVながらもスポーティな走りを追求するジャガー ・F-PACE

今度は、昨年発売されたジャガー初のSUV「F-PACE」に乗ってみましょう。実は、今回の試乗でもっとも楽しみにしていたのが、このクルマの雪上での走り。少し前、F-PACEを舗装路で乗ったときに、その姿とはまったく異なる走りに驚いたからです。

運転感覚は、お世辞抜きにスポーツカー。背の高さや重心高を感じることなく、峠道をグイグイ曲がっていく感覚はドライビングプレジャーの塊で、SUVながらもスポーティな走りを追求するジャガーらしさに満ち溢れたクルマだと感銘を受けたのでした。だから雪道での試乗がとても待ち遠しかったのです。さて、そんなF-PACEに雪道で乗ってみたら…。

ジャガー史上初のSUV「F-PACE」。スポーツカーのような走りに感銘を受けた

やっぱり期待は裏切られなかった! 飛び切りエキサイティングな走りを楽しめました。たとえばコーナリング中にアクセルを深く踏み込むと、ズルズルっと車両後部が滑り出してテールスライド。もし運転スキルがなければそこでやめておけばいいし、腕に自信があればそこからドリフトにだって簡単に持ち込める。ドライバーが積極的にアグレッシブな運転を楽しもうと思えば、しっかりとそれに応えてくれる。そんなハンドリングの持ち主でした。うん、期待通り!

ドライバーの腕次第では、ドリフトにだって持ち込める。F-PACEはアグレッシブな走りにも応えてくれる

こうしてレンジローバー&ランドローバーの各モデルとジャガー F-PACEを雪上で乗り比べてみて面白かったのは、同じグループのブランドながら性格も走りの味付けもまったく別物だってこと。レンジローバー&ランドローバーはとにかく堅実で、より悪条件でも走行可能。一方のF-PACEは、SUVとはいえ絶対的な走破性や安心感よりも、ドライビングプレジャーとスポーティな感覚を大切にしているクルマ。別物どころか、対照的ですね。

アグレッシブなジャガーとは対照的に、堅実で安心感のある走りのレンジローバー。それぞれに個性がある

レンジローバー&ランドローバーとジャガーを乗り比べて改めて感じたのは、メーカーである「ジャガー&ランドローバー」が、いかにブランドの「個性を際立たせること」を大切にしているかということ。形が違うだけではブランドの棲み分けとして許されず、乗ってみればしっかりとその味付けの違いが分かるように作られていることがよくわかりました。

かつては「無個性」なんて言われていた日本車も、これからはもっともっと「味」を磨いていくべき。レンジローバー&ランドローバーとジャガーの雪上試乗で、なぜかそんなことを思いました。

(工藤貴宏+ノオト)

[ガズー編集部]