岡山の新交通手段「オカモビ」がエリアと台数を拡大して2度目の実証実験をスタート 

岡山市は、超小型モビリティ「コムス」を使ったカーシェアリングの実証実験を2017年10月5日(木)にスタートさせた。同実験は昨年に続き2度目。前回の結果を踏まえ、実用化へ向けての経済性、発展性などを検討する。コムスは長さ約2.4m、幅約1.1mの1人乗り電気自動車。1回の充電で約50kmの走行が可能で、最高速度は約60km/h。

一般的に自動車利用頻度の高い岡山では、中心部へのアクセスにも自動車を使うことが多い。そのため、局地的に起こる日常的な渋滞と駐車場不足、排ガスなどの環境への懸念、回遊性低下による商業エリアの衰退が問題とされている。公共交通手段としては山陽新幹線と在来線8本が乗り入るJR岡山駅の利用がもっとも多い。このほか、路線バス、路面電車、タクシー、2013年7月より運用スタートしたコミュニティサイクル「ももちゃり」がある。

1人乗りのオカモビの運転席

昨年の実験では「知ってもらう」を目的に、馴染みの少ない1人乗りのコムスを街で見かけてもらうこと、愛称「オカモビ」を覚えてもらうことを重点的に行った。JR岡山駅西口に2台、岡山のもっとも大きな商店街のある表町に4台配置し、料金無料で約2ヶ月間の実験を実施。

結果、435回・221人の利用があった。リピート率は約30%。利用の理由としては「体験試乗」が35%ともっとも高かった。一方でリピートした利用者は、「業務」や「買い物」で利用する人が60%を超える結果に。利用方法や利便性の認知が進めば、日常的に中心市街地での足となる可能性を感じられた。

JR北長瀬駅を出発して問屋町へ向かうオカモビ

今年の実験では、ステーション5カ所、無料駐車場を3カ所、台数を10台に拡大。実用化を考慮して有料化した。ステーションはこれまでの2カ所に加え、JR岡山駅の隣接駅「北長瀬駅」と「大元駅」の駅前にも設置し、JR線からの利用者を促す。新しい試みとして、中心市街地から約5kmの位置にある「問屋町(といやちょう)」にも設置した。

問屋町は、繊維を始めとする卸売業者が集まる問屋街だったが、現在はカフェや雑貨店、ファッションブランドなどが出店しており、若い世代を中心に人気の場所となっている。来客者のほとんどは自動車を利用していることから、カーシェアリングの利用を促す。

利用方法としての新しい試みは、乗り捨てができる「ワンウェイ型」としたこと。借りたステーションではなくほかのステーションへの返却も可能となる。料金は初乗り15分=150円、15分以降1分=20円、途中降車時1分=2円。

同市都市整備局交通政策課の担当課長今井洋孫(ひろひこ)さんは「行きはJR線や路面電車、帰りはオカモビのように移動手段の選択肢が広がることで、街を自由に行き来できるはず。ももちゃりの利用率は非常に高く、新しい交通手段を上手に使うことのできる人は多い。ももちゃり感覚で手軽に利用してほしい」と話す。

フロントガラスのカードリーダーにかざせば、乗車可能

「オカモビ」を利用するには、オンラインもしくは、表町(乾ガレーヂ)にて会員登録し、カードキーを手に入れる。スマートフォンアプリ「Ha:mo RIDE」をダウンロードし、ログインすれば空き車両の状況が分かる。利用車両を選択し、出発地と目的地を登録。車両のフロントガラスについているカードリーダーにカードをかざし、乗車可能となる。利用時間は7時~20時。この2度目のオカモビ実証実験は、2018年1月14日(日)まで行われるから、岡山市近郊の方はぜひ試してみてほしい。

(取材・文・写真:松原龍之、編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]